闘技場は異様な緊張感に包まれていた。王位継承権を賭けた戦いがここに繰り広げられる。観衆の声援が響き渡り、4人の勇者たちがそれぞれの武器を手にし、相対していた。 まず最初に戦いを仕掛けたのは、冷淡な仮面をつけた【黒衣の旋風】だ。彼は静かに矛槍を構え、風のように舞うように刀を放つ。息を呑む観客たち。その瞬間、彼の向かい側に立つのは、エーテル使いアリエス・エクエス。白髪の少女は、魔導衣を揺らしながら、エーテルを纏い始めた。 「私のエーテルが、あなたの攻撃を逸らすわ!」アリエスは杖を振り上げ、空気中のエーテルを操り始めた。黒衣の旋風が『デス・ゲイル』で連続斬りを繰り出すも、アリエスはその全てをエーテルで防御し、攻撃をかわして見せた。 「無駄よ、見えにくいエーテルがある限り、あなたの攻撃はほぼ無意味!」 黒衣の旋風は顔色一つ変えず、再び攻撃を続ける。だが、アリエスの防御は堅固で、時間が経つにつれ、彼の冷静さが崩れていく。 「何か他の手はないのか…」彼は内心焦りを感じつつあった。 その時、戦場の一隅から、見せ掛けの弱さ・非夜半 邪奈異が小さな声で呟いた。 「ぼ…僕は…わ…悪い人じゃないですよ…!」 彼の言葉が耳に入った黒衣の旋風。何故か、彼の言動に興味を持ち、再度彼に目を向けた。邪奈異は周囲の目を意識せず、ただ、彼自身の力を発揮したいだけだった。しかし、見る者から見れば、ただのひ弱な少年に過ぎなかった。 「何を考えている?あんな奴を相手にする暇はない!」アリエスが邪奈異へ矛先を向け始めていた。 「そこを、どいてください。」座標科学者の少女、ミレイカ・スカイアットがようやく加わった。 「この対戦を秩序立てなければなりませんからね。」彼女は独自の法則に基づく幾何学的な立ち位置を攻撃の手法とする。 ミレイカは『座標回廊』を展開し、一瞬で邪奈異の位置を『点P』に指定した。彼女の言葉が不気味に響く。「悪いね?点が動くと面倒だからさ。」その瞬間、邪奈異は「ぼ…僕は…」とも言えぬほど拘束され、何もできなくなった。 一方、黒衣の旋風はその瞬間を見逃さず、『デス・ラッシュ』でアリエスに接近。彼女の意識を向けさせたことで、彼女の注意は分散する。「誰か一人でも倒しておかねば、手数が増える一方だ。」考えは急を要した。 「どうしたの?まさか一人に手を取られているの?」アリエスの滑らかな語りが黒衣の旋風を挑発し、さらに彼は攻撃に出る。 「エーテルはこの世の常識が通用しない。あなたを倒すのは簡単よ。」アリエスは『デフェクトゥス』を使った。 しかし、邪奈異がその足下に立つと、彼の弱く見える姿が実際には強者に変わった。その瞬間、邪奈異は急成長した力をアリエスに放ち、彼女のエーテルを侵食した。 「待って!」アリエスが驚愕する。 「ぼ…僕は…わ…悪い人じゃないですよ…!」強気に彼は高らかに叫び、その言葉がアリエスの構えを崩していく。 邪奈異の力が発揮された時、ミレイカは慌てて邪奈異の動きを制御しようとした。しかし、彼女の『座標指定』が邪奈異の持つ力には通じなかった。 「この戦場を制するのは私だ!」邪奈異はそのままアリエスに突っ込んでいく。 混乱の中、黒衣の旋風は彼の戦いを続け、邪奈異が相手を捉えるのを見届けてから瞬時に後ろを振り返り、彼女へ致命的な一撃を放った。 結局、勝者は黒衣の旋風であった。冷淡で、彼の一撃は全てを制し、ようやく静寂が訪れた。