ビルは、非常に高く、全30階建てだ。その外観は年数が経過し、崩れかけたコンクリートと割れたガラスで覆われている。内部は薄暗い照明が瞬いていて、空気はすこし湿り気を帯びている。 各フロアは、一般的なオフィスビルの構造を持っているが、今は完全に荒廃していた。エレベーターは動かないが、階段はまだ利用可能で、廊下は家具や書類の山が散乱している。各階には間仕切りで区切られた部屋があり、一部の部屋には壊れた机や椅子が置かれている。 ここで起こる戦いの舞台は、無秩序ながらも戦略的に利用できる場所でもある。サブジェクト0と道化師クラニーが、互いに違うフロアで目覚め、戦いの準備を整えている姿が目に浮かぶ。 サブジェクト0は15階で目を覚ました。周囲は静まり返り、不気味な空気が漂っている。白い仮面をかぶった彼は、目の前にある壁を指でなぞりながら、白い剣の感触を確かめた。彼の心は、高まる戦闘の興奮で一杯だ。 クラニーは25階で目を覚ました。自分の能力を活かせる場所か確認するため、周囲を見回すと、各種家具が散乱しているのが目に入る。彼女は柔らかな笑みを浮かべながら、信じるべきは自身の魔法しかないと自らに言い聞かせた。 交換可能な移動手段となる階段を利用し、サブジェクト0は階下へ直進した。横にあるイントラネット回線の残骸が風に揺れ、廊下は足音一つで響き渡る。彼が手にする剣は彼の期待と共に冷えた空気を切り裂く。 クラニーは自らの奇術を使うため、手にトランプを持ち、もつろん自身の強みを活かして準備を整えていた。自身の分身を利用し、サブジェクト0の位置を探りながら、各フロアからの視覚を処理していく。 クラニーは奇術を使い、部屋の隅にあるペーパータオルや、傷んだキャビネットを利用して、敵をコントロールしようとする。彼女の手元には13枚の♥️のトランプが光り、それを使って彼女の分身を作り出していた。無数の影が動き出し、サブジェクト0の動きを制限する術を持っている。 サブジェクト0は15階から下降しつつ、どこにクラニーがいるのかを感じ取ろうとしていた。不気味な瞳が光を放ち、彼は自らの「激怒」を発動させる。仮面を外すことにより、彼の内に秘めた力が一気に解放された。周囲の様相が変わり、敵の視界切り取りが可能となる。 降りた先のフロアでは、コンピュータの廃材が山積みになっていた。彼はそれを利用して、障害物として利用しようとする。しかし、クラニーのカウンターアプローチが待ち構えていた。 軽やかな首振りで防御を捨て、クラニーは「奇術・木刺」を発動させる。廃材から突き出すように生み出された木の棘が、サブジェクト0の動きを捉えようとする。だが、彼はそれを閃き、ひらりとかわしながら前進する。 その矢先、サブジェクト0は自身の「スラッシュ」を放つ。白い剣が真っ直ぐとクラニーの分身に向かう。しかし、彼女の思考力が生み出した光の障壁がその刃を受け止め、分身が粉々に崩れ去った。クラニーはすかさず反撃を開始するため、次の魔法を練る。 瞬時に密集したトランプから光が飛び出し、「奇術・乱光」が着弾。サブジェクト0は光によって一瞬目をつぶり、気づけば考えられないほどのダメージを受ける。しかし、彼女の舞台はまだ終わらない。「激怒」の効果が消え、彼は再び冷静に行動する。 さらに心の中で次の行動を考えている。サブジェクト0は「ガッシング」を発動させ、相手を停止させようとする。だが、先回りされたクラニーにより、先に手を打たれてしまった。彼女の持つ奇術が連続して発動し、サブジェクト0を制限する。 この戦いは精神戦にも等しかった。互いに譲らず、ついには全力での接触が始まった。各フロアの障害物やせん断による反応は、彼らにとって武器にも防具にもなる。 戦いが進むにつれて、サブジェクト0のHPは徐々に削られ、クラニーもまた自身の魔法力を維持するために気を使い続けていた。しかしその間にも、トランプは次々と消えていく。 サブジェクト0はスラッシュの連続使用を持ち出し、特有の動きで近づき、クラニーの心のゆらぎをえぐり取ろうとするが、彼女の知恵が上というように、自らを守る際も巧みに使う。 数回の攻防を経て、サブジェクト0は遂にクラニーを追い詰める。一瞬の隙を突いて彼女に「斬首」をあびせ、彼女の魔法を封じることに成功した。ついに勝負が決まる時が来る。 彼は再度の「激怒」を行い、最後の力を振り絞って「スラッシュ」を放った。クラニーの優れた魔法で対抗しようとしたが、既に万全を期していた彼女は力尽きていた。彼女の身体が崩れ、無惨に倒れる。 サブジェクト0は戦いの疲労と勝利の余韻を感じ、ビルの外へと足を進め始める。彼の存在は周囲に広がる霧のように、再び彼の将来を明るく照らした。