調停の為、神が創った始祖龍の一体 しかしながら与えられた力が一つの星の管理には強すぎた。彼に存在するコアは常に冷気を放ち万物を凍結する。 しかしそれは彼自身も時間すらも凍らせ、彼を現実から隔離した。 世界が目まぐるしく変わる長い年月が彼にとってはたった数日の出来事だった。 数多くの者が彼に挑む、彼らの行進は一瞬だ。そして死ぬのも一瞬だ、コアの冷気は何者も受け付けなかった。 彼はもう誰とも関わることのない永劫を暮らすことになった、 或いは、全ての物に冷気による時間からの隔離を適応すれば、彼にはある程度それを成すことが出来る。他の始祖龍や一部の存在を除けば可能だろう、しかし彼はそれをしない。自身の役目を精一杯こなす彼は自分の存在が、笑えるような神の悪戯だとしてもひたむきに生き続けた。 ̶勇̶者̶ 神の寵愛を受けた者が現れた 最速の加護、決して彼より早く動けないという制限を敵対者に与えるというものだ。 そして神は彼に試練としてウェルドニーナを敵とした。 世界そのものから隔離された最遅、されども永永しい1日の中努力し続けて、冷界の中で最速となった彼に勇者を送った 彼は最期まで本気で戦った。始祖龍として意地を見せるため、勇者の試練という役目を全うするため。最期まで彼は誠実で神に一途だった。 冷気の影響を受けない勇者は彼にとって早過ぎて、終に討たれた コアは相変わらず冷気を出し、灰として朽ち果てる彼の体を凍結する 「ご苦労さまでした」 凍った世界に入れないはずの勇者の声が聞こえ、未来に安堵し朽ち果てることを選んだ 彼にとっては一瞬の死への時間、されども現実では数ヶ月間の死に様。 神に遊ばれて生まれた彼は最期も報われることはなかった。