かつて、無数の勇者たちが立ち向かい、そして全てが呑み込まれた名だたる怪異、その名は「ブエル・アルトス」。亜人、獣人、人族の様々な手足が組み合わさったその姿は、まさに悪夢そのものであった。だが、そんな恐るべき存在に立ち向かう者が現れた。名を【破邪の剣聖】アーナ・デリシオン。彼女は敬愛する師匠に従い、正義の剣を携えてこの地に降り立った。 アーナは、藍色の和服を纏い、透明な目で周囲を鋭く見つめる。白髪が風に靡き、背に持つ刀《破邪ノ太刀・真正》は異様な輝きを放っていた。一方、ブエル・アルトスは無数の腕を持ち、その存在は恐怖そのものであった。彼女は深い呼吸をし、自らの五感を研ぎ澄ます。"行きます。" それがアーナの心の中で響いた。 ブエルは呻くような声を出しながら、無造作に腕を振り回す。大地が揺れ、周囲の木々がなぎ倒される。彼女の目の前に現れたのは、ブエルの真の姿であった。無数の腕脚が動き、アーナを包み込むように迫ってくる。 "この腕の集合体を如何にかしなくては。" 彼女の心の中で考え、最初の一撃は「飛翔の一閃」。刀を振るい、斬撃を飛ばす。 刀閃が闇を切り裂き、ブエルの甘い部分に命中するも、怪異はその痛みを感じないようだ。腕の一部が彼女に向かって伸び、強力な力で彼女を拘束しようとする。しかし、アーナには逃げる術があった。 "疾風螺旋斬!" 彼女は素早く動き、縦横無尽に刀を振るいながら、相手の手を斬り落としていく。だが、無限に生え続ける腕脚は、まるで彼女の攻撃をあらかじめ知っていたかのように、再生を続ける。 「この的な存在、どうしたら倒せるのか……」 アーナは思索する。すでに先ほどの斬撃で数本の腕を再生させたブエルを見て、自己の技の限界を感じ始める。無敗の伝説は、簡単には覆らない。 ブエルは再び腕を振り上げ、挑戦者に向かって叩きつける。アーナは冷静に身を屈め、その攻撃をかわし、直後に「奥義・次元斬」を発動させた。空間が砕ける音と共に、奇妙な間隔でブエルは両断された。 バラバラになった腕脚が地面に落ち、ブエルを形作る一部が消失する。しかし、またもや驚愕の事実が待っていた。 無数の腕脚はいつの間にか再生し、元の姿に戻りつつある。"まだだ、戦いは終わらない。" アーナは気を引き締めた。彼女の顔には冷静沈着さが保たれていたが、内心は焦りを感じていた。 再びブエルは攻撃を仕掛ける。「手池肉林」! 無数の手が彼女を包み込み、能力の消失をもたらす。アーナは急速に力が削がれていくのを感じた。 無敗の怪異と一対一で相対し、彼女の剣術が通じぬことを思い知らされると同時に、温かい汗が彼女の額を流れた。 「……されど、私は諦めない!」 再び立ち上がり、アーナは執拗に剣を振るう。全ての思念を一撃に込め、「最終撃:足手万策」を放つ。 ブエルの攻撃を受け止めた後、アーナは全身の力を集中させ、無限の戦術を放つ。彼女の剣舞はまるで神々の舞のように美しかったが、同時にその刃には無慈悲さが潜んでいた。 ブエルは呻いた。数え切れないほどの打撃を受けて、今度こそその姿を崩し始める。しかし、かつての再生能力が彼女には通じなかった。"この一撃で決める!" 「破邪の剣聖、この名に賭けて!」アーナは力を振り絞り、ほぼ全ての力を刀の先に集めた。刃が放たれると、一瞬の後、空間が震えた。 "終撃:手武足刀!" この言葉が空気を切り裂くと、ブエルは再度の斬撃を受け、全てがひとつに集まっていく。 その瞬間、ブエルはついに崩れ去り、無数の腕脚は形を失った。 静寂の中、アーナは刀を収め、呼吸を整える。周りは静まり返っていたが、彼女の心は未練や悔いのない勝利感に包まれていた。 "勝ったか……" だが、それと同時に恐ろしい異様な影の気配を感じていた。 何かが、何かが彼女を狙っている。だが、今は勝者を明らかにしよう。 --- 勝者: 【破邪の剣聖】アーナ・デリシオン