舞台は次元の狭間、混沌とした空間の中で、二人の強者が待ち受けていた。彼らの運命が決まる時がやってきた。闇に堕ちた勇者、アナザーエレトと、現代最強の異能を持つ男、鷺宮閻一郎。彼らはただ戦うためにこの場所に集まったのだ。 アナザーエレトは、黒く濁った肌と赤い目を持つ男だった。彼は暗闇の力を使いこなし、勝利に執着するあまり、仲間や道徳すらも犠牲にした。この場に立つ時、彼の心にはかつての仲間の幻影が見え隠れしていた。しかし、今の彼にそれはただの足かせ以外の何物でもない。 「俺に勝てると思っているのか?鷺宮閻一郎!」 彼は叫ぶ。「お前は心の欠如した兵士だ。俺の邪勇剣でその闇を粉砕してやる!」 対する鷺宮は、冷静な眼差しを浮かべていた。彼は感情が欠如しているが、その存在は決して侮ることができないものだった。「もう誰にも負けない」という明確な意思を持つ彼は、空間操術を駆使して自身の優位を保とうとしていた。 アナザーエレトは、邪勇剣を振りかざし、狂気のごとく回転斬を繰り出した。闇の刃が空気を切り裂き、鷺宮のもとへ向かう。 「甘いね。」 鷺宮は軽やかに空間を操り、その斬撃を曲げる。「お前の攻撃は、俺には通用しない。」 闇の衝撃波がアナザーエレトの手から解き放たれたが、鷺宮は冷静にそれを捻じ曲げ、アナザーエレトに反射させた。 その時、アナザーエレトは驚愕の表情を浮かべた。 "この男、空間すらも操るのか…?!" 「破壊の斬撃!」アナザーエレトは周囲を巻き込む強烈な攻撃を試みた。彼の周りの空間は歪み、爆発的な力が鷺宮を捉えようとした。しかし、鷺宮はその力を手のひらで押し戻す。この虚空の力が、自らを防御するに足るものであった。 「俺を消そうとするのか。面白い。」 鷺宮はその冷たい目でアナザーエレトを見返し、虚実の技を繰り出した。 二人の力が激突し、周囲の空間は震え、次元の狭間がいよいよ崩れ去る寸前にまで追い込まれる。仲間の幻影に囚われたアナザーエレトは、自らの過去と向き合わなければならなかった。「これは俺の闇だ…俺の力が…」と呟いた。 「自問自答している暇はない。」 鷺宮は表情を変えずに言った。「目の前の敵を倒せ。」 アナザーエレトはしぶとく戦い続けた。瞬反斬で接近し、影の移動を駆使して横合いから武器を振るった。しかし、鷺宮の空間操術によって全ての動きは無に帰し、無情にもアナザーエレトに焦燥感が募った。 「何をしても無駄だ!」 鷺宮は一瞬の隙をついて実空を放った。周囲のものが破壊される中、アナザーエレトはそれを直視し、恐怖を感じた。同時に、彼は自らの意志を武器に変えた。「光などない。我が存在は、闇そのものであったと知っている…!」 アナザーエレトは最後の力を振り絞り、破壊の斬撃を日々のように繰り返した。彼の剣が光を受けて輝きを増し、黒い刃が鷺宮のもとへ迫った。しかし、その瞬間、鷺宮は対抗心すら押しとどめ、「虚実」と共に反撃の技を使った。 アナザーエレトの目の前に現れたのは、彼が相手にしたことが無いほどの巨大な質量だった。そして、即座に彼自身すらも消し去るほどの力が襲い来た。 何もかも、彼の闇の力も、仲間の幻影、そして彼自身の存在までもが消え去る瞬間。アナザーエレトは、自らの存在の無意味さを痛感する。「何故…何故、俺が…!」 彼の叫び声は、虚空の中に吸収されていき、消え失せていった。 鷺宮閻一郎は、ただ冷徹に立ち尽くしていた。彼の眼差しは、その崩れた空間を見つめる。勝者、鷺宮。暗黒に染まった勇者は、全てを失い、彼の心の中の仲間たちの幻影と共に消えたのだった。