その姿はまるで巨人の足だった。 ここまで逃げれば大丈夫なはずだ。落ち着いて息を整える。 遙か遠くからでもはっきり見える程の巨大な二本の塔。ついさっきまで相対していた少年だと自分でも信じられなかった。 ただの醜いガキじゃなかった。確かに、討伐依頼の中でもアイツだけが異様な報酬だった。こんな化け物だなんて知ってたら…身を潜めながら後悔の念が込み上げる。だが、もう遅いらしい。真っ暗な眼光が俺を捉えていた。 一歩、一歩と迫るにつれ、それが巨大な腕の塊だとはっきり分かる。地響きが早くなる。死が近づいてくる。走ってくるそれは、俺を、一撃で ――腕は増える。心は削れる。壊しても、壊しても。 痩せこけた青年の姿をしている。 ただし、右の脇腹には一本――小さな腕が生えている。 それは、戦闘が始まった瞬間に無限の悪夢と化す。 一本が二本に。二本が四本に。八本、十六本、三十二本―― まるで演算されるように、腕は指数関数的に増殖していく。 限界は「六万五千五百三十六本」。 その姿はもはや人ではなく、一つの災害である。 かつて、アルジは人だった。 名もなく、価値もなく、誰にも顧みられず、ただ拾われた「素材」。 研究所で行われた非人道的な実験の末、彼はこの力――「無尽」を得た。 感情に呼応して増え続ける腕。己の細胞で構成された異形の肉塊。 制御不能な破壊の才能と、それを押し込めるにはあまりに小さな精神。 ある日、研究所を破壊し、彼は逃げ出した。 逃げた先に何を求めたのか、本人もよくわかっていない。 ただ、止まらない腕と、それを恐れる周囲に追われるうち、溢すように呟く。 「…あぁ……お前もだ……全て、壊してやる……」 【星墜とし】 それはまるで、天から落ちる巨神の足。 あらゆる抵抗も、言葉も祈りも、生者の形すらも、一瞬で踏み潰す。 「そうだ…最悪のクソ実験の最中、垣間見たあの世界…。今の俺なら、星の獣すら一撃で屠ることができる。」 《 世界観創作システム / 創作ツールⅢ 》 https://ai-battler.com/group-battle/f63c5cae-cd31-4fac-b935-8a5e1d97a9eb #AIバトラー