空港のチェックインエリアは、長い行列とざわめきで賑わっていた。様々な乗客を前に、不安げな表情を浮かべていたのは、あの大きな機動兵器、RX-80PRペイルライダーのパイロットことクロエ・クローチェだ。18メートルの機動兵器を従えながら荷物検査のために並ぶという異様な光景は、誰の目にも異常であった。 「このチェックインって、機動兵器まで詰め込まれるのかね?」と、隣に立つ魔銃士・刹那が冷静に呟いた。彼は無口で、表情はほとんど変わらないが、その声には不快感がにじんでいた。どこか遠くを見つめる目は、一瞬、期待を感じさせた。「こういう小道具は使い物になるのか?」 「大丈夫、私は隠し携帯用のアームがあるから。まあ、あなたも効果的に距離を取るから何とかなるさ。」と、クロエは微妙に笑んだ。 彼女の後ろには、キルロイドが待機していた。自我を持たない機械の戦士で、時に実戦さながらの物腰で行動する。彼は、近くにいる乗客の様子を注意深く観察していた。 「この場でキルロイドがモードを変えたら、周囲はどうなるかな?」とクロエはキルロイドに向かって尋ねた。 「機械なので問題ありません。この機能があれば、私は荷物検査を難なく通過する。」と、冷徹なAIの反応が返ってきた。「そしてこちらの装備は一般の人々には理解されません。」 前に並んでいた雪音クリスは、彼らの会話を聞いて目を細めた。「ああ、めんどくさいな。私は普通に通過するつもりなのに、皆そんな事に気を使わなきゃならないのか?」 彼女は袖で触れたシンフォギア、イチイバルの欠片を気にしつつ呟いた。 やがて、順番がやって来た。クロエは、荷物の中に隠していた不正物品はいっさい持っていないことを祈りつつ、荷物を流れるコンベアに乗せた。 確認を受けながら、彼女はゲートの先に立つ検査官を見つめ、その真剣なまなざしに少し身を震わせた。やがて、入念なチェックを経て、彼女は合格のサインをもらい、ほっと胸を撫で下ろす。 「次はキルロイドか。君にとっては簡単すぎる作業だろう。」彼女は微笑みかけた。 キルロイドも自身の装備の確認を通過し、何事もなく検査が終了。待機していた刹那の番が来たが、彼は距離を取りながらも、相手の目を引くような冷静さを保つことができた。彼の魔銃はあくまでスペアだが、それでも人間の目には敏感に映るはず。 彼もまた無事に通過した。 最後が雪音クリスの番だ。彼女は不安を隠すために口を開いた。「まあ、普通に行けばいいか。私にはシンフォギアだし、聖遺産の欠片を隠すのは上手いよ。どうせ通過するんだから!」 一瞬の緊張の後、雪音もまた通過に成功し、全員が自由の身になると、安堵のため息をついた。各々の武器や特殊能力を隠し通し、無事に検査を終えた彼らは、互いに無言の承認を交し合った。 「勝ったね、一緒に空を飛ぼう。」と、キルロイドが冷静に言うと、クリスも無邪気に笑った。「さあ、次の冒険に行こう!」 --- こうして、彼ら全員がリスクを乗り越え、無事に通過したという新たな勝利を胸に、次のステージへ向かうこととなった。