街で配られた新聞で、罪人が処刑されたという見出しを見た。描かれた罪人の特徴は弟と一致している。身元は不明となっていた。 真偽を確かめるためにそれが起こった国へ赴き、遺品を確かめるために潜伏した。 元々かなりの腕の冒険者だったこともあってスムーズに遺品の管理室までたどり着く。 そして見つけた遺品の中に、弟の旅立ちの日に贈った特別なナイフを見つけた。 その瞬間、自身の内側から吐き気にも似た、熱くて冷たい何かが込み上げてくるのを感じた。 しかし、実際は彼の弟からこのナイフを盗み、新聞を偽造して彼を騙して、こうなるように仕組んだ者がいた。 処刑されたのは正しく罪人であって、遺品の中にそのナイフが紛れていたのも工作だった。 だが、もはや彼の憎悪は収まることなく、これを仕組んだ者の目論見通り「愛憎の魔人」が目覚めることになった。 その憎しみはこの国だけに留まることなく、世界中で法や秩序、正義を騙る者全てに向けられた。 弟との再会を頑なに阻止する黒幕だったが、弟に計画の全容がバレて決闘になり、ボコボコにされて収監された。 弟を見たことで自身の過ちに気付いた彼は自暴自棄になるが、奇跡的に死者がでなかったことと黒幕の存在、そして暴れていたときにある国の腐敗した正義を叩き潰していたことを考慮して減刑された。 その後は被害を与えてしまった各所への支援をしながら、自身の罪と向き合った。