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【瀠星を求めて】星ノ夜 さとり

“今日も空は濁り後、雨。” 星ノ夜さとりは都会に生まれ、都会で育った。 郊外に出たことは一度もない。 親はどちらも仕事一筋で、旅行はおろか、家で留守番の日々が続いていた。 「私の両親は偉大な研究者です。難しいのであまり分かりませんが、どうやら宇宙を調査する仕事のようです。私の街では宇宙なんてただの暗闇。あれを調べていて楽しいのでしょうか…。」 さとりは愛情を欲していた。父と母には大事にして欲しかった。だから、彼らを魅了し連れ去った宇宙は嫌いだった。 そうして、彼女は心を閉ざしていった。 ある日の夜中、彼女の住む地区で突如、停電があった。どうやら電気供給の岐路でトラブルがあったようだった。 この日も彼女は家でひとり留守番をしていた。さぞ怖かったことだろう。 彼女はベランダに飛び出して助けを呼ぼうとした…が、それは叶わなかった。 さとりは、見慣れた角度の、知らない景色を目の当たりにしていた。