KEMCO作ADV「最悪なる災厄人間に捧ぐ」の重大なネタバレです。 豹馬は普通の人間であった。普通の家庭に生まれ、普通の生活をしていた。しかしある時を境に奇妙な体質になってしまう。それは「生物に対して視覚と聴覚が働かない」とでも言えるか。目は見える。そこにあるきれいな桜も迫力満載な映画も観れる。耳も聞こえる。優雅な音楽もラジオのニュースも聴こえる。しかし、その桜を一緒に観る人が見えない。聞こえない。映画のワンシーンで会場が沸き上がるだろうに、静かすぎる。最悪なことに、自分に関してもそうなのだ。自分がどういう見た目で、今どういう音程で話すか全くわからない。食事も、テーブルには美味しそうなしょうが焼きがあっても、箸で持った瞬間、箸もしょうが焼きも見えなくなる。それが本当にしょうが焼きだったのかさえ、もう分からなくなる。そして、そうやって挙動不審になる彼を、なにも知らない周りは「精神病患者だ」「頭がおかしい」と決めつける。嫌だ、怖い。誰かが自分を抑える。何かが腕に刺さる。いや、それが腕なのか、自分にはわからない。そんな彼の前に現れたのは謎の少女「クロ」。彼女は豹馬とは「真反対」である。他人が見える。他人が聞こえる。でも、誰もクロのことが見えない。誰もクロが聞こえない。誰もクロに触れない。でも、生物でない者は全部触れる。普通になりたい豹馬と、自分を見てくれる誰かを欲するクロ。順調に思えた。それなのにどうして? いったいどうして目の前でクロがタオレテルんだ? どうして血を出して倒れている?周りもおかしい。次々に血が… ああ、そうか。そうなのか。 コウスレバ、ヒトガミエルジャナイカ!!