Sign In

《 Chapter 1-1 「海を渡って」 》

焼ける空に、朝日が昇りゆく。 だが、響く鈍い音は一度たりとも止むことはない。 ここは終焉へ向かう戦場だから。 ... ....... ____「おい、起きろ!」 「このままだと死んじまうぞ!」 地面に落ちた男は目を覚ました。 眼前に広がるのは、見渡すばかりの荒野。 そして、亡骸。 「次弾、着弾しますわ!回避を、奏!」 瞬間の爆発ののち、目の前の土煙が晴れていく。 「全く、加減を知らないみたいだな、お嬢?」 「えぇ、こちらも火力全開でいきますわよ!」 楽器を掲げる男と、ガトリングを両手に抱えた少女が前に踏み出したかと思えば、はるか向こうへと銃口を向ける。 男は即座に直観した。 私も戦わなければ。 「君たち、私もともに......」 「わたくしのような力ある者は、貴方たちを守る義務がありますの。おとなしく守られて下さいまし。」 銃口を向けたまま、彼女は断った。 だが男には譲れなかった。 「......なら、力を示せばいいということだな。」 楽器を構えたまま、男は一瞥する 「あんまり無理はしない方がいいぜ?」 「なんの、私の力なら問題はない。」 男は向きなおし、かすかに笑った後に続けた。 「......そうか、ならいい。」 「俺の名前は幸田奏。よろしく頼むぜ」 隣の少女がそれに続いた。 「わたくしはブチコーム大佐!お好きなように呼んでよろしくてよ?」 「」 「俺たちは今、とある国との戦争下にある。」 「ここはその戦場だ。」 「気を抜かないでくださいまし。油断すると体に穴が......」 彼女の言葉のあと、即座に数発の光弾が上空を飛翔し、前方を複数の異形が駆け抜けるのが見えた。 その直後、数本の刃を携えた狐のような生き物がこちらに襲い掛かるのが見えた。 「話をすれば......お嬢!」 「いや、私に任せろ!」 男は即座に飛び出し、力をためる姿勢を取る。 「これでも食らえ!」 「超ウルトラスーパーすごい一撃!」 大ぶりの拳をぶつけた瞬間、敵は彼方まで吹き飛ばされた。 「......どうやら、嘘じゃないことは確かみたいだな」 「私の名はすごいマン。」 「私の拳は隣の山田さんの箸使いよりも強い!」 「なんですの......そのポーズは......」 それを形容するならば、まさしくグリコだっただろう。 「......なんで星渡には変な奴が多いんだ。」 すごいマンは構えなおし、拳を次の敵に向ける。 「続けるぞ、二人とも!」 彼の降りぬいた拳に、二人も続いていく...... ......