▌こんな観察日誌、子供のとき以来書いたことないから上手く出来るかは分かんないけど…。やれって言うならやるしかないな。えっと…とりあえず形態描写をしろって?うん、そうだな。とりあえずあれはリンゴだったな。凄くデカい…手足が付いた気持ち悪いリンゴだ。個人的な話なんだけど、食べ物の癖してデカすぎたり自分で歩き回ってたりするの見ると嫌な気持ちにならないか?俺だけか?話が脱線したな。何はともあれ、そのリンゴは黄金色だった。一目見ただけでも、どこかの果樹園から捥いできたリンゴじゃないって分かる。うん、そうだな。これを幻想体って言うんだよな?あぁ、そのリンゴの幻想体は独りでに、てくてくと歩き回ってた。えっと…そのとき俺はなんだかそのリンゴを切らなきゃいけないって考えが湧き出てきたんだ。導かれるというか。説明が難しいな。…まぁ、俺以上にリンゴが嫌いな人もいないだろうし。俺の過去がちょっと変わってるからかな。まだ戦うには情報が少なすぎて、退却することにした。結局戦うことになるだろうから、そのときまた分かったことがあれば書くことにしよう。 ▌→気が散って読めないな。君は軍にいるときもこんな風に報告書を書いたのか? ▌→自由に書けと言ったのはヴェルギリウスさんです。ダンテもその部分には同意しています。 ▌→…管理人様が良いなら言うことはないな。 ▌→[煙草の痕が残っている。]さ、ま、い、つ。 ▌→本当に、些細なことにまで言いがかりを付けるんですね。 観測レベルⅠ ▌あぁ、疲れた。何度も体力を回復してるのか、切って、ちぎって、壊して、あれこれやったんだけど倒れなくて面食らったよ。戦闘自体は単純で…まぁ、絶えきれずにドロップアウトした囚人がいなかったわけじゃないけど。ずっと突進してきたんだよな、慣れたらそこまで無理して対処すべき攻撃方法じゃないな。何回か戦って分かった気がする。あいつ、身体の色だけじゃなくて黄金色のオーラが周りに浮かんでたんだよな。でも、何回か元気になったと思ったときには周りにあったオーラが消えてたんだ。きっとそれが「回復不能」な地点じゃないかな?管理人の旦那に言ってみるか。そうすればこの面倒くさい戦いも終わらせられるだろう。 観測レベルⅡ ▌…[悪口が書かれていたようだ。] だから俺を監察担当にしたのか?こんなクソみてぇな状況になるって知って…。いや、そうか。分かるわけないよな…。俺たちは皆、初めてだったから。はぁ…あの黄金色の林檎を割ると、裂けて中身が出てきた。そうすると[悪口が書かれていたようだ。]みたいな木の枝が飛び出してきて…その、あんの野郎が…。ユーリさんを連れて行った…。それを養分にしたのか、その中にいた蛆虫みたいなのがお互いまとまると…。醜い顔みたいな形に「変身」してしまったんだ。はは、笑えるな。俺はあの蛆虫みてぇな野郎から俺と似た何かを感じてたんだよ。同じ「虫」ケラだったからなのか…。そう思うと、平常心を保てなかったんだ。あの醜い顔をぎったんばったんにしないと気が済まなかったんだ。そして、そうやって…。 ▌→グレゴールさんは冷静に文を書くことが困難なように見えたので、一旦止めました。特に有意義な情報があったわけでもないですし。 ▌→あの蛆虫野郎、煙草の火で灼いたら想像してたより縮こまったんだけど。こういうのは情報に入るか?