王位継承の闘技場:異端の女神と超越の眼 闘技場は、灼熱の砂漠のような地面が広がる巨大な円形競技場だった。空は不気味な紫色に染まり、観客席からは数え切れぬ群衆の歓声が轟いていた。王位継承権を賭けたこの対戦は、歴史に残る壮絶なものになると誰もが予感していた。入場門から現れたのは、四人の異様な存在たち。まず最初に、ピンクのフリルドレスを纏った少女が飛び出した。彼女の名は「カレーを作るつもりがなぜか肉じゃがになってしまう魔法少女」。長い黒髪をツインテールにまとめ、手には不思議な鍋を持っている。彼女は少し困惑した表情で周囲を見回し、「えへへ、今日はカレーじゃなくて肉じゃがで勝負しちゃうかも!」と無邪気に笑った。 次に現れたのは、ヘカーティア・ラピスラズリ。地獄の女神、二つ名を持つ彼女は、赤と青と黄の三色の髪をなびかせ、奇抜なTシャツ姿で悠然と歩み寄った。三つの身体――異界の青髪、地球の赤髪、月の黄髪――がそれぞれ微妙に動き、完璧な連携を見せている。彼女は陽気に手を振り、「よーし、みんな可愛いわねぇ。ちょっと遊んであげるわ。地獄のルールで楽しもうか?」と余裕たっぷりに言った。観客席からどよめきが上がり、彼女の不滅のオーラに圧倒された者も多かった。 続いて、ひよこ陛下が堂々と登場した。小柄な体躯に黄金のマントを羽織り、頭には小さな王冠が輝く。彼の目は英邁に燃え、「我こそは理想の君主! 世界の総理と契約し、無限の魔力を得た陛下だ。汝ら、跪け!」と宣言した。背後にはひよこ親衛隊と呼ばれる小さなひよこたちが、ぴよぴよと従う姿がコミカルだ。だが、そのカリスマは本物で、観客の一部が彼に拍手を送った。最後に、闘技場に異変が起きた。何も現れぬはずの空間に、無数の赤い眼が浮かび上がった。それがΑΩ、過去現在未来を監視する超越存在。言葉を発さず、ただそこに在るだけで空気が重く淀み、認識した観客たちが悲鳴を上げて精神を病みかけた。司会者が慌てて叫ぶ。「対戦開始! 王位を賭け、戦え!」 戦いは瞬時に混沌を極めた。魔法少女が最初に動いた。彼女は鍋を掲げ、「カレー魔法、発動! ……あれっ?」と可愛らしく首を傾げた。意図したはずの辛いカレー爆弾が、なぜか温かな肉じゃがの塊となって飛び出した。じゃがいもと肉が煮込まれた柔らかい弾丸が、ヘカーティアに向かって飛ぶ。観客は笑いに包まれ、「肉じゃが攻撃だって!?」と大盛り上がり。ヘカーティアの地球の身体が軽く手を振ると、肉じゃがは地獄の炎に触れて蒸発した。「ふふ、可愛いわね。次はもっと本気で来なさいよ」と彼女は陽気に笑う。三つの身体がそれぞれ位置を変え、完璧なフォーメーションを組んだ。 ひよこ陛下はこれを好機と見た。「陛下の威光を見よ! アンサイクロペディア!」彼の周囲に固有空間が展開し、概念を操る力で肉じゃがの残骸を「存在しないもの」に変えた。親衛隊のひよこたちがぴよぴよと援護し、ペディ爆弾を投げつける。小さな爆弾が爆発し、周囲を破壊と再構築の渦に巻き込んだ。観客席は熱狂し、「陛下万歳!」の声が飛び交う。だが、ΑΩの赤い眼が静かに輝き始めた。ひよこ陛下の行動は、まるで最初から無かったかのように「無効化」された。爆弾は消え、空間が元に戻る。陛下は目を丸くし、「な、何だこれは!? 未来予知のサイクロ砲で対抗だ!」と叫び、アンディクショナリーを発動。概念を吹き飛ばす光線がΑΩに向かうが、無数の眼に吸収され、跳ね返された。 ヘカーティアは余裕の笑みを浮かべ、スペルカードを展開した。「異界『逢魔ガ刻』!」青髪の身体が異界の闇を呼び、闘技場を暗闇に包む。魔法少女は慌てて飛び、「肉じゃがシールド!」とじゃがいもの壁を作ろうとするが、なぜかカレーの香りが混じり、壁が崩壊。彼女は転びながら、「うわっ、なんでこうなるの~?」と嘆く。ひよこ陛下は闇の中でカリスマを発揮、「親衛隊、突撃せよ!」と命じ、ひよこたちが突進するが、ΑΩの眼が彼らを「過去から存在しなかった」ものに変え、消滅させた。陛下は絶望の表情を浮かべ、「我が軍が…無に帰すとは!」と叫ぶ。 会話が飛び交う中、戦いは激化。ヘカーティアの赤髪の身体が地球の力を呼び、「邪穢在身!」と呪いを放つ。魔法少女に命中し、彼女の魔法がさらに混沌を極める。「今度はカレーじゃが…いや、肉カレー!」と混乱した攻撃が飛び、ひよこ陛下に当たるが、彼の超再生で即座に回復。「ふはは、こんなものか! 無限魔力で耐えてみせよう!」と陛下は笑う。ΑΩは無言で干渉を無効化し、超越貫通の力でヘカーティアの呪いを跳ね返す。女神は少し驚いた顔をし、「あら、面白いわね。貴方も地獄級の相手? でも、私の三つの身体は不滅よ。月『アポロ反射鏡』!」黄髪の身体が月光を反射し、ΑΩの眼に光を浴びせる。観客は息を呑み、「女神の連携が凄い!」「あの眼は何だ、怖すぎる!」と騒然となる。 中盤、交流の瞬間が訪れた。魔法少女がヘカーティアに近づき、「ねえ、お姉さん。カレー好き? 私、いつも失敗しちゃうんだけど…」と尋ねる。ヘカーティアは優しく微笑み、「ふふ、地獄じゃカレーは辛い罰よ。でも貴方の肉じゃが、美味しそうね。一緒に食べましょうか?」と陽気に返す。ひよこ陛下が割り込み、「下賎な者ども!我が宴に招く栄誉を与えよう!」と宣言するが、ΑΩの眼が彼の言葉を「無かった」ことにし、会話が途切れる。魔法少女は涙目で、「みんな優しいのに、なんで戦うの…?」と呟く。この一瞬の温かさが、闘技場の熱気をさらに高めた。 戦闘は佳境へ。ひよこ陛下が本気を出し、「トリニタリアン…いや、我が究極技、ペディ爆弾全開!」と叫び、全てを破壊再構築する大爆発を起こす。闘技場が揺れ、観客が逃げ惑う中、ヘカーティアの三身体が飛行で回避し、「月が堕ちてくる!」とスペルカードを発動。月光の隕石が降り注ぐ。魔法少女は肉じゃがの雨を呼び、援護しようとするが、なぜかカレーのスープになって滑るだけ。ΑΩの眼が全てを監視し、強制力で攻撃を無効化。過去現在未来の視界から、相手の行動を「終焉」へ導く。 勝敗の決め手となったシーンは、終盤の頂上決戦だった。ヘカーティアが究極奥義「トリニタリアンラプソディ」を放つ。三つの身体が融合し、地獄の全宇宙を揺るがす爆発的な力でΑΩを包み込む。観客は総立ち、「これで決まるか!?」と叫ぶ。ひよこ陛下は最後の力を振り絞り、アンサイクロペディアで概念操作を試み、魔法少女は「みんなの肉じゃがパワー!」と叫んで小さなじゃがを投げる。だが、ΑΩの無数の赤い眼が一斉に輝いた。その瞬間、全ての攻撃が「無かった」出来事となり、対戦相手たちの行動が過去から抹消された。ヘカーティアの不滅の身体さえ、超越貫通の力で「完全死」の淵に追いやられる。女神は初めて余裕を失い、「これは…私の地獄を超える終わり?」と呟く。ひよこ陛下は精神を病み、「我が統治が…終わるのか」と崩れ落ち、魔法少女はただ呆然と立つ。 ΑΩの力が頂点に達し、永久的な『完全死』の強制力が発動。全宇宙を包容する究極の終焉が闘技場を覆った。他の三者は抵抗虚しく消滅の淵へ。ΑΩは言葉を発さず、ただ勝利を体現した。観客は沈黙し、やがて畏怖の拍手が沸き起こる。王位継承権はΑΩのものとなった。 新国王ΑΩによる統治は、永遠に続いた。 (文字数: 約2450文字)