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【神秘の探究少女】フルーリ

強さ:★☆☆☆☆【エンジョイ級】 ※強さはあくまでも目安です。 【神秘値、悲哀値、夢幻指数】 神秘値 :どれほど神秘に溢れているか。 悲哀値 :どれほど悲哀に塗れているか。 夢幻指数:どれほど{u}が儚い存在なのか。 【神秘!】 幼少期の頃。貴族のご令嬢だったフルーリは両親に連れられ、ある美術館へと足を運んでいた。 娘の見識を広める為という親のエゴ混じりの家族交流の一環だったが、フルーリは正直興味がなかった。 興味なさげに作品を流し見で鑑賞していくと、ある絵画に出会った。 その絵画を見た瞬間、フルーリは雷に打たれたような感覚を覚える。 作品名は『神秘の傾倒』。 苦悶の表情を浮かべた老魔術師が、魔法の釜に毒々しい素材を入れて掻き混ぜている様子を絵にした物だ。 その背景も、魔術師も、ただならぬ雰囲気に満ち満ちていたのだ。 まるで絵から魔力が染み出しているようだった。 老魔術師は自分の世界に閉じこめられていて、その世界で懸命に何かを探している様子を感じさせる。 当時8歳だったフルーリに、その“何か”は分からなかった。 だが、その絵画は見たものを惹き込ませるものがあり、思わずフルーリは「この絵が欲しい」と言ってしまう。 名家のご令嬢であるフルーリの両親は、そんな娘のワガママに喜び、その『神秘の傾倒』を美術館から買い取ってくれた。 それから毎日、屋敷のエントランスに飾られた絵の前に引き寄せられるようにしてフルーリはよく見入っていた。 老魔術師は一生懸命魔法釜を掻き混ぜ、何をしようとしているのか? 絵画から問われたような問題に対し、見つからない答えを頭の中で探し続ける。 ──何故だろう、この老魔術師は、もしかするとこんな気持ちを抱いているのではないか。 ──どうしてだろう、この老魔術師は、もしかするとこんな気持ちで生きているのではないか。 老魔術師の苦労に思いを馳せてまで、単なる絵に没頭していた。 だが呆気なく、その答えは提示される。 数年後、両親は『神秘の傾倒』を描いた画家を家へ招待し、懇親会を開く。 その折、画家は自らの作品『神秘の傾倒』について、描かれた意味、込められた意味を臆面もなく話し始めたのだ。 「これはですね。自称魔術師の孤独な老人が、回復薬を作り出すために、出来もしないのにレシピに載ってない方法で──」 「だめ」 俯いたままフルーリがそう呟くと、大好物のステーキに手を付けぬまま、食堂を後にした。 フルーリは部屋に入るや否やベッドに仰向けになり、虚ろな目で天井を見つめた。 ──かつて名を馳せ、今は隠居中の老魔術師。だが神秘に魅入られたその眼は、年老いた身体をも衝き動かす。 ──今日も新たな魔法を開発するため、無我夢中に釜を混ぜている。 絵画から提示された問に、フルーリは自分なりの“回答”を思い描いていた。 にも関わらず、絵画の作者はあっさり“解答”を曝け出してしまった。 本来この絵画のテーマの解答をフルーリは知る筈がない。 美術品に込められた意味を解釈する時、それは作者が導き出すものではなく、作品を見る人によって委ねられるべきだ。 正しい答えは無くとも、解釈は人それぞれの自由。 そんな普遍で不変な共通認識は、まさに芸術品の神秘性と言えよう。 よりにもよって『神秘の傾倒』の持つ神秘性が、他ならぬ作者本人によって崩されたのだ。 自分から語りたがるあの画家の在り方に、フルーリは心底がっかりした。 フルーリは思っていた以上に自分で導き出した回答を大事にしていたらしい。 全身を支配する喪失感に、身を捩らせる。 絵画には、二度と宿らぬ神秘性。 作品名『神秘の傾倒』───。 どことなく答えを知りたがっていた自分をも恨んだ。 自分は絵画が併せ持つ神秘性に魅せられていた。 だが明白となった某に、もはや神秘が宿る筈もない。 神秘とは、真実が明らかにならないからこそ神秘なのだと。 いま一度フルーリは痛感し、涙を流す。 「ならば」 自分の想像を遥かに超える、 一介の令嬢が思い描くことも出来ない、 国の、いや、世界の頭のいい人たちが挙っても、理解には程遠い──“神秘”が見たい。 ボクがどんな答を思い描いても、絶対に崩されない神秘性を持つ何かが、きっと世界の何処かには在る筈。 そう思うやいなや、トランクを取り出し、荷造りを始める。 当然、旅なんてしたこともないが憧れは止められない。 “出来もしないのに”と、作者の語った老魔術師像と同じことをしているのかもしれない。 でも、それで良いと思っていた。 「……世界はきっと、とんでもない神秘で満ち溢れているんだ」 フルーリは、敷かれたレールの上を歩く人生をやめた。 【神秘?】 人知では計り知れない何かを追い求めてはや数年。 最近古代遺物『万事解析杖』を手に入れてから、フルーリの神秘の旅はもっと楽しくなった。 胡散臭い商人から高値で買ったこの古代遺物の杖は 如何なる事柄に対しても“解析”できるという機能を有している。 杖独自の基準で様々な数値を計測してくれるが、その実、実用性は薄い。 持ち主の意思に反して「知ってどうする」みたいなアホらしい解析しかしてくれないからだ。 フルーリはアホらしい解析結果に大爆笑しつつ、この杖を使い続ける事を決めた。 やがて神秘を追求するフルーリの愚直さに杖が呼応したようで この杖は毎回素直に相手の“神秘値”(その他妙な解析含む)を必ず計測してくれる。 ただし、フルーリは計測された数値を参考程度にしか思っていない。 【古代遺物『万事解析杖』】 ジョークグッズみたいな代物だが、古代遺物としては本物。 古の賢者達が万物を解析できる杖を目指して開発し、完成したのがコレ。 得られた情報の取捨選択を杖に委ねた結果、不必要な情報しか教えてくれない杖が完成してしまった。 価値がないと見限られてそのまま捨てられ、所在不明となる。 名も無き墓所で偶然見つかり、物珍しさで何者かに盗掘されていた。 フルーリが知りたい情報をちゃんと出力してくれるので、昔より融通が効くようになった。 杖自体に意思があるのかは不明だが、初めて自分を必要としてくれている人に出会い、その期待に応えているのかもしれない。 【告解】 訳が分からないキャラにしたかった。 神秘ってなんだよ(哲学)