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アメリカザリガニ

アメリカザリガニ(学名:Procambarus clarkii)は、エビ目(十脚目)ザリガニ下目アメリカザリガニ科に分類されるザリガニの一種。学名は Scapulicambarus clarkii とされることもある。アメリカ合衆国原産で世界各地へ分布を広げる。 界 :動物界 Animalia 門 :節足動物門 Arthropoda 綱 :甲殻綱 Crustacea 目 :エビ目(十脚目) Decapoda 下目:ザリガニ下目 Astacidea 科 :アメリカザリガニ科 Cambaridae 属 :アメリカザリガニ属 Procambarus 亜属:アメリカザリガニ亜属 Scapulicambarus 種 :アメリカザリガニ P.(S.) clarkii 学名 Procambarus(Scapulicambarus) clarkii (Girard, 1852) 和名 アメリカザリガニ 英名 Red swamp crawfish 体長は8 - 12cmほどで、稀に20cm近い大きさの個体もいる。体色は赤色か褐色の2色である。アメリカザリガニは体色が赤いことからマッカチンという別名もあるが、色素変異などが原因により青色や白色をしている個体もいる。 頭胸甲の上は"Y"の字で区切られている。5対の歩脚のうち、第1脚は大きな鋏脚になっていて、特にオスの鋏脚は大きく発達する。また、第2脚と第3脚にも小さなはさみがある。 胃にはクチクラ繊維が角化し、炭酸カルシウム等が沈着した胃歯が存在する。臼歯と形態が似ているが、外胚葉性の分泌物がなぜ臼歯と似た形態になるのかは判明していない。 平衡器官として平衡胞(英語版)を持つ。平衡胞は内側に感覚毛が並ぶ袋状の器官であり、外界と通じており、胞内には重みで感覚毛を刺激する役割を持つ平衡石を含む。平衡石は脱皮のたびに抜け落ちるが、砂浴び行動によって砂が平衡石として再び取り込まれる。 ミシシッピ川流域を中心としたアメリカ合衆国南部を原産地とする。 アメリカ合衆国(南部以外)、メキシコ、ドミニカ、日本(北海道から沖縄本島)、フランス、スペイン、ドイツなどに外来種として移入分布する 平野部の水田、用水路、池など、水深が浅くて流れの緩い泥底の環境に多く生息し、流れの速い川には生息しない。湿地に穴を掘って生息し、夜になると出歩いて餌を探す。雨天では日中もしばしば活動し、岸辺に上陸して動き回る姿も見られる。冬は穴に潜んで冬眠する。水質汚染にも比較的強い。 食性は雑食性で、藻類、水草、落葉、小魚、オタマジャクシ、水生昆虫、動物の死骸など何でも食べる。飼育下では共食いをすることで知られる他、長期間サバなどのカロチンを含まない食品を与えると体色が青くなる。 このように食べる餌に偏りがある場合や周囲の環境などによっては、体色が青色や緑色、橙色等になったりするが、自然界でこのようなアメリカザリガニを見ることはあまり無い。 天敵はオオクチバス、ライギョ、ナマズ、ドンコ、ウシガエル、サギ類、モズ、イタチ、カメ、ウナギなど。餌が少ない場合や個体密度が高い場合、脱皮中の個体と他個体が遭遇した場合等には共食いもする。 繁殖期は夏で、交尾を終えたメスは直径2mmほどの大粒の卵を数百個産卵し、腹肢に抱えて保護する。卵は初めのうちは紫色をしているが、やがて褐色になる。孵化した幼生は体長4mmほどで、半透明の褐色だが、他の多くのエビ類と違って既に親と同じ形(“稚ザリ)をしている。稚ザリは孵化後もしばらくはメスの腹肢につかまって過ごすが、最初のうちは餌をとらず、体内に蓄えた卵黄で成長する。体長8mmほどになると親から離れ、藻類や水垢、小動物を食べて大きくなり、2年後には体長6cmほどとなって繁殖を始める。寿命は5年ほどである。