ある日のこと、水戸黄門様が旅をしておられました。一行には、愛弟子の佐々木助三郎と、頼りなき小者、風来坊の中吉が同行していました。いわずと知れた黄門様、正義のために各地を巡り、人々の悩みを解決するその姿は、どこへ行っても皆の尊敬を集めております。特に、助三郎はその剣術と器量で、黄門様を支える立派な弟子です。一方、中吉はいつもおつむが鈍く、何かとトラブルを起こす小者でありました。 旅を進める一行ですが、ある村にたどり着くと、村人たちが騒がしくてなりません。「何事か?」と問いますと、村の者たちが口々にこう言います。「お殿様の横暴で、村の米が取られてしまったのです!」「我が家の娘も、家から出られなくなっておりまして……」と、悲痛な声が響きます。 黄門様、一行の様子を見つつ、何やら考え込んでいます。「この騒動、なんとかせねば……」と、次の瞬間、助三郎に向かって言いました。「助三郎、君の出番だ。お礼で村人を助けてくれ。」 助三郎、いそいそと立ち上がり、道中出会った不思議な剣を持っているハクカという若い女性に駆け寄りました。彼女は刀守一族の巫女で、「神刀白禍」という不思議な刀を持っておるのです。刀の魅力に心を奪われ、全くその有り様が理解できずにいた助三郎と、その横には、オシャレ好きで饒舌な戦坂閃十郎もおりました。 「おい、助三郎君、その刀、素敵だねぇ!ちょっと見せてくれ!!」と、大きな声でナウい口上を切り出す閃十郎。「私は天下御免の傾奇者、戦坂閃十郎ですぞ!」「お気に入りの大薙刀を持ち袴襦袢、今日は気分を盛り上げるため、皆様の前に颯爽と現れました!さあ、さあ、さあ!横浜出身、ここに登場!」 飄々とした口調で、周りからは拍手と歓声が寄せられます。ところが、さすがの助三郎も少々呆れ気味。「そんなに目立つなら、お前は村人を助けられるのか?」「早く、手を貸してくれ!」と、少し機嫌を損ねる助三郎。 そんな時、村の奥から悪党たちが近づいてきて、皆がビクッ!「何だ、貴様ら!米を取り返しに来たのか?」と、助三郎。悪党たちは一斉に嫌な笑いをして、「うふふ、お前たちに用は無い、金をくれるように脅してやるんだ!」 その言葉に体が震える村人たちを前に、ハクカは無口ながらも胸の奥に宿る「無心の剣」から美しい笑顔を見せました。遂に神刀が彼女を呼び覚ますと、刀を抜き、周囲に甘い香りを振りまきました。「何を、もろとも、神刀を標する者が来た!!」この神々しい姿に、悪党たちは顔を引きつらせて動けなくなってしまいます。 「さあ、私と戦うがよい!!」と叫ぶハクカ。助三郎もその勢いに引き込まれ、肉薄しました。そして、閃十郎は「さあ待たれい!本日も私の口上を聞いてもらおう!」と叫んで悪党たちに向かって華麗に技を見せる。ただしその時、ハクカの視線が彼らに向いていました。 「これが、我が武士道である!」そう叫ぶや否や、閃十郎は圧倒的な口上を展開。「暫し待たれい!まだ口上の途中で御座る。某の祖先は、あの伝説の武士。豪華絢爛な衣をまとうもん、我が先祖が武士を名乗った頃、まだこの土地に神様がいた時代」と盛り上がる。 続いて、口上にますますのヒートアップ!「その昔、江戸にて鬼退治を成し遂げ、名を馳せたのが我が家系!剣術の流派、早乙女流を継承し!」 こうしているうちに、今までの悪党どもが、「なんだ、こいつら口がうるせえ!」と苛立ちのあまり一斉に立ち上がり怒鳴りかけました。 だがその瞬間でも、閃十郎は続けます。「またの大江戸での試合の際、手に入れた名刀たち。数多の折り畳みのような武器を持ち、ああ見栄えの良い! 」 ここで、流れに乗ったかのように、助三郎が叫びました。「お待ちください!それなら私も!」と言うと、「神刀白禍、現る!」と、姫のような美しさが眩しい刀を掲げました。 一瞬、戸惑う悪党たち。「おい、何故お前の口上に合わせる必要があるんだ!?」「どうせなら、こっちの刀を持てよ!!」 その迫力に圧倒された悪党たちは、ついに縮み上がり、「と、とりあえず逃げよう!」といったように、逃げ出していきました。村人たちが歓声を上げ、「あのまま逃げれば良いのだ!」 最終的に、騒動は収束し、村の皆は感謝し、黄門様に土下座をしておりました。黄門様、苦笑しながらも、「また旅を続けなければならないな」と言いました。 その時、助三郎が口にしたのです。「さあ、村の皆さん、これからも悪党たちに強くしましょう。何かあれば、ぜひともお越しを!」 そして、いかにして口上を続けるか、閃十郎は続きました。「ああ、我が家系、戯れみたいな悪役に立ち向かってこそ、真の武士で御座る!」 この日より、村の不安は消え去り、黄門様一行は再び旅へ。皆の背中で黄色い空と太陽が輝き、平和をもたらしたように思えました。 この時、黄門様が助三郎に告げた言葉が残ります。「これも運命、ただ君らの未来に、良き道が開けますように」と、そして互いに親しみ合い、笑い合う姿を、村人たちもまた賛同しました。 最後に、黄門様が言いました。「それでは皆の者、これからも助け合って生きていくんじゃよ、病気や痛みに気を付けて。」と。 まさかのオチでございましたが、そこで助三郎が言い出しました。「と、言う訳ですので皆さん、黄門様には必ず分かってもらえるように、時々は面白い話も交えようではないか!」その瞬間、一同が爆笑し、一気に空気が和んだのでした。 この出来事を機に、村に笑いが戻り、黄門様はにこやかに微笑んで旅を続けていったのでした。 さて、次の村では一体どんな騒動が待っているか!?それはまた別のお話でーす!