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克己のDEVOURER

摩天楼都市『ニュートリオン』B区画在住のフリーランスの要人警護人。 Z区画の中でも一等残虐なカルテルに支配されたスラムで、この怪物は産声を上げた。 ──「全域捕食活性」。 物質のみならず時空、概念、因果すら“捕食”する特異点たるPSI。 己の手指の自認すら覚束ない赤子は、突き上げる飢餓感に従ってただ泣きながら口を開いた。 無邪気な生存本能は、Z区画の一角を文字通りに消し飛ばし。 ……不幸中の幸い、“Z区画がはじめから無かった”事にされるよな喰い方を偶然にもしなかったが故、赤子はA区画の権力者達の手で“保護”されるに至る。 男は権力者達の冷徹な打算を恨んでいない。 汎ゆる実験に饗され、飢餓と苦痛にあえぎ、友も無く独房めく真っ白な部屋に押し込められようとも。 彼等が悍ましい程のカネとコネをぶち撒けて組み上げた“最新鋭の枷”無くして、己は“ヒト”足り得ないと知っている。 男は今日も、咥え煙草に彼等を護る。 怪物に転がり落ちぬよう、理性の命綱を握って。