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【魔王軍幹部『絶望ノ海嘯』】リヴァイア・カーライル

【概要】 彼女は、外面を取り繕うことに長けており、周囲からは友好的で親しみやすい人物として認識されている。部下からの信頼も厚く、一見すれば理想的な上司に見えるだろう。特に、有能なスパイである虚構との間には、強い信頼と友情で結ばれている。しかし、その内面には底知れぬ狂気が潜んでいる。 失態を犯した部下には、容赦なく鉄槌を下す。彼女が求めるのは、部下が絶望の淵で醜態を晒す姿。最も苦痛に満ちた死に方を選ばせ、その様子を愉悦の目で見つめる。この事実は、親しい部下である虚構でさえ、ほとんど知ることはない。 敵に対しては、笑顔の裏で冷酷な刃を振るう。強者に対しても、圧倒的な力を見せつけながら徹底的に煽り立て、無念の死へと追い込む。 残虐で狡猾、危険人物という評価は、彼女にとって勲章のようなものだ。特に、裁判で醜く減刑を求める犯罪者たちを観察することを異常なほど好む。月に一度は変装し、人間の業が渦巻く法廷へと足を運ぶ。 魔王軍の幹部たちからは、『チャラい』『軽い』と評される彼女だが、同じく自由奔放な邪炎とは、不思議と気が合うようだ。 互いの内面に潜む狂気を理解し合っているのかもしれない。 彼女の嗜好は、その生い立ちからは想像もできないほど贅沢だ。好物はステーキや寿司といった高級グルメ。貧困街での飢餓の日々とは対照的な、飽食の喜びを謳歌している。一方で、嫌いなものはコーヒーと酒。コーヒーの黒い液体は、貧民街で啜っていた泥水を想起させ、酒は自らを醜態に晒すことを嫌悪する彼女の矜持に反する。 彼女の過去は、その性格を形成する上で決定的な役割を果たした。貧困、虐待、裏切り、そして復讐。それらの経験は、彼女の心を深く蝕み、歪んだ美意識と冷酷な性格を形作った。魔族としての力は、彼女の復讐心を増幅させ、人間への憎悪をより強固なものとした。 魔王軍の幹部として、彼女は今日もまた、その歪んだ才能を如何なく発揮し、敵を嘲笑い、部下を恐怖で支配する。その笑顔の裏に隠された狂気を知る者は、ごく僅かしかいない。「自分が生きてて楽しければ何でもOK」が信念。醜態を晒すことを極度に嫌う。常に笑顔なのは、「人間なんて外見ですぐ決まる」と考え、周りに好かれて、より出世するためである。 【過去】 第一章: 母親 貧民街の夜は、闇と悪臭が支配する。星の光すら届かない路地裏で、彼女は産声を上げた。 粗末な小屋の隙間から吹き込む冷たい風が、生まれたばかりの小さな命を容赦なく打ち付ける。暖を取るものは何もない。 父親の記憶は、最初から存在しなかった。母親に尋ねても、返ってくるのは曖昧な言葉と苛立ちだけ。「どうでもいい男よ」と吐き捨てるように言われた時、幼い彼女は、父親という存在が自分にとって触れてはならない禁忌なのだと悟った。 母親は、愛情を知らない女だった。「何で生まれてきたの!」「さっさと死んで」「あんたにご飯なんかいる?」言葉の暴力、容赦ない体罰、そしてネグレクト。幼い彼女は、常に母親の顔色を窺い、怯えながら生きていた。母親の機嫌が良い時だけ、ほんの少しだけ優しくされることがあったが、それは嵐の前の静けさのようなものだった。優しい言葉の後に、必ずと言っていいほど激しい怒りが爆発した。そして、いつも彼女の母親は夜に消えた。 まともな食事を与えられた記憶もない。食卓という概念すら、彼女の人生には存在しなかった。空腹は常に彼女を苛み、内臓が悲鳴を上げているようだった。 彼女は生きるために、路上に落ちた腐ったパン屑を拾い、虫や野鼠を口にした。ゴミ捨て場で食料を漁る日もあった。地面に落ちた食べかすを漁る姿は、まるで飢えた獣のようだった。 喉が渇けば、水溜りに溜まった泥水を啜った。雨上がりの水溜りは、僅かな希望だった。真っ茶色に濁った泥と油の水は、決して美味しいものではなかったが、それでも渇きを癒すには十分だった。しかし、日が照りつける日が続けば、水溜りはすぐに干上がり、彼女は再び渇きに苦しむことになる。 着るものも満足になかった。ボロボロの服は、冬には寒さを凌ぐことができず、夏には熱気を遮ることができなかった。靴など履いたこともない。裸足で不衛生な貧民街を歩き回る生活は、常に怪我と病の危険と隣り合わせだった。 彼女の幼少期は“不幸”という言葉では言い表せないほど過酷だった。それでも、彼女は生きていた。どんなに過酷な環境でも、どんなに辛い日々でも、彼女は懸命に生きていた。それは、本能的なものだったのかもしれない。生きることを諦めるという選択肢は、彼女にはなかった。 第二章: 残酷な転機 七歳を迎える少し前、母親は突然死んだ。ある日、母親は真っ青な顔をして倒れ、そのまま息を引き取った。麻薬の過剰摂取。貧民街では珍しくもない死因だった。 母親の死体は、数日間放置されたままだった。誰も母親の死に気づかず、気にしなかった。そのまま、母親の死体は白骨化した。 母親の死後、彼女は完全に一人になった。誰も彼女の面倒を見てくれる人はいなかった。貧民街では、孤児は珍しい存在ではなかったが、誰もが自分の生活に必死で、他人の子供に構う余裕などなかった。 彼女は、今まで以上に過酷な生活を送ることになった。母親がいた時でさえ過酷な生活だったのだから、一人になった彼女の生活は、想像を絶するほど過酷なものだった。それでも、彼女は生き延びた。彼女の中に眠る、強い生命力が原因だったのかもしれない。 不幸という言葉では、彼女の幼少期を表現することは到底できない。絶望と苦痛、そして飢餓と寒さ、暴力と孤独が蔓延る、漆黒の闇のような日々だった。しかし、その闇の中で、彼女は確かに生きていた。 第三章: 犯罪と差別 母親を失った彼女は、文字通りの孤児となった。頼るべき親戚などいるはずもなく、国の保護を受けることもなかった。貧民街では、そのようなシステムは機能していなかった。 生きるためには、自分で何とかするしかなかった。しかし、幼く、生きるために何も学べなかった彼女にできることなど、ほとんどなかった。読み書きもできない。特別な能力も持っていない。あるのは、何故か生き延びたいという強い意志だけだった。 最大の問題は食べ物だった。母親がいた頃は雀の涙ほどだが、わずかな食料をもらえた。これからは完全に一人で食料を調達しなければならない。野鼠や虫だけでは飢えを堪えきれないからだ。 彼女はゴミ捨て場へ行くことを嫌った。差別され、虐められるからだ。しかし、生きるために彼女は毎日、ゴミ捨て場へ行き、食べられそうなものを探した。腐った野菜、食べ残された肉の骨、虫が湧いたパン屑。どんなものでも、飢えを満たすためには貴重な食料だった。 そんな彼女に目を付けた他人は「ウジ虫」と差別し、虐待する者もいた。僅かながら善意を持つ人々もいたが、彼女を助けることはなかった。 食料が見つからない日は、一日中何も食べられないこともあった。空腹は、容赦なく彼女の体を蝕んだ。胃が痙攣し、力が抜けていく。意識が朦朧とし、立っていることすら辛くなる。それでも、彼女は諦めなかった。飢え死にだけは、絶対に避けたかった。 水などももちろん無かった。渇きは、飢餓と同じくらい苦痛だった。喉がカラカラに乾き、声も出なくなる。体中の水分が失われ、体はカサカサになった。彼女は、生きるために、どんなに汚い水でも飲んだ。時には、下水の溝に溜まった水を飲むこともあった。悪臭が鼻をつき、吐き気を催したが、それでも渇きを癒すためには我慢するしかなかった。 住む場所も、常に不安定だった。母親と住んでいた小屋は、母親の死後、容赦なく追い出された。家賃など払えないからだ。彼女は、小屋を失い、完全に路上で暮らした。雨風を凌げる場所などない。夜は、寒さに震えながら眠った。夏は、日差しを遮るものがなく、熱中症になり、倒れたこともあった。しかし、安全な場所などなかった。 その度に、恐怖と絶望に打ちのめされた。それでも、彼女は生き延びた。絶対に生き延びようとした。希望。それは、彼女にとって、まるで蜃気楼のようなものだった。掴もうとしても、絶対に掴めない。彼女は希望を追い求めた。いつか、この苦しみから解放される日が来ると信じて。母から話された「幸福な生活」である温かい食事を腹一杯食べ、清潔な水で喉を潤し、安心して眠れる日が来ると信じて。しかし、現実は、常に彼女の希望を打ち砕いた。貧民街の生活は、日に日に厳しさを増していった。 第四章:絶望の淵 十一歳になった夜、神は彼女にさらなる不幸を与えた。貧民街の外れで、一人うずくまっていた彼女の前に、一人の男が現れた。見慣れない男だった。清潔な服を着て、体格も良く、貧民街の人間とは明らかに違っていた。男の顔は、酔っているのか、茹でダコのように赤かった。目は、ギラギラと光り、獲物を探す獣のようだった。この男は、ロリコンであり、貧民街から『綺麗な』少女を見つけては攫い、自宅で玩具にするという歪んだ趣味を持つ、金持ちのドラ息子(43歳)だった。 酒にでも酔っていたのだろうか。男は、彼女に近づき、しゃがみこんで顔を覗き込んだ。「いい面してるなぁ。こんなところで何してるんだ?大丈夫だ。俺が特別に『可愛がって』あげるから」 彼女は、警戒心を露わにし、男から距離を取ろうとした。しかし、男は素早く彼女の腕を掴んだ。「怖がらなくてもいいんだよ。俺は“誰にでも”優しいから。お腹いっぱい食べさせてやる。温かいベッドで寝かせてあげる。どうだ?いい話だろう?」 男の言葉は、甘い誘惑だった。飢えと寒さに苦しむ彼女にとって、それはまさに夢のような話だった。しかし、男の目は、優しさとは程遠い、汚れた欲望に満ちていた。彼女は、本能的に危険を感じた。「いや……。離して……。」彼女は、震える声で抵抗しようとした。しかし、男は彼女の抵抗をせせら笑い、強引に彼女を抱きかかえると、待たせていた馬車に押し込み、貧民街から連れ去った。 連れてこられたのは、彼女が今まで見たこともないような豪華な屋敷だった。男は彼女を屋敷の一室に閉じ込め、その歪んだ欲望の赴くままに弄んだ。彼女は抵抗する術もなく、ただ耐えるしかなかった。屈辱と恐怖、そして燃え上がるような憎悪が、彼女の心を支配した。どれほどの時間が経ったのか、男が油断し、彼女に背を向けた瞬間、彼女の目に、部屋の隅に置かれた重厚なブロンズ製の女神像が映った。それは装飾品として置かれていたものだったが、幼い彼女でも持ち上げられる程度の大きさだった。 「お前みたいな下等生物は、黙って俺の奴隷になんだよ!それがお前の“価値”なんだよ!」 男が吐き捨てるように言ったその時、彼女は最後の力を振り絞り、その女神像を手に取った。そして、憎悪と共に、振り返る男の頭部目掛けて、思い切り振り下ろした。「ガンッ」鈍い音と共に、男の動きが止まった。 男は、苦悶の表情を浮かべ、床に崩れ落ちた。彼女は、震える手で像を落とし、男の顔を見た。男の目は、虚ろに宙を見つめ、口からは血が溢れ出ていた。彼女は、自分が何をしてしまったのか、理解できなかった。ただ、目の前の男が、もう動かないことだけは理解できた。そして、自分が、とんでもないことをしてしまったのだということも。 恐怖と混乱の中、彼女は血まみれのまま部屋を飛び出し、屋敷から逃げ出そうとした。しかし、物音を聞きつけた使用人たちにすぐさま取り押さえられた。 彼女の小さな抵抗は、大人たちの力の前には無力だった。 第五章:腐った法廷 衛兵に連行された彼女を待っていたのは、冷たい鉄格子の牢獄だった。狭く暗い独房の中で、彼女は一人、震えていた。自分が何をしてしまったのか、未だに理解できていなかった。ただ、目の前の現実は、あまりにも過酷すぎた。 取り調べは、容赦なかった。衛兵たちは、彼女を犯罪者として扱い、冷たい言葉を浴びせ続けた。「お前がやったんだな?」「動機は何だ?」「計画的犯行だったのか?」彼女は、ただ恐怖に怯え、泣きながら首を横に振るだけだった。言葉で説明することなど、到底できなかった。 刑事たちは、彼女の態度に苛立ちを募らせ、さらに厳しい言葉を投げつけた。「黙秘か? 反省の色が見られないな」「どうせ、貧民街のゴミだろう? ロクな育ち方をしてないんだな」彼女は、刑事たちの言葉に深く傷ついた。まるで、自分が人間ではないかのように扱われているように感じた。貧民街出身であること、貧しいこと、それらは、彼女にとって、消すことのできない烙印だった。 裁判は、不平等だった。被害者は、金持ちのドラ息子。加害者は、貧乏人の孤児。その事実は、裁判の行方を決定づけていたと言っても過言ではなかった。社会は、役に立つ金持ちの味方であり、役に立たない貧乏人には冷酷だった。 ドラ息子一家に買収された弁護士は、彼女を救おうとはしなかった。弁護士は、ロリコン一族から多額の報酬を受け取り、彼らの傀儡と化していた。法廷で弁護士が語った言葉は、彼女を守るものではなく、むしろ、彼女を罪人として断罪するかのようだった。 検察官は、冷酷な視線で彼女を見下ろし、情状酌量の余地など全く認めようとしなかった。検察官にとって、彼女はただの「貧民街の犯罪者」であり、社会の秩序を乱す害悪でしかなかった。検察官は、法廷で声高に死刑を求刑した。その言葉は、法廷に重く響き渡り、彼女の心を絶望させた。 裁判官は、最初から判決が決まっていたかのように、ろくに審理もしなかった。裁判官は、社会の空気を読み、金持ちの意向を忖度した。そして、判決が言い渡された。「被告人を“死刑”に処す」 彼女は、自分の耳を疑った。死刑。それは、あまりにも過酷な判決だった。過剰防衛だったとはいえ、人を殺してしまった事実は重い。しかし、彼女はまだ子供だったし、ドラ息子が先に手を出したのだ。十一歳。人生を歩み始めたばかりの少女に、死刑判決は、あまりにも残酷すぎた。 傍聴席からは、罵声が飛んだ。「人殺し!」「生きてる価値ねえんだよ」「貧乏人のゴミが!」周りからの冷たい視線、差別する言葉、罵詈雑言。それらは、彼女の心を深く突き刺した。 もう助からないと悟った彼女は、これまで我慢してきたものが堰を切ったように溢れ出したのかもしれない。彼女は、自分が社会から完全に拒絶された社会不適合者だと悟った。誰一人として、彼女を理解しようとはしない。誰一人として、彼女を助けようとはしない。 絶望の淵に突き落とされた彼女は、法廷で泣き叫んだ。独房でも泣き叫んだ。「死にたくない……! 助けて! 何でもするから許して!」しかし、彼女の叫びは、誰の心にも届かなかった。 裁判官は、冷酷な表情で法廷を後にし、弁護士は、すぐに逃げ出した。検察官は、勝利を確信したように、達成感に満ちた笑顔を浮かべていた。残されたのは、彼女一人だけだった。冷たい鉄格子の中で、彼女は、ただひたすら泣き続けた。そして、独房の隅には、古びた壺が置かれていた。埃を被り、何年も前からそこにあるかのように、ひっそりと存在していた。 彼女は、その奇妙な壺に一瞥をくれることもなく、ただ絶望に沈んでいた。 死刑執行の日が、刻一刻と近づいていた。彼女の未来は、完全に閉ざされた。希望の光は、どこにも見当たらなかった。 第六章:魔王の復活 死刑執行の日が迫る夜、牢獄は静寂に包まれていた。重い鉄の扉が閉まる音、遠くで聞こえる看守の足音、時折響く囚人たちのうめき声。それらだけが、この場所が牢獄であることを示していた。 彼女は、独房の隅で、膝を抱えて座っていた。明日は、死刑が執行される日。それが、彼女の人生の最後の日になる。死というものが、どういうものなのか、彼女にはよく分からなかった。ただ、もう二度と、温かい陽の光を浴びることも、美味しいものを食べることも、自由に走り回ることもできないのだということだけは理解できた。死への恐怖が、彼女の心を締め付けた。死にたくない。生きたい。そう強く願った。しかし、彼女の願いが叶うはずもなかった。運命は、彼女を見放した……かのように思われた。 死刑執行前日、彼女の目に、牢獄の片隅に置かれた古壺が映った。それは、埃を被り、札が貼られた古びた壺だった。この牢獄は、かつて強大な魔王が封印されていた場所に建てられたという言い伝えがあった。衝動に駆られ、彼女は壺に近づいた。手を伸ばし、壺に触れた瞬間、彼女の内に眠っていた強い負の感情に呼応するように、壺から微かな魔力が流れ込んできた。彼女は、さらに興味を惹かれ、壺を手に取った。壺の表面には、奇怪な模様が刻まれていた。それは、人間界の文字ではなく、古代魔族の文字だった。彼女は読めなかったが、その模様から強大な力が封じられていることを本能的に感じ取った。そして、絶望の淵に立たされた彼女は、無意識のうちに、その力に縋るように壺を牢獄の床に叩きつけた。壺は粉々に砕け散った。その瞬間、凄まじい威圧感とともに高慢な男が現れた。魔王だ。 魔王は、牢獄の片隅で小さく震える彼女を、まるで価値を測るように見下ろした。彼女の内に渦巻く強烈な怨念と、決して折れない強い意志を、魔王はその強大な魔力によって瞬時に見抜いたのだ。 「認めたくないが、永き眠りについていた私の封印を、貴様が解き放った事実は評価に値する。小娘。」 「そして、人間でありながら、これほどの怨念と執念を抱えているとはな。その瞳の奥には、凄まじい復讐心と、決して折れない強い意志が見える。面白い。」 魔王はそう呟くと、嘲笑うかのように言った。 「どうせ、その腐った人間社会に見捨てられ、明日には無惨な死を迎えるのだろう。 ならば、特別に魔族として新たな生を与えてやろう。その歪んだ才能と憎悪は、私の軍勢において大いに役立つだろう。」 魔王の指から、黒いオーラが奔流のように噴き出した。それは、彼女の全身を瞬く間に覆い尽くすほどの強大な闇の力だった。激痛が全身を駆け巡り、彼女はすぐに意識を失った。魔王の力は、当時の彼女の魂には強大すぎたのだ。しかし、意識を取り戻すと、彼女は以前とは全く違う、強大な魔力をその身に宿していることを感じた。彼女は、宿ったばかりの力に戸惑いながらも、本能的にそれを操り、牢獄の鉄格子をいとも容易く破壊し、脱獄を果たした。看守たちは、突然の異変と彼女から放たれる強大な魔力に恐れ慄き、為す術もなく命を落とした。牢獄を脱出した彼女は、夜の闇に紛れ、街へと姿を消した。 第七章:復讐 魔族へと変貌を遂げた彼女は、復讐を開始した。まず、その身に宿った強大な魔力の一端を使い、周囲の人間たちを意のままに操り、ドラ息子一家の悪事を白日の下に晒した。社会的な地位を失い、財産も失った一家は、瞬く間に貧困へと突き落とされていった。そして、最後に彼女が与えたのは、貧民街の安アパートで怯えながら地に伏す一家への、容赦なき鉄槌だった。 一家の前に姿を現した彼女は、その変貌した姿と圧倒的な魔力で、一家を恐怖のどん底に突き落とした。 「覚えてる? 路地裏でテメェらの息子に襲われた、あの貧民街の少女よ」 彼女の言葉に、一家は青ざめた。ドラ息子の父は、震える声で命乞いをした。 「ごめんなさい! 許してください!地獄で息子を叱ります!」 しかし、彼女の心に、同情の念など微塵もなかった。長年の恨みと、魔族としての力が、彼女の心を冷酷に染め上げていた。 「許す? 笑わせるね。あなた達が私にしたこと、忘れたの?」 彼女は、冷たい笑みを浮かべ、強大な魔力を解放した。その力は、一家を容赦なく拷問し、絶望の淵へと突き落とした。一家は、断末魔の叫びを上げながら、絶命した。彼女は、その光景に異常なほどの快感を覚えた。貧民街で味わった絶望と苦痛が大きかった分、他者の苦しみを見ることで、歪んだ充足感を得るようになっていたのだ。同時に、新たな感情が芽生えていることに気づいた。それは、人の醜い部分を嘲笑う、冷酷な愉悦だった。こうして、冷酷な性悪女が誕生したのだ。 リヴァイア語録 * 「困ったことがあったら、いつでも頼ってね。力になってあげるよ、もちろん、私が楽しければ、だけどね」 * 「みんな、いつも頑張ってくれてありがとう!期待してるよ!もちろん、期待を裏切ったらどうなるか、分かってるよね?」 * 「虚構ちゃんとの絆は特別なんだ。」 * 「君の命は私が握っているんだよ?ミスしたらどうなるか分かるよね?」 * 「四天王なんて、私の踏み台になるだけ。何も怖くない。」 * 「お酒も苦手なの。酔って醜態を晒すなんて、絶対に嫌!常に完璧でいたいんだもん」 * 「相手が絶望する顔を見るのは最高だよね!最高の感覚に襲われない?」 * 「今日もまた、敵を嘲笑って、部下を仲良く支配して…………楽しい毎日だと思わない?」 * 「自分が生きてて楽しければ、それで全てOK!他人のことなんて、ぶっちゃけ、どうでもいいんだ。」 * 「醜態を晒す!?そんなの絶対に嫌!常に美しく、強く、そして楽しんでいる私を見ていてほしい!」 * 「お願い?助けて?そんな言葉を吐く人間は、本当に醜いと思うんだ。自己完結できない奴は死んだ方がマシ。」