アリシアはかつて、勇者として世界を救う使命を持っていた。しかし、その戦いの中で最も大切な存在──恋人が命を落とした。 彼の死を受け入れられず、絶望した彼女は、あらゆる手段を探し求めた。 「私がどれだけの者を救っても、私の大切な人は救えないのか?」 それは神に対する怒りでもあった。 そして、彼女は知る。 神々すら禁じた禁術、生命の理を超えた「蘇生の魔術」が存在することを。 禁忌を犯すことはわかっていた。 この道を進めば、元の自分には戻れないこともわかっていた。 それでも、彼女は手を伸ばした。 「彼がいない世界に、何の意味がある?」 いつしか彼女の目的は「世界を救うこと」ではなく、ただひとつ、 「彼を取り戻すこと」 だけになっていた。 だが、何度蘇生を試みても、彼は戻らない。 蘇らせた魂はすぐに崩れ、蘇った者たちは彼女の望む姿ではなかった。 それでも、彼女は決して諦めない。 かつての仲間が止めようと剣を向けても、彼女は言う。 「やめろ? ふざけるな……!」 「私は、彼のためなら何だってする!」 例えどんなに闇に堕ちようとも、 例えどんなに多くの命を犠牲にしようとも、 彼女の歩みは止まらない。 ──彼が、彼女の元に帰るその日まで。