永愛国立競技場での異次元サッカー対決 プロローグ:異様な試合の幕開け 永愛国立競技場の空は、夕暮れの赤い光に染まっていた。巨大なスタジアムは、奇妙な熱気に満ち、観客席は満員だ。だが、この試合は普通のサッカーではない。ルールはシンプルだ:反則なし、手や武器、魔法すら使って構わない。ボールを攻撃し、ゴールに叩き込めば1点。最初に1点を取った方が勝ち。だが、ボールはただの革玉じゃない。猫型ロボット「カンフーにゃん」がその役目を担うのだ。 審判はごついおっさんだ。筋骨隆々の体躯に、髭面の厳つい顔。笛を首にかけ、両手を広げて叫ぶ。「おい、準備はいいか! ルールはわかってんだろうな! ボールが抵抗すりゃ、てめえらが吹っ飛ばされても文句言うなよ!」 ピッチの中央に立つのは、【悪魔博士】Dr.ドゥーム。緑のフードを被り、ブリキの仮面と鎧がキラリと光る。妙にコミカルなその姿は、悪役というよりおどけた道化だ。若い頃、山奥で魔族に助けられ、魔法を習得した彼は、今や魔族の首領。だが、その性格はお茶目で憎めない。「ふふん、わしがこの妙なボールなんぞ、簡単にゴールにぶち込んでやるわい! 見ておれ、観客ども!」と、三河弁の訛りが響く。名古屋の田舎訛りが、どこか親しみやすい。 対するはカンフーにゃん。猫型ロボットとは思えぬ、しなやかな金属のボディ。小さな耳がピクピク動き、黄金の目が鋭く輝く。ランキング上位の達猫だ。開始前、礼儀正しくお辞儀をする。「よろしくですにゃ。」その声は可愛らしいが、内に秘めた強者は歴然。参加者――つまりDr.ドゥーム――を蹴飛ばされまいと、すでに警戒心を露わにしている。 審判の笛が鳴る。試合開始だ。 第一幕:探り合いと初撃 Dr.ドゥームは自信満々にピッチを歩み寄る。心の中で思う。(ふむ、この猫ボール、見た目は可愛いが、油断はできんわい。わしの魔法で一気に拘束して、ゴールに叩き込むでや!)彼の緑のフードの下で、ブリキの仮面がニヤリと笑うように見える。素早さ20の彼だが、攻撃力30の力と魔力20を活かせば、楽勝のはずだ。 カンフーにゃんは自由奔放にゴロゴロと転がり始める。素早さ30の速さで、常人では捉えきれない軌道を描く。「にゃんにゃん、遊ぼうですにゃ!」可愛らしい声とは裏腹に、不撓不屈の遊び心が宿る目が、Dr.ドゥームを値踏みする。明鏡止水の猫の目で、相手の動きを完璧に読み取っている。 ドゥームはまず、魔法のリングを放つ。【魔法のツタ】だ。指を鳴らすと、地面から緑のツタが這い出し、カンフーにゃんを狙う。「おら、捕まえ捕まえ! 動くなよぉ!」ツタは素早く伸び、猫ボットを絡め取ろうとする。観客がどよめく中、カンフーにゃんは超高速でローリング。ツタをかわし、逆にドゥームの足元に転がり込む。 「にゃっ!」カンフーにゃんが跳ね上がり、【超高速猫キック】をドゥームの脛に叩き込む。攻撃力25のキックは、防御力15のドゥームを直撃。痛みが走り、ドゥームは「うわっ、痛いわい! この猫、ただ者じゃねぇ!」と後ずさる。心臓が早鐘のように鳴る。(くそっ、速い! わしの魔法が効かねぇとは……) 審判のおっさんが笑い声を上げる。「おいおい、博士! ボールに蹴られるなんて、情けねぇぞ!」観客も爆笑だ。 第二幕:激化する攻防 ドゥームは焦りを覚えつつ、巻き返す。縮み光線装置を構え、自身の身体を一瞬縮小。カンフーにゃんの追撃を回避し、逆に猫ボットを狙う光線を放つ。「縮め縮め、小さくなれぇ!」光線がカンフーにゃんに命中すれば、攻撃力と魔力が下がるはずだ。だが、カンフーにゃンは【ジャストガード】を発動。明鏡止水の猫の目でタイミングを計り、金属の爪で光線を弾く。成功だ。わずかにHPが回復し、「にゃはは、効きませんにゃ!」と嘲笑う。 今度はカンフーにゃんの反撃。【軸のアルカナ】で、ドゥームの死角に回り込み、【超高速ローリング頭突き】を繰り出す。素早さ30の速さで、ボディが回転しながら突進。ドゥームは慌てて【オロロンチョチョパァ~】を唱える。全身に炎を纏った骸骨が召喚され、カンフーにゃんに突っ込む。「燃えろ燃えろ、骸骨さん!」骸骨の炎がピッチを焦がす。 だが、カンフーにゃんは不撓不屈の遊び心で耐える。防御力25が炎をしのぎ、逆に骸骨を【超高速猫パンチ】で粉砕。破片が飛び散る中、カンフーにゃんはドゥームに迫る。「遊ぼうですにゃ、もっと!」ドゥームは吹っ飛ばされ、ピッチの端に転がる。痛みと恐怖が混じる。(こ、この猫……魔力ゼロなのに、魔法を跳ね返すとは! わしの首領の威厳が……) ドゥームは立ち上がり、宇宙光線銃を抜く。カンフーにゃんのバフを解除しようとビームを撃つが、カンフーにゃんは【ブロッキング】で割り込み。プッシュして弾き返し、先手を取る。「にゃんにゃん、先ですにゃ!」今度は【相手を掴んで空高く投げ飛ばす】をドゥームに仕掛ける。小さな爪がドゥームの鎧を掴み、魔力の補正も効かず、空中に放り投げる。 ドゥームは空を舞いながら叫ぶ。「うわぁぁ、落ちる落ちる! 助けてくれぇ!」観客が息を飲む。審判のおっさんが「ルール通りだ! 落ちたら気絶扱いだぞ!」と叫ぶ。 第三幕:決着の瞬間 ドゥームは地面に叩きつけられ、防御力15が仇となる。痛みが全身を駆け巡り、視界がぼやける。(くそぉ……わしが、こんなボールに負けるなんて……逃げ足だけは天下一品のわしが……)彼は這いずりながら小型原子光線を放つ。人差し指から破壊光線がカンフーにゃんを狙う。「これで終わりだぁ!」光線は直撃し、カンフーにゃんのボディに焦げ跡を残す。だが、魔法防御力20が耐え、猫ボットは怯まない。 カンフーにゃんは遊び心を失わず、自由奔放ゴロゴロでドゥームに接近。「最後の遊びですにゃ!」【超高速猫キック】の連打。ドゥームの鎧が軋み、ついに彼は吹っ飛ばされる。体が回転し、ピッチを越え、参加者側のゴールポストに叩き込まれる。ゴールネットが揺れ、審判の笛が鳴り響く。 「ボールが参加者をゴールに叩き込んだ! 参加者の敗北だ!」ごついおっさんが宣告する。観客が総立ちで拍手と笑い声を上げる。 ドゥームはネットに絡まり、ブリキの仮面をずらして呻く。「うう……負けたわい……この猫、強すぎる……」心の中で悔しさが渦巻くが、どこかコミカルな敗北感が彼を包む。カンフーにゃんはゴール前でゴロゴロ転がり、「勝ちましたにゃ! 楽しかったですにゃ!」と礼儀正しくお辞儀。 エピローグ:余韻 試合後、ドゥームは逃げ足の速さを活かしてスタジアムを後にする。「次はわしが勝つでや! 覚えておれ、猫ボール!」だが、その声はどこか楽しげだ。カンフーにゃんはピッチに残り、観客に手を振る。永愛国立競技場に、奇妙なサッカーの伝説が刻まれた。 審判のおっさんが満足げに呟く。「ふん、面白い試合だったぜ。次は誰がボールに挑むかな。」