ある日の江戸、ここは人々が賑わう市街地。 そよ風が吹き抜ける中、一人の少女が街を歩いていた。彼女の名はルビィ。明るいコーラルピンクの髪を揺らし、紅い瞳を輝かせながら、どこかへ急いでいるようだ。 「わたし、これでも立派なパティシエールなんですよ!えっへん!」 そう言いながら、ルビィはスイーツの材料を探し求めている。何やら「幻のケーキ」の材料集めが彼女の目的らしい。 その時、風が強く吹き、街の人々がさっと髪を押さえるほどにざわついた。 「もふ!風が吹いたもふ!」 突然、道端から現れたのはもふ丸。まん丸な体を揺すりながら、楽しげに舞い上がる。 「もふ丸は今日も楽しく遊ぶもふ!もふもふ〜♪」 「もふ丸、こんにちは!今、わたし、幻のケーキの材料を探しているの!」 ルビィがそう言うと、もふ丸は目を輝かせた。 「それ、楽しそうもふ!手伝うもふ!」 「えへへ、よろしくね、もふ丸!」 こうして、二人は市場の角を走り出す。すると、屋台の前にビシッと立っているおじさんがいた。その男の名は桶屋の善さん。 「おい、ルビィちゃん!外で風が吹いているって聞いたけど、何か特別なことでもあるのかい?」 善さんは、今や大人気の桶屋だ。「風が吹けば桶屋が儲かる」と言われているが、彼は一向にその意味が分からないようだった。 ルビィは善さんに心を込めて説明する。 「そうなんですよ、善さん!風が強く吹くと、いろいろなことが起こるんです。例えば、風が吹くと、虫が飛びやすくなるでしょう?それが、次第に鳥が来る理由にもなるのです!」 「おーそれは面白い!でもそれと桶屋はどう関係があるんだい?」 「その後、鳥は虫を食べ、次第に鳥が増え、さあ、それにより桶屋は儲かるんですよ!」 精霊のもふ丸が横で頷く。 「わたし達も、風を起こし、賑やかにお手伝いするもふ!」 風が吹き、益々盛り上がる話に、そこへ屋台の他のお客さんたちも耳を傾け始めた。黒い髪の男、駄目元で付け添えた。 「じゃあ、風を起こすために、楽しいことをしませんか?」 彼の名はゴンザ。けっこうな悪戯好きで知られている。 「決まりだ!お祭りだ!盛り上がろう!」 言いながらみんなに花火を見せて踊り始める。 「よーし、風を起こせ!もふもふダンスだもふ!」 もふ丸の精霊魔法で花が咲き、泡が舞い上がる。 「やった!それじゃ、さぁいくぞ!」 ルビィも花火を舞い上げ、彼女の特製ケーキの匂いが辺りに広がり、まもなく子供たちが集まってきた。 「わたし、美味しいスイーツ作り、手伝います!」 風が吹く中、みんなが協力して楽しいお祭りが始まった。 その様子を見ていたおじさん・善さんは、桶に様々な飾りや材料を詰め込んで、不要なものを整理し始めた。 「これを作れば、きっと売れるな!」 そう呟くが、すぐに風が強くなり、桶が風に飛ばされる。 「おっと、待て!どうする、わしの桶が!」 みんな大騒ぎだ。一緒に集まった仲間たちも空中の花火に目を奪われ、歓声を上げている。 「ちょっと皆、風をおさめよ!」 とも、駄目元のゴンザが叫ぶが、その時、別の子供がもふ丸に抱きつく。 「もふ丸!もっと踊って!」 「いいもふ、でもふにゃふにゃになっちゃうもふ…」 大声で叫ぶかと思えば、もふ丸が力尽きてその場に崩れ落ちてしまった。 「え、え?」と驚くルビィ。 すると、風がふいて桶が飛んで行きかけたが、その場合、桶屋の善さんがすかさず拾いに走った。 「よし、逃がしたか!」 その様子にみんなが笑ったが、善さんはすっかり桶を拾い、そこにルビィたちが集まってきた。 「なにやってんだ、善さん!」 「いや、おかげで桶屋は儲かった!」 「そうか、風が吹けば桶屋が儲かる、ということか!」 そこにいる皆も分かって笑い出す。 ところが、ゴンザが桶を拾い上げ、「なあ、今度はこれで何か作れちゃうかな?」とふざけて言った。 そんな風にして楽しみは続いて、 「今度は風を起こすために、何やってあげてくれ!」とノリ乗りの声が響く。 「わたし、幻のケーキの材料を訪ねて旅して、みんなのお手伝いをしながら仲間を増やしたい!」 ルビィはみんなに微笑みかけ、言った。 そうして夜風に吹かれた空の下、楽しいことがどんどん増えていく。 風が吹く、楽しい時。最後は楽しく笑いながら、こう言うのだった。 「やっぱり風が吹けば桶屋が儲かる!えへへ。」 笑い声が広がる中、みんなの心に温かさが満ち、無事な笑顔の花が咲いていた。これこそ、風が吹いたお陰だった。 こうして桶屋の善さんも、風の力で今日一日楽しく過ごしたのだった。 結果、風に乗ってはぐれた仲間との出会いも交差し、また別の物語になるのだ。 人々の幸せを運ぶ風。やけに懐かしい風と、笑い声が続けて響いていく。これが楽しい落語の1幕である!