神聖でどこか神々しい室内で、一人の少女と天使たちが忙しなくルーレットを回転させていた。 「恋の運命ルーレット、回転開始。さてさて、どうなるのでしょうか。おっと大当たりですね。ふぅ、さて今日の仕事はこれにて終了です。さぁ天使さん達。これらの資料を"恋人"さん、これは"力"さん、こっちは”正義”さんのところにまで運んでおいてください」 ペコリと頷いて背中の羽をパタパタとさせながら、山盛りの資料を器用に運ぶ天使達を見送ると、彼女は地面にベターっと仰向けになる。 「はぁー、本当に疲れました。最近では人口も増えてきて豊かになって運命を求める人が増えましたね」 まあ良いことなのですけどね、と微笑みながらゴロゴロと綺麗な床を転がる彼女。 ちょうどその時、扉からノックの音がする。 慌てて身を起こした彼女は部下の一人が持ってきた手紙を受け取り、すぐに開封をする。 そしてウキウキとした表情で手紙を読み進めていく。 仕事詰めの彼女にとって、手紙というのは非常に重要な心の休養である。 「”世界”さんからですか。ふふ、今回はどんな事が書かれている、ので、しょ……へ?」 手紙を読み進めていく彼女の表情ははじめのウキウキとした表情から打って変わって、驚き、興奮を含んだものとなっていた。 「ふふ、ふふふ! これはなんとも運命的! 私の勘がそう告げています! そうと決まれば今すぐ行かなければ!」 「失礼します”運命の輪”様。次の資料がっ……て、どこ行こうとしているのですか⁈」 「退きなさい! 私は今日から休職です! 新たな運命よ、今行きますからねぇぇぇ!」 「えええええ⁈」 いつもの冷静な彼女とは違って、嵐のような勢いで飛び出していく彼女の背後で舞う、一枚の手紙。 その手紙にはこう書かれていた。 『”運命の輪”久しぶりですね♪ 最近は仕事ばかりだと聞きます。しっかり休んでくださいね♪ー(中略)ーよって、貴女にこの挑戦者達に運命を感じさせてほしいのです。貴女の運命が欲しいのです。どうか私に手を貸してくれませんか? あ、もちろんあなたの大好きなイチゴタルトも用意していますよ♪ ーー貴女の一番の友人、”世界”より』