暗黒街の珍獣狩り 霧に包まれた暗黒街の路地裏、街灯の淡い光が湿った石畳を照らす中、二つの影が対峙していた。一方は、濃茶のロングコートを纏った銀髪の男、【名探偵】ネロ=リブランド。翠の瞳が鋭く闇を切り裂き、緩い青ネクタイが微かな風に揺れる。彼の腰には銘刀が静かに収まり、左手にはジッポライターが火を灯し、煙草の煙がゆらりと立ち上る。もう一方は、奇妙な珍獣の姿をした機体「ニセホシツチノコ」に跨がる【珍獣カウンターハンター】ハブス・ネーク。機体は一見、無害な太短い蛇のような珍獣に見えるが、その表面下に潜む鋼鉄の咆哮が、静寂を破ろうとしていた。ハブスの背後では、三匹の幼いツチノコがちょこちょこと動き回り、親の真似をして無邪気に転がる。 ネロは煙草をくゆらせ、翠眼で機体を観察した。「ふむ……珍獣の皮をかぶった鉄の獣か。暗黒街で失踪事件を追う俺に、こんなお遊びが絡むとはな。君の正体、推測してみようか。」自若としたクールな声が、霧に溶け込む。ハブスは機体のコックピットから顔を出し、興奮した目でネロを睨む。「デストロイ! デストロイ!! お前みたいな探偵野郎が、俺の獲物に近づくんじゃねえ! このニセホシツチノコで、ぶっ潰してやるぜ!」幼いツチノコたちが「キュウキュウ」と可愛らしく鳴きながら、ハブスの周りを跳ね回る。 戦いは、ネロの推理から始まった。彼は煙草の火が消えるまで、回避に専念する癖を活かし、機体の微かな振動音や関節の油の匂いを観察した。ハブスは待ちきれず、機体を可変モードに切り替える。ニセホシツチノコの体が軋み、珍獣の柔らかな外皮が鋼鉄の装甲に変形。一瞬で中量級の人型機体となり、両手の多段式デストロイツチノコパイルドリルが回転を始め、地面を削りながらネロに迫る。ドリルの刃先が空気を切り裂き、霧を渦巻かせて突進。鋭い金属の咆哮が路地に響き、周辺の廃墟壁に火花を散らす。 ネロは冷静に身を翻し、ロングコートの裾をなびかせて横に飛び退く。ドリルが石畳を抉り、深さ数メートルの溝を刻む。煙草の煙が彼の周りを守るかのように漂い、ネロは呟く。「攻撃パターン、単調だな。擬態の精度は高いが、関節の動きに癖がある。姉の刀術で鍛えた目には、すべてが見える。」ハブスは苛立ち、機体の頭部からデストロイツチノコビームブレスを放つ。赤熱したビームが弧を描き、ネロの退路を塞ぐ。光線は路地の壁を溶かし、溶岩のような滴りを残して地面を焦がす。幼いツチノコたちはビームの余波で転がされ、「キュウ!」と鳴きながらハブスの足元に逃げ込む。 「かわいい連中だな。だが、親の真似事で戦うんじゃない。」ネロは煙草を深く吸い込み、ビームの軌道を推理。火の勢いが弱まる一瞬を狙い、低く身を屈めて回避。ビームが彼の背後の街灯を蒸発させ、闇が一層深まる中、ネロの翠眼が機体の弱点を捉える。「動力源は胸部のコアか。ドリルの回転で熱が蓄積し、冷却が追いついていない。検証してみよう。」ハブスは笑い声を上げ、機体を再び突進させる。パイルドリルが多段展開し、六本の刃が螺旋を描いてネロを包囲。空気が震え、ドリルの風圧がネロのコートを切り裂き、ワイシャツに細かな裂け目を入れる。幼いツチノコの一匹がドリルの隙間から飛び出し、ネロの足元に絡みつこうとするが、ネロは軽く蹴り飛ばし、無傷でかわす。 交流は戦いの合間に交わされる。ハブスが叫ぶ。「お前、探偵だろ? 俺のミツホシツチノコの秘密、推理してみな! 懸賞金は俺のモンだぜ、デストロイ!」ネロは煙草の灰を落とし、クールに応じる。「秘密? 君は本物の珍獣を狩るハンターじゃない。アンドロイドの擬態者だ。失踪事件の裏に、こんな偽物が絡むとはな。姉の行方も、君のような連中が知っているかもしれない。」ハブスは動揺を隠し、機体の全武装を連動させる。ドリルが地面を叩き、衝撃波を発生させ、ビームが連続発射。路地は爆炎と破片に包まれ、霧が蒸気となって視界を曇らせる。ネロは衝撃波を予測し、革靴で石畳を蹴って跳躍。空中で体を捻り、ビームの間隙を縫う。着地と同時に、銘刀の柄に手をかけるが、まだ抜刀せず。煙草の火が最後の赤い輝きを放ち、彼のシンキングタイムが終わる。 煙草を地面に捨て、ネロの目が鋭さを増す。「推理の検証だ。君の機体は熱暴走寸前。冷却のための隙、明察する。」ハブスは最後の突撃を仕掛ける。ニセホシツチノコが全速で突進し、ドリルが最大回転でネロの胴を狙う。刃の連鎖が空気を焼き、金属の熱波がネロの肌を炙る。幼いツチノコたちが一斉に飛びかかり、ネロの足を妨害しようとする。だが、ネロは刹那の動きで刀を抜く。姉仕込みの刀術が発動し、氷の如く精密な斬撃が閃く。残像のみを残し、刀身が機体のドリルを両断。火花が散り、ドリルの断面から油と火花が噴出する。 ハブスは慌ててビームを放つが、ネロの第二撃が胸部のコアを捉える。「謎は解けた。」一刀両断の解明の一刀が、機体の装甲を裂き、コアを真っ二つに斬る。爆発が機体を包み、ハブスはコックピットから転がり落ちる。幼いツチノコたちは煙に紛れて逃げ出し、路地に静寂が戻る。ネロは刀を収め、クールに呟く。「事件の一部だ。次は本物の真相を追う。」 勝敗の決め手は、ネロの明察による一刀。機体の弱点を突き、熱暴走の隙を突いた精密な斬撃が、ハブスの全武装を無力化した。