……畜生。 ……畜生、畜生。 ……畜生がァッ! ふざけた真似をしやがって! こちとら、天下の動物さまだぞッ! 可愛い可愛いモフモフの天使だぞッ! 皮をひん剥かれて泣いてるんだから、そこは助けるってのが道理だろうがッ! 血も涙もねぇ奴らめ! なぁにが海水で洗えば問題ないだッ! 塩水が染みに染みて死ぬかと思ったぞ! 許せねぇ、こりゃあ許せねぇよなぁ? 純粋無垢な動物さまの心を弄んだ罪はしっかりと精算すべきだよなぁ? ……しっかし、どうすりゃあいい? こちとら可愛げだけが取り柄の兎だ。 力もねぇし、魔法も使えねぇ…… 逃げ足だけが自慢だからなぁ…… 「……あのぅ、もしもし……」 脚力を活かした蹴り……は柄じゃねぇ。 てか、蹴りだけで解決は無理か…… 「……もしもし、兎さん?」 可愛さ活かして魅力するか! ……いや、反吐が出る。 媚びへつらうなんて真っ平御免だ。 「……あのッ! 兎さん────」 さっきから、うっせぇぞ髭野郎ッ! こちとら考え事してんだ、分かるだろ? あれか? また騙す気か? 騙す気だな! てめぇ等のやり口は知ってんだ、もう騙されないからな! つうか、なんだその湿気た面は? 如何にも鈍くせぇ風体だなぁ? 邪魔すんなやぁ、しばくぞ? 「────ヒッ!?」 ……ケッ、逃げやがったか。 逃げ足だけは速い……ん? 逃げ足……そうか! その手があったか! そうだそうだ、何も馬鹿真面目に戦闘なんざやってやる必要ねぇよなぁ? 逃げりゃあ勝ちだ! どんなバケモンも、このモフモフ毛皮の素兎さまを倒せなければ負けって事だぁ! ケヒャヒャッ! 良ぉし、これなら勝機はたんまりとある! 逃走完了、テメェの負けッ! 最高じゃねぇの! ……っと、落ち着け落ち着け、フカフカボディの素兎。 確かに逃げりゃ勝ちだが、完全に逃げ切れるばかりじゃねぇだろうな。 時間を稼ぐ何かが必要だ。 そうだ! あの鮫共を使ってやるか! あいつらはこっちにご執心だ。何せ散々小馬鹿にして頭を踏んでやったからな。 あの愚鈍な鮫共を上手く使って、その隙に逃げる算段といくか。 別に鮫共が幾ら死のうが構わねぇしな! よぉし、そうと決まれば早速実行だ。 おっと、丁度良い所に誰か来やがった…… さぁて、戦って勝つばかりが勝負じゃねぇ事をしっかりと教え込んでやるか。 天使? 騎士? 魔王? ドラゴン? 魔法使い? 関係ねぇさ! 弱い奴流の戦い方ってのを、しっかりと味あわせてやろじゃねぇのっ!! ……テメェ、何者だ? こっちの完璧な逃走術を破るなんざ、簡単には出来ねぇ筈だ。 ……おいおい! 待てよ! なぁ、お……穏便に話し合おうぜ? 怒りに任せて暴力を振るうのは賢い方法じゃねえだろ? てか、あれだ! お前、白兎を探してんだろ! とぼけるなよ、だったら何でこんなくだらない相手に挑んだんだよ? あれだろ? 確か……ワンダー……ランド? ワンダーランドへ行く為の白兎の招待状を探してんだろ! ……あいにく、このモフモフキュートな素兎さまは招待状なんざ持ってねぇが…… 兎を一人、知ってんだ!(そいつが白兎かどうかは知らんけど……) そいつの居場所を教えてやっからよ、ここは見逃してくれ……あ? その兎ってのはどんな奴だって? 良いぜ、教えてやるよ。 まずは……そうだな、そいつと出会った時の話をしてやるよ。 [https://ai-battle.alphabrend.com/battle-result/clv2b20tl04d2s60oi57lwdju]