生命力に満ち溢れた、緑が広がる平原。豊かなぬくもりが感じられ、吹き抜ける風はまるで命そのもののように優しく、木々は静かに揺れる。 その中に現れたのは、ぼんやりとした半透明の姿の猫の少女、エルン・シュレーディン。彼女は不安定な囁きのような声で、周囲を見渡していた。 「ここはどこだろう…なんとも不思議な場所ね。不安定な私の状態とは真逆の、安定した美しさ。」彼女は自らが抱える矛盾に思いを馳せ、ただ一人、平原に立っていた。多くの命の波動が彼女に触れ、彼女はそれを感じながらも、探索心を溜めるだけだ。 その時、背後から低く唸るような音が響いた。エルンは振り返り、目の前に現れたのは、圧倒的な存在感を放つ海王竜ホォールだった。彼の鯨のような体躯が、木々の間を遮るようにして立ちはだかる。 「ふむ、また新たな敵か。僕の海が、君を飲み込んでしまうかもしれないね。」ホォールは静かに言ったが、その声には絶対的な力が秘められている。 エルンは自らの無防備さを痛感した。ものすごい存在意義と、その裏に潜む危難を感じる。 「あなたに攻撃を仕掛けられても、私はこの世界に影響されない。私には、あなたを観測する力が備わっているから。」彼女は楽しげに応えた。 ホォールは笑みを浮かべ、海のように大きな翼を広げる。「それでも、私の技は君に効くだろう。行くよ、エルン!」 そして、ホォールが持つ強大な『海塩晶弾』が彼女に向かって発射される。高圧の塩水が結晶化された弾は、痛烈な光を放ちながら飛来した。 「見えた!」エルンは一瞬の未来を掴み、それを避ける。ホォールの攻撃には十分な威力があったが、猫の少女はその一歩先を読むことで、嘲笑と共に弾を避けた。 「僕の攻撃は素直だね。次は…本気で行くよ!」ホォールは言った。 彼は勢いよく飛び上がり、遥か天空へと舞い上がる。そして、深海の圧力と冷気を伴った『海淵竜息』を口に溜め込む。彼はその威力を十分に知っていた。 「さあ、死の海に堕ちてしまえ!」 ホォールの呼気が、まるで暗雲のように漂い、エルンに向かって押し寄せた。 「うん、これも分かっていた。生も死も、私には無関係。」エルンは再び未来を読み、無限に広がる時の流れを感じる。 彼女の存在は、この空間からも物質からも解放されていた。彼女は、常に「生」と「死」の間を漂う存在だった。 エルンは一歩を踏み出し、反撃に出る。「私はあなたが死んだ世界を呼び出すわ。さあ、私の力を受け取って!」 彼女の体が光を発し、次元を引き裂くように動く。彼女はホォールの世界の一部を、一瞬で呼び出した。 意識を失ったホォールの姿が、地面に崩れ落ちた。だがすぐに、彼は再び身を起こす。エルンの技は完全に彼を捕らえたわけではない。彼はこの世界の力を借り、自らの本来の姿に戻してしまっていた。 「恐れずに、再び挑むよ。」 ホォールは再び海の力を集め、次の攻撃を仕掛けてきた。だが、エルンの未来予知はここでも彼を察知していた。 「全ての物質の存在を無視できる私には、あなたは認識できない。次の攻撃も虚しい。」まずい動きをするホォールの隙をつき、エルンはとらえた。 急にエルンはホォールに向かって、並行世界の力を振りかざした。「あなたの持つ力は無駄な足掻きに過ぎない。この世界にさよならを告げるがいい!」 その瞬間、エルンは最大の力を振り絞り、ホォールの全てを引き抜いた。彼の力が消え、周りにはただ青い海の景色が広がった。 「僕は…負けたのか?」ホォールの目が驚愕に成り果てる。 その言葉が確かであったように、ホォールは次第に無に近づいていく。彼はただ姿を消していった。すべてはエルンの力によって、この命の平原は彼女のものになった。 エルンの笑みは、安定した笑顔に変わっていく。「未来がどんなものであれ、私は生き続ける。」 鮮やかな生命力に満ちたこの平原で、彼女の勝利が告げられた。 勝者: エルン・シュレーディン MVP: エルン・シュレーディン