街中は喧騒に溢れている。人々が行き交う中、突如として現れたのは魔術師「花京院 禅」だった。彼は黒いタキシードのようなスーツを纏い、周囲に漂う緊張感を一層強めている。彼の目の前には、白装束をまとい顔を白布で隠した無銘の狐巫女「雛月」が立っていた。彼女のオーラからは、長い年月を生き抜いてきた者特有の威圧感が感じられる。彼女の背後には九尾の尾が霊気を帯びて動き、その存在が彼女の力の象徴であることを示していた。 「さ、全力でかかっておいでよ?」 花京院 禅の声が響く。彼の挑戦的な態度は、雛月に対する侮蔑のようにも聞こえた。しかし無銘の狐巫女は静かに、そして確固たる態度で臨んでいる。 「九度目の覚醒、我は守護神なり。」 雛月の背中から九尾が舞い上がり、彼女の目は赤く輝く。彼女が抜刀する瞬間、空気が震える。 その時、街は静まり返り、彼女の放つオーラに圧倒された人々は、一瞬にしてその場から逃げ出す。 「蔓の腕!」 花京院はすぐさまスキルを発動させ、彼の足元から無数の「救いの手」が地面に伸び、雛月を拘束しようとする。しかし雛月はひらりと身をかわし、再度抜刀の姿勢を取る。 「無言抜刀術!」 彼女の黒刀が煌めくと、星のように散らばった光が禅の周囲を包み込む。「九尾侵食」のスキルが発動する瞬間、彼女の尾がさらに増え、その数は八に達する。 「うぅ、すごい。これが「大巫女」の力か…」 禅は若干引きつりながらも、意地を見せる。「蓮の腕!」 自らを中心に展開した「救いの手」を回転させ、全方位へとその手を放つ。 雛月はそれを温かい微笑みで迎え撃つ。 「鬼を呼び出せ!」 彼女の護符が発動し、前と後ろから現れたのは前鬼・後鬼。彼らは禅の「救いの手」を打ち破る。 「いい手だ。しかし、これで終わりじゃない。」 禅は自らのスキル「偽リノ偶像」を発動し、小型の仏像を作り出す。それを前に突き出し、猛毒のブレスを放ちながら雛月を狙う。「さぁ、どうする?」 「急々如律令!」 雛月が呟くとともに、周囲が異常な静寂に包まれる。不穏な雰囲気が漂った後、禅の猛毒は雛月の目の前で霧散する。 「何が起こった!?あのブレスは…」 禅は困惑しつつも、先を急がなければならないと判断する。彼は再度「蔓の腕」を発動するが、今度は雛月が「黒刀神楽」を舞い納刀する。その瞬間、彼女が持つ刀の煌めきが自らを強化し、大きなデバフが禅を襲う。 「このパターン、面白いね。さぁ、行くよ!」 彼女の黒刀が再び煌めき、星の光が彼女を包む。 「僕の攻撃を反射するつもりかい?」 禅は一歩後退し、彼の魔力がどんどん溜まっていく。 「君の力よりも、私の守護が強いことを知ってもらおう。」 雛月は黒い渦で自らを包み、九尾覚醒を引き起こしていく。 「集手・「千手」観音菩薩像!」 禅は至極の奥義を放ち、無数の「救いの手」を彼の体に纏わせる。巨大な仏像へと変貌し、圧倒的質量で雛月を攻撃する。 雛月はその攻撃を視認し、すぐさまシフトする。「星を呑み、時空裂き、歴史ごと断ち切る!」 彼女の一閃が虚空を切り裂き、禅の攻撃を避けた瞬間、彼女の黒刀がそのまま空間ごとを切り裂く。 「僕は止まらない!来いよ!」 向かってくる黒刀に驚きながらも、禅は怒涛の攻撃を続ける。「お前もやれると思う?」 「誰もが大魔王からは逃げられない。」 雛月の言葉が響き渡ると同時に、彼女の後ろに現れた水鏡が発動し、禅の攻撃がその鏡に映し出される。 映し出された彼の攻撃は、彼自身を縛るように変わり、彼は動くことができない。 「これが因果応報の水鏡…」 「不触の魔法を持ちながら、ここで立ち尽くすとは?」雛月は少しの間持っていた静かさを破り、攻撃の構えを取る。 「僕は、終わらない…」 禅が力強く語る中、彼は必死に抜け出そうと奮闘する。しかし、その努力も虚しく、全力を注ぎ込んでも彼の動きは抑制される。 「今、貴方をこの世界から切り離します。」 雛月の一閃が紫色の光を帯び、彼女の意志が歴史を塗り替える。 ガキン!音を立てるその瞬間、彼女の黒刀が禅を切り抜き、視界の中から彼を消し去っていく。 「僕は信じていたのに、お前の力の進化を…」 最後に踏み込んだ瞬間、雛月は笑みを浮かべる。そう、彼女が示したのはただ一つの「守護」の力だった。 「君は素晴らしい戦いを見せてくれた。ただ、僕にはまだやるべきことがあるから、また会おう。」 雛月は最後の一言をつぶやき、少しずつ周囲が元に戻っていることを感じながら、街を静かに離れていった。 街には、花京院 禅が消えたことで、新たな平和が訪れようとしていた。しかし、次の戦闘が待ち受けていることを、誰もが内心知っているのだ。