アブノーマリティ記録 自らを嫌悪し、唸り声を上げて失意の日々を送るアブノーマリティ。 降りかかった呪いを解放しようとしたが、無駄に終わった。 美女は吸い込まれそうな翠眼の持ち主だった。 貧困に喘いでいたある日、彼女に仕事が舞い込んできた。 伯爵の城で働けば高い賃金が与えられると。 伯爵は野獣で、城に入った者は二度と帰ってこないという噂があった。 美女は「この恐ろしい野獣が人々を食べたにちがいない」と思い、ポケットに鋭いナイフを隠し持った。 美女は伯爵の城で働いた。噂に聞いた野獣の姿を見ることができなかった。 夜の間の暗闇の一室で、彼女は伯爵と話をした。 彼女の思いとは裏腹に、伯爵の声はとても穏やかで、彼女にたくさんのお金をくれた。 日が過ぎると、心の中で欲望が鎌首をもたげた。 「伯爵が死ねば、この城とその財産は私のものになる!」 ある日、彼女は日中の入室を禁じられている伯爵の部屋に入った。 そこで目にした伯爵の姿は恐ろしいものだった。 数百の目、四つの肢、彼は人間でも野獣でもなかった。醜悪な化け物そのものだった。 美女は「この恐ろしい野獣を殺すことが世界にとっても良いことだ」と考えた。 彼女は懐のナイフで野獣を刺した。 しかし、驚いたことに、野獣は笑い始めた。 「何が可笑しいの?」その言葉が美女の口から出る前に、体が変化し始めた。 数百の目、四つの肢、彼女の肌から毛が生えてくる。ついには、彼女は刺された野獣の姿になった。 その瞬間から、城と財産は彼女のものになった。 ……こんな噂がある、伯爵の城に訪れたものは二度と帰ってこない。