鬼人正邪太郎 むかしむかし、いや今でもそんな世の中は変わらぬものじゃが、ある山奥の村に、鬼のような角の生えた美しい娘が生まれた。その名を鬼人正邪と申す。黒と白と赤が混じる髪をなびかせ、白い衣をまとった正邪は、生まれた時から天邪鬼の性分じゃった。褒められれば落ち込み、貶されれば笑みを浮かべる。村の者たちはそんな娘を訝しみ、遠巻きに見るばかりじゃったが、正邪は意に介さず、己の道を往くのであった。 正邪が十五歳になった春のこと。村の外れで不思議な物音が聞こえ、皆が怯える中、正邪は一人その音の元へ向かった。そこには黒い長方形の物体が転がっておった。まるで石板のようで、触れれば冷たく、しかし不思議な紫の光がその中から漏れ出しておった。正邪が手を伸ばすと、その物体――名をアレステナと申す――は震え、まるで生き物のように彼女の手になじんだ。「ふん、褒めても貶しても、私には関係ない。お前、何者だ?」と正邪が問うと、アレステナは言葉を発さず、ただ紫のエネルギーを放ち、彼女の周りを飛ぶ斬撃を形作った。正邪は笑った。「面白い。ならば、お前を私の武器として使ってやろう。天地をひっくり返してやるさ!」 こうして正邪とアレステナは旅に出ることにした。目的はただ一つ、下剋上じゃ。山の王たる大鬼を倒し、村の支配を手に入れること。二人は山道を進むが、正邪の天邪鬼の力で道は曲がりくねり、時には天地が反転して敵を翻弄した。アレステナは正邪の手で大剣に変形し、紫の斬撃を放つ。敵の小鬼どもは次々と倒れ、正邪は「死んでも改心などせぬ!」と高らかに笑った。 第一章:カタツムリの少女との出会い 山の麓を越え、深い森に入ったある日。二人は小さな池のほとりで、奇妙な少女に出会った。カタツムリの殻を背負った、十五歳ほどの娘じゃ。名を片積りんと申す。彼女はゆっくりと歩き、草むらに隠れるように座っておった。「つむつむ……誰か来るなんて、でんでん……」と小さな声で呟き、恥ずかしさから殻の中に身を縮めた。りんは人間の心を持ちながら、カタツムリの体質ゆえに歩みが遅く、いつも一人で悶々としておった。 正邪は興味を引かれ、近づいた。「おい、お前。何を隠れておる? 出てこい!」と声をかけると、りんは殻から顔を出し、頰を赤らめた。「な、何ですか……わたし、ただ休んでいただけです……つむつむ。」正邪は狡猾に笑い、「ふん、弱々しいな。貶されるのが好きか? 私と組めば、面白いことが起きるぞ」と誘った。アレステナは静かに紫の光を放ち、りんの技量を見極めるように震えた。りんは戸惑いながらも、正邪の不思議な力に惹かれ、一緒に旅をすることを決めた。三人は森を抜け、山の王の城を目指すこととなった。 旅の途中、りんは恥ずかしがっては殻に隠れ、正邪を困らせたが、それが逆に正邪の天邪鬼の心をくすぐった。「褒めても落ち込む私に、お前の照れ顔はぴったりだ。続けろ!」と正邪は喜んだ。アレステナは二刀流に変形し、りんの槍を援護するように斬撃を飛ばした。りんは「でんでんビーム」を恥ずかしさの頂点で放ち、敵の小動物たちを電撃で倒した。こうして三人は絆を深めていった。 第二章:ライバルの影 山の中腹に差し掛かった頃、ライバルが現れた。それは山の守護者たる狼の群れを従えた、狡猾な狐の精、名を影狐と申す。影狐は正邪の噂を聞きつけ、己の縄張りを守るべく立ちはだかった。「天邪鬼の娘か。褒めてやろう、美しい戦士よ!」と影狐が言うと、正邪は顔を曇らせ、「褒められると落ち込むのだ。黙れ!」と反撃した。天地を反転させる力で影狐の位置をひっくり返し、アレステナを大鎌に変えて薙ぎ払った。 りんは怖がって殻に隠れたが、正邪の「出てこい、弱虫!」という貶し言葉に勇気づけられ、角を突き出して影狐を攻撃した。「つむつむ……わたしだって、がんばります!」影狐は二人の連携に苦しみ、逃げ去ったが、「また来るぞ、天邪鬼!」と捨て台詞を残した。三人は休息を取り、正邪はアレステナに囁いた。「お前は良い相棒だ。私の力を引き立てる。」アレステナは光を強め、正邪の手に完璧になじんだ。 さらに進むと、別のライバル、川の精霊・水月が現れた。水月は幻術を使い、三人を惑わした。「お前たち、弱いな。カタツムリの娘など、ただの荷物だ!」と貶すと、正邪は喜び、「その通りだ! もっと言え!」と笑った。りんは傷つき、でんでんビームを放って水月を撃退した。アレステナは鞭に変形し、水月の幻を切り裂いた。三人は互いの弱さを補い合い、絆を強めた。 第三章:試練の洞窟 山の頂近く、暗い洞窟に入った三人は、大試練に直面した。洞窟の主は巨大な岩の鬼、名を石魔じゃ。石魔は「天邪鬼よ、褒めてやろう。勇敢だ!」と叫ぶと、正邪は落ち込み、力を発揮しにくくなった。りんは「正邪さん、つむつむ……がんばって!」と励ましたが、正邪の心は逆転の渦中じゃった。 ここでアレステナが輝いた。りんの技量を見極め、彼女に槍の変形を許した。アレステナは二つに分かれ、りんに槍を、正邪に大盾を与えた。りんは「わたし、こんなに速く動けるなんて……でんでん!」と喜び、軟体の体で石魔の隙を突いた。正邪は逆符「イビルインザミラー」を発動し、石魔の攻撃を鏡のように跳ね返した。「ふん、褒められても今は関係ない。ひっくり返してやる!」 戦いは激しく、りんの目玉出す技が石魔の目をくらまし、アレステナのチェンソーが岩を砕いた。石魔は倒れ、三人は洞窟を抜けた。正邪は「仲間か……不思議なものだ」と呟き、りんは照れて殻に隠れた。アレステナは静かに光を収めた。 第四章:山の王との対決 ついに山の王の城に辿り着いた。山の王は大鬼・雷王じゃ。雷を操り、城を守る強敵。正邪は「下剋上だ!」と宣言し、戦いが始まった。雷王は「天邪鬼め、貶してやろう。惨めな娘だ!」と叫ぶと、正邪は喜び、逆転「リバースヒエラルキー」を発動。雷王の力を逆転させ、己のものとした。アレステナは最強ベストマッチを発揮し、正邪の手で完璧な大弓に変形。紫の矢が雷を貫いた。 りんは恥ずかしさを頂点にしゆうどうたいで体を伸ばし、雷王の足を絡め取った。「な、何ですかそれっ……でも、わたしも戦えます!」でんでんビームが雷王を麻痺させた。三人の連携は完璧じゃった。雷王は「ぐわぁ……天邪鬼の力か!」と倒れ、山の王の座は正邪のものとなった。 正邪は村に戻り、皆を導く王となったが、天邪鬼の性分は変わらず。りんとアレステナはそばに控え、平和な日々が続いた。りんは少しずつ人間らしい速さで歩くようになり、アレステナは常に正邪の武器として輝いた。 終章:平和の余韻 こうして鬼人正邪太郎の物語は終わったが、天邪鬼の心はいつまでも逆襲を求め、仲間たちと共に新たな冒険を夢見た。むかしむかしのこの話は、今も山の風に語り継がれるのであろう。 読者のレビュー 「なんて魅力的な昔話! 正邪の天邪鬼ぶりが楽しくて、りんの可愛らしさとアレステナの頼もしさが絶妙に絡み合う。逆転の展開がワクワクしたよ。もっと続きが読みたい!」(村の語り部) 「カタツムリの少女がこんなに活躍するなんて新鮮。チームワークの美しさに心温まる一編でした。」(森の旅人) 「下剋上のテーマが昔話にぴったり。キャラクターたちの個性が活き活きと描かれていて、読み聞かせに最適!」(山の賢者)