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〚植物人間〛草野 逢雲

ある研究機関により冬虫夏草のDNAを他に転写したらどうなるかという実験が行われた 研究は意外と順調だった RNAによる転写は常日頃行われているためにDNAを生物から抜くことと他生物に転写したDNAをつけることが非常に簡単だったみたいだ その結果に寄生型触手を生んでしまう 寄生型触手は人に寄生しないように観察されながらも秘匿されていた が、ある研究者はこれ寄生させれば触手娘とか産めるんじゃね?と思い、改造と試験的実験を行おうとして人を探した 研究者が実験に選んだのは如何にも陰キャっぽく友達もいなさそうな男――草野 逢雲だった 草野 逢雲は真面目だった しかし無口なため友達が居らずコミュ障であった そんな彼はSNSからも馬鹿にされる対象だろう 彼は半分SNSに狂わされ始めていた リアルを諦め始めた彼に手を差し伸べたのがこの研究者だった が、実態は私欲のために実験体にされるだけだった 触手が寄生するために肉を抉っていく 植物との適合を進める為に栄養剤のような液体も点滴で繋がれた 自身を救った優しい目は嘘っぱちの闇の好奇心の目だったのだ 適合完了後、自身は能力に目覚める 普段よりエネルギーが高いような気がする 栄養が漲っていく 研究者も好奇な目でそれを見つめていた 光合成でこの人間は力を保っていることを実感した が、一応栄養の供給は続けていた 人間の大きさ的にエネルギーは足りないじゃないかと思ったからだ 交換効率を人用に高く改造はしたがやはりその仮説は正しかった 草野は光合成により凄まじい強化を生んだが供給的に食べ物から逃れられなかった ただ日光中では食べ物の必要はない スタミナ切れがなくエネルギーが常に供給されるという反応を示した エネルギーが不足するのはやはり夜 日光の当たらぬ所、時間では食べ物を、栄養を欲するようだ 触手は半分寄生したと思われる状態で安定し始めた どうやら1:1が一番安定するそうだ 草野の意思と触手の意思 両方が共存し両方が助け合い両方の性質が生きるここが生命の頂点なのだと研究者は思う その力は強大だった 日中のうちに閉じ込めていた壁を破壊し始めた 再生能力で傷ついても修復し痛みもあまり感じてなさそうな草野は人に凄い憎悪を抱き破壊し始めた 自身を実験体にした怒りや研究動物として人権を捨てたような扱いをされること、自己欲に溺れて何でもさせようとするところ 頂点に達した草野はこの日、研究所を破壊できることを自覚してしまった 触手が伸び全てを薙ぎ払う 研究者に頼まれてきた狩人の銃すらそれに敵わなかった 爆破しても斬っても再生能力で再生し研究所を半日にて倒壊させた 深夜、力が弱まるが瓦礫の中から点滴の栄養剤を見つけ飲む 何日分も保有すると草野は旅に出た 私欲に包まれた人間を殺るために この体で世界を生きていくために