蛙の王子は途方に暮れていた。 これまで多くの人間と出会い、自分の全身全霊をかけて家臣へ誘ったが凡て失敗に終わった。 確かに自分は醜い蛙だが、心はどんな人間よりも温かく優しいと自負している。 「…全く嫌になる。本来ならば、あの娘が少しでも温情を持っていれば話は楽であったのに…」 悲しみに暮れる蛙を宥めようと、唯一の忠臣である鉄の騎士が声をかけようとするが無意味である。 「…そう落ち込まれるな、王子殿」 「!! こ、これは大魔法使い様!」 背後から聞こえた声に蛙は頭を下げる。 「事を急げば元も子もなくしますぞ王子殿」 しわがれた声で大魔法使いは言う。 「幸いにもこの地には多くの猛者が居られる。急ぐ必要はないでしょう」 蛙の王子は何か言い返したかったが、己に水魔法を教えてくれた大魔法使いに文句は言いたくない。 「焦ってはなりません。着実に進むのが一番なのですよ。貴方は聡い筈です、その頭は糠と針で出来ている訳ではないでしょう?」 エメラルドの目をギョロギョロと動かして、大魔法使いはそう告げたのである。 うむ? おお、君はいつぞやあった強者ではないか! なんだい、遂に私の臣下に加わる……え? 白兎を知っているか、だと? もしかして、奴を探しているのか? 良いだろう、特別に案内しよう! [https://ai-battler.com/battle/69d2355e-aa51-4606-8c00-d16e344f9322]