水晶に映る一つの生きた物語。 『諦めるな! この先に私たちの希望がある! みんな、諦めるな!』 『そうよ! あのアキラが諦めていないのにどうして私たちが諦めることができるというの!』 輝かしい鎧を身に纏った彼ら。 それに相対する者はまさに悪の権化とも言うべきであろうスキンヘッドの男とその部下達。 『ふははは! この遺物さえあれば俺様と貴様らの戦力差は歴然!』 『くくく! いいかげん諦めて俺らに可愛がられろよ!』 そんな彼ら彼女らを”運命”は冷めた目で見つめる。 スッと『運命』が片腕を動かせば既定された運命の歯車が動き始める。 『ふはは! さぁ、殲滅のメロディーを!……ん? なんで動かないんだ⁈』 『ど、どうしたんすかボス!』 『何かわからないが今がチャンスだ!』 『おぉぉ!』 『ぐわぁぁぁ』 『正義は勝つ!』 どうやら青年達が勝ったようだ。 「正義は勝つ、ね。既定された運命の歯車の一つの分際で大きく吠えるわね。死の運命に書き換えてしまおうかしら?」 それも面白いけど、今は仕事優先ね、と呟きながら”運命”は次の運命を動かすために、水晶に手を翳して大きくため息を吐くのだった。