「散々な目に遭った…」 アナイはとある神社の巫女であった ただ、彼女は趣味として他の神社に参拝することが多かった ある日、2332年の終わり頃に集団が登山を行っていた アナイはこの国の中央付近にあるF2という山の頂上にある神社があり、そこに参拝するルートを通ると聞き、集団登山に申し込み付いていくことにした 初めは順調だった しかし、登るにつれてどんどん気候が悪くなっていく 山の中腹あたりで吹雪が酷くなり、近くにあった空き宿に泊まることにした 「散々な目に遭った…」 吹雪は止みそうになく、彼女たちはこんな都合のいいところに誰も居ない開きっぱなしの宿があることに疑問を思いつつも、疲れたのもあって寝ることにした 翌日 参加者のうちの一人が無残な姿になっていた 「う、嘘…」 全員が顔を見合わせる 吹雪はとても激しく、犯行可能な者はこの中に居る 誰も本当に起こるとは思いもしなかった 人狼ゲームの始まりだ。 重苦しい空気の中、集団は亡くなった参加者の遺体を前に沈黙したまま立ち尽くしていた。 外は相変わらず吹雪いており、脱出も救助も見込めない。宿の電話線は切れていた。 集団のリーダーが言った。 「……これは事故じゃない。誰かがやった。ここにいる誰かが」 疑心暗鬼が始まった。 しかし、まだ情報は少なく、何もできる訳もない。 そうして二日目は幕を閉じた 朝、リーダーは宿の裏手、雪に埋もれていた。目は見開かれ、手は何かを示すように凍っていた。 「……これは警告?」 その日から、参加者たちはお互いの行動を記録し、単独行動を禁止した。 三日目 アナイはフロワという人とペアになった すると突然、部屋の外から足音のような音が聞こえた 足音は、物置に続く廊下で止まっていた。 扉を開けると、誰もいない。だが床には濡れた足跡があった。 …なぜか窓が空いている 吹雪はまだ続いている その翌朝、参加者の一人・ユリが、部屋で首を吊っていた。遺書もあったが、字が歪でまるで他人が書いたようだった。 「これ、自殺じゃない……誰かが書かせたんだ」 四日目 恐怖と疲労で、誰もが精神的に限界に近づいていた。 グループは7人に減っていた。 夜、アナイは夢を見た。雪の中、神社の鳥居の下に立っている自分。誰かが「嘘を暴け」と囁く。 目が覚めた時、隣で寝ていたフロワが消えていた 「誰が……!」 部屋の窓は少しだけ開いていたが、雪の足跡はなかった。 すると突然、部屋の風呂の扉が開く 「どうしたんだ?」 なんだ、風呂入ってただけかよ 五日目 代わりのリーダーをやっていた者も死亡した 遺体を見てみると、なにやら氷柱で刺されたような跡がある 残るは6人。 昼過ぎ、トリノと名乗る獣人がアナイに言った。 「私、あなた神社のこと知ってる。実は何回か通ったのよね」 話をしている内に実は神社でトリノとアナイは過去に少し話をした事があることがわかり、会話が弾み仲良くなった ペア行動しても犠牲者が出たことから、ペアを変えることに アナイとトリノは同じペアとなり、 「疲れたからもう寝るね」 トリノは早めに寝た そして間もなく、悲鳴が聞こえた気がした。 変に怪しまれるのも怖いしトリノの隣で寝ることにした 六日目 血まみれで倒れていた遺体を見つけた。 残るは五人。 ここで最初のペアのフロワから提案された 「作戦がある、夕方、屋上に続く階段の踊り場に来てくれ」 まさか私が狙われているのか? それとも本当に作戦があるのか ただし、アナイは御呪いを使える アナイが狙われていたのだとしたら 御呪いで返り討ちにできる そうしてアナイは夕方くらいに屋上に向かうと突如、悲鳴が聞こえる 急いで向かうと、遺体とトリノ、フロワ、ヌコの3人が居た 「これ、できるのはアナイしか居ないよな」 アナイは信じがたかった しかし、3人はセットで行動してたという 「アナイさん…嘘だよね?」 トリノは震えた声で微かに叫ぶ アナイは何故そうなったか頭が真っ白になる しかし、アリバイもなくただ口をパクパクさせることしかできなかった 窓が空いている 吹雪が入ってきていて少し肌寒い 「…アナイを処刑しよう」 フロワは言い、アナイを縄で縛った 「ち…違っ…」 抵抗も虚しく、ヌコもトリノもフロワに従うしかなかった 「裏切ったの…?」 その言葉を最後に、アナイは動かなくなった 残ったのは3人。 いや、2人。 消えかかった意識でアナイが見た光景は フロワが吹雪を操って トリノを殺していた 真実を知ったとて今更どうすることもできない 登山チームは全滅した...? いいえ、アナイは魔女として蘇った アナイはもう生前のようなアナイとは似つかない狂気を纏っている 蘇ったアナイは一つの光景を目にする そこに 猫が 一匹 そしてそれがヌコではなく、姿を変えられたフロワであることを直感で理解した 死なんて生ぬるい 永遠に続く苦痛を味合わせるのだ ごめんねトリノ 守ってあげられなくて