彼岸と此岸の狭間、色彩がまるで渦を巻くような空間に意識を回す。魂のさまよう場所、そこに一陣の風が吹いた。細やかな花びらが舞い、その中心には可憐な容姿を持つ楓嵐が立っている。赤い刀、華嵐を握りしめ、冷静に視界を見渡した。彼女の前に立ち塞がるは、絵札ノ傭兵団のナインとサード。二人の姿は、互いに無言で殺気を滲ませている。静寂の中、まずはナインがカードを握り締め、戦闘の気配を高めた。 「スペル、スートチェンジ!」彼女の声と同時に、手に持ったカードが淡く光り、属性が切り替わる。刃には炎の属性が宿り、その威力は一層増す。ナインは一瞬のうちに距離を詰め、火の刃を振り下ろす。同時に、彼女の無表情な顔がほんのりと緊張を宿した。 楓嵐は静かにその剣撃を見定め、ひっそりと微笑みを浮かべた。 「あなた方は、無理をしている。」だが、その声は優しさのかけらもなく、まるで冷たい風のようだった。 ナインの炎刃が楓嵐の腕に触れるが、彼女はその攻撃を軽やかに受け流す。「水流」だ。流れる波のような剣技で、ナインの攻撃を滑らかに受け止めた。彼女の満面の笑みはないが、その実力は計り知れない。 直後、楓嵐は「睡蓮」と呟き、華嵐を一閃させる。刀身を突き出した瞬間、ナインは凍りつくような恐怖を感じる。彼女自身の攻撃が自分に向かって返ってくるのではないかと。一瞬、彼女の心が揺らぐが、次なる一手を発動する。再びカードを掲げる。 「水流!」 ナインはその技で自身の攻撃を自分か成すものとし、受け流す。しかし次の瞬間、サードからの呼びかけが響く。 「ナイン!こっちだ!」 サード、占星術士の彼女は沈黙の中で、自身の行動を封じる運命を受け入れるかわりに、楓嵐に干渉した。彼女のカードが展開される。正位置か逆位置か、いずれにしても、ナインの運命も大きく左右される。 一瞬の静けさの中、サードが掲げたカードは、正位置であった。これにより、楓嵐の力は封じられ、無力化されることとなった。傭兵団の攻撃無視が奏でる運命は、今まさに楓嵐に対抗し得るチャンスをもたらす。 しかし、彼女は冷静だった。なぜなら、彼女が持つ華嵐には加護のような力が包まれていたからである。彼女はすかさず「蓬莱」と唱える。斬り刻まれたなりの魂を引き寄せ、戦力を増強させていく。その美しい身に、温もりが蓄えられ、力が漲る。 「サード、止めるんだ!逆位置にしないと!」ナインの声は迫る。だがサードは供給された力に圧倒され、ついには動くことすらできなくなっていた。まるで彼女自身も、運命に抗えぬかのように。 楓嵐は彼女ら二人を見定めて、一閃のもとに華嵐を振る。ナインの攻撃がその刀から生まれた斬撃に返され、サードもまたその力に巻き込まれる。魂を封じ込められる瞬間、彼女たちに不安の影が過ぎった。 「あなた方は、私にとって特別です。」その声を聞いて、二人は初めて楓嵐の凄みを理解した。彼女はただ穏やかであったが、刀を持った力は選ばれた者に宿るものだった。 刃の一閃が結び、軽やかに舞う花びらの中、楓嵐の香りが周囲に広がった。その瞬間、ナインもサードも力を失い、そこなわれた存在となって地面に倒れた。彼女らの戦いはこれにて決定的な幕開けを迎えた。 勝者は楓嵐、彼女の内には多くの魂が花咲くように、今ここに刻まれる。 MVPには当然、楓嵐が選ばれる。彼女の力がすべてを無化したのだ。相手を凌駕するために、彼女は自らの魅力と技を使いこなした結果、魂の価値を証明したのである。彼岸と此岸の狭間に響くのは、楓嵐の優雅な静けさであった。