大聖堂は静寂に包まれていた。高くそびえる天井からは美しいステンドグラスの光が差し込み、神聖な雰囲気に満ちている。しかし、これから繰り広げられる戦闘の予感がその静けさを浸食していた。 中央の祭壇には、枢機卿クリスタが立っていた。彼の黒いローブが光を反射し、神秘的な存在感を放っている。剣「懺悔」を手にしながら、彼は深い呼吸をし、心を冷静に保った。彼の眼差しは鋭く、殺意を帯びていた。今日、彼は自らの信念のため、そして敵を浄化するためにここにいる。 対戦相手は二名。前橋龍樹と前田だ。前橋龍樹は40歳の経験豊富な戦士で、冷静沈着な性格が際立っている。彼は特性により、相手の戦闘能力を恒久的に下げる力を持っていた。一方、前田は20代後半と見られる若きスピードスターで、時を遅くする特殊技によって、鮮やかな動きで相手を翻弄することに優れていた。 クリスタはこの二人の存在に目を向け、その力をよく知っていた。"前橋龍樹の特性が発動した時、俺の力も奪われる…"クリスタはそう思うと、心を引き締めた。 どうやら、前橋の特性は彼が戦闘を開始する前に発動する。クリスタはそれを無視することはできなかった。二人のうち、前橋が先手を取るのが明らかな状況。彼は冷静に構え、前田と共に自らへ向けられる殺意に備える。 「行くぞ。」前橋が静かに発言する。 その瞬間、彼の力が発動した。全身に感じた重圧が、クリスタの四肢にのしかかった。彼の心に潜む焦りが顔を出す。防御力が60%、魔法防御力が70%、素早さが50%、攻撃力と魔力は驚愕の98%も減少したのだ。これこそが前橋の特性だ。クリスタはどうにかその影響を受けた状況を受け入れ、冷静さを装う。 「やれやれ、さすがに厄介だな。」彼は自分に言い聞かせたが、その表情には余裕があふれていた。そこからクリスタは、戦闘の流れを変えるために動き出した。 前橋が静かに近づいてくる。彼は考えを巡らせながら、クリスタの一挙手一投足を注意深く観察している。"彼は俺の攻撃をただ待っているだけではない。前田との連携を考えているはず。"そう思った瞬間に、クリスタは彼を見据える。 「懺悔。」クリスタが刀を構えて言った。 しなやかに剣を振るうと、空気が震え、光の刃が前橋に向かって放たれた。 前橋はその流れを一瞬で見極め、跳躍する。 "彼の剣は切れ味が鋭い、だが俺の後ろには前田がいる。それを利用すれば…"前橋の頭脳は戦いの流れを計算し、身体がそれに応える。 その瞬間、前田が動いた。彼は剣を持たず、拳でクリスタに向かって駆け出してきた。 「先に手を出させてもらうぜ、聖職者。」 彼の周囲の時間が独特に遅くなり、クリスタの動きがついて行けない。前田の動きはまるで流れる水のように滑らかだった。 クリスタは冷静に、前田の動きを観察しながら対応を試みる。「聖磔」 周囲に光の十字架が現れ、前田の動きを封じつつ、前橋にもその光が迫った。しかし、前橋はその中で冷静に立ち回り、剣を振り抜いてクリスタの視界を覆う。 「聖磔」は一瞬、前田の動きを捕らえたかに見えたが、前田はその光の中を等間隔で躱しつつ、クリスタに接近していた。 "しまった、彼のスピードが圧倒的だ!" クリスタは冷静さを失わず、すかさず剣を振るう。「斬罪」 一瞬にして13回の連続攻撃が繰り出されるが、前田はそのすべてを身体の低い位置に身を潜めることで、巧みにかわし続けた。 「ふん、そんなに甘くはないぞ。」前田はニヤリと笑みを浮かべていた。 背後に思いもよらぬ存在が迫ってくるのを感じたクリスタ。前橋、彼が静かに進んできていた。 「ここで無駄にするわけにはいかん。」クリスタは少しの動きで足場を取り直し、そのまま前橋に向かって反撃を試みた。 「聖天!」 前方から眩い光が現れ、場が一変する。かすかな効果音がして、周囲の空気が圧迫されるような感覚が走る。クリスタの技によって、前橋と前田の力は減少していく。 「クッ、だがまだ痛手にはならん。特性の効果は残っているのだ!」前橋は状況を見定めながらも、自身の全力を出し切ろうとしていた。 「この状態でも、俺に勝てると思ってるのか?」 冷静に、だが内心に焦りを秘めた言葉だった。 急展開が進んでいく。クリスタは「聖纏」を発動し、自身の全身を魔力で包み込み、攻撃力を極めて上昇させた。「これならば、状況は逆転できる。」 その瞬間、クリスタの身体から渦巻く魔力が溢れ出し、まるで神々しい光のオーラが彼を包む。彼の剣「懺悔」に集まった魔力が一層輝きを増す。クリスタはその輝きの中、真の力を解き放とうとしていた。 前橋と前田は彼を見つめ、瞬間の静寂を破り、一斉に攻撃を仕掛ける。「まさか、ここまで来るとは思わなかったな!」 しかし、クリスタは停止した時間の中で均整のとれた動作を繰り出し、その二人の攻撃を見切り、反撃に転じた。 「聖断!」 瞬間、クリスタの剣が振り下ろされると、彼の魔力が結晶化し、恐るべき光の刃が周囲の敵を一瞬で切り裂き、浄化する。 光が晴れ、前橋と前田の姿は揺らめくように光り、その場に沈む。 クリスタが立つ大聖堂は静寂に戻り、彼の姿が光輝いている。 「私がこの戦場を守るために、力を尽くすのだ。」 そして、勝敗は決した。 --- 勝敗: クリスタの勝利