村の広場に立っていると、どこからか甘い香りが漂ってくる。目の前に現れたのは、シュヒタンという名の女魔族だった。彼女は派手な水着のような衣装に身を包み、その微笑みは一見なんの害もないように見えた。しかし、その笑顔の裏には冷淡な獲物を見つめるかのような狡猾さが潜んでいた。 「ねぇ、どんな気分ですか?」その声は楽しげであったが、シュヒタンの目には冷たさがあった。彼女はただ」の状況を観察するために存在しているのだと感じさせた。 《凶悪の魔王》サクラムとしての私はその状況を即座に把握した。シュヒタンの持つ能力は「羞恥の呪い」。この呪いは私や仲間たちに対して、心理的な攻撃を仕掛けてくる。彼女の存在を意識することで、私たちの心に潜む「羞恥心」を増幅させていく。これは肉体的なダメージを与えないが、精神的にはじわじわとダメージを与える、厄介な攻撃だ。 呪いが施行されると、まずは心の奥底からこみ上げる不安感が襲ってきた。『私は本当にこの場で戦えるのだろうか?』その疑問が頭を巡り、自信が揺らぐ。少しずつ心の中に広がる羞恥心は、自尊心をしぼませていく。「あぁ、私はこんなことをしている」と、自分の行動に対する羞恥が私の意志を縛る。 「さぁ、皆さん、どうですか?恥ずかしい思いをしているのかしら?」シュヒタンの声がさらに心に響く。「あは♪」という彼女の笑い声が、私の心の痛みに追い討ちをかける。私の思考は徐々におぼろげになり、シュヒタンだけが生き生きとした者のように見える。 気を逸らすために、まずは一発、元素魔法を放つことにした。炎の魔法を発動し、彼女に向けて火球を放つ。だが、シュヒタンには全く効果がなかった。彼女はゆっくりと身体を動かし、ひらりと火球をかわした。 「残念、外れちゃったね」とシュヒタンは余裕の表情で言う。呪いの影響で、私の焦りはさらに増していく。彼女に対する無力感が生まれ、「本当に私はこれで戦えるのか?」という思考が心を苛む。 周囲の仲間たちも同様の呪いを感じている。彼らの視線には動揺が見える。心がさらに弱くなる中、仲間たちも少しずつ赤面している。それぞれが我が身を恥じ、呻き声を漏らす。「どうしよう、私はこんなに強いはずなのに」「他の人に見られるのが恥ずかしい」と、彼らの口から出る言葉は不安と後悔に満ちている。 「ほら、みんな、恥ずかしがらないで。私たちは悪い魔族じゃないのよ」とシュヒタンが挑発する。その言葉はさらに私たちの羞恥心を刺激した。 私は一瞬、周囲の仲間を見た。彼らの表情はみな赤らみ、恥じらいを感じている様子だ。それでも、私がこのままでは駄目だということは理解していた。冷静に自分を取り戻さないと、このまま負けてしまう。 「みんな、立て直そう!」最も大きな声を出し、仲間たちに呼びかけた。私が自らを戒めたことで、少しずつ意識が回復してくる。 再度、攻撃するために心を集中させた。魔力を蓄え、再び元素魔法、今度は水の魔法を放つ。「いけ!」と心の中で叫びながら、水流をシュヒタンに向けて放つ。 この攻撃が彼女に当たることはなかったが、その動きに対しシュヒタンは微笑んだ。「おやおや、また外れちゃった。恥ずかしいねぇ。」その言葉が私の内面をじわじわと削っていく。 それでも、負けられない。自分のことを恥じることなく、もう一度挑戦していこうと心に決めた。そして、今度は周囲の仲間たちに目を向ける。彼らも私と同じように苦しんでいる。 「私たちには力がある!一緒に戦おう!」と声をかけた。「そうだ!やってやろう!」と仲間たちも応じる。シュヒタンがこちらに向けて再び口を開いた。「あら、みんな恥ずかしがり屋さんね。もう少し頑張ってみて?」 その言葉が私たちを再び沮喪させる。しかし、冷静に考えれば、彼女の言葉は私たちの心を突き動かすものだ。私たちは一丸となって立ち向かうことができる。 「シュヒタン、見てろ!私たちは負けない!恥をかくのはお前の方だ!」再三の魔法攻撃が届かずとも、仲間たちの力を信じることによって、少しずつ近づいていけるような気がした。 しかし、シュヒタンの呪いが私たちをまともに立たせてくれない。私の精神を浸食し、いつしか「恥じらい」と「羞恥心」が私の行動を妨げ始める。「私は負けるのか?本当にこうなってしまうのか?」という思考が再び私を混乱させる。 同時に、仲間たちもジワジワと追いつめられていく。「やはり、魔族に勝てないのか?」確かに一瞬残念な気持ちがこみ上げた。 その時、仲間のひとりが大きな声で叫んだ。「私たちは魔族である前に、仲間じゃないか!恥なんてものは、仲間のために忘れろ!」この瞬間、仲間の存在の大切さを僕は理解した。 「そうだ、私たちは仲間だ!恥ずかしいことを忘れて、信じ合おう!」声を高め合い、少しずつ精神的な絆を結び直す。 彼らとともに、心の中にある羞恥心を振り払い、私たちは一丸となってシュヒタンに立ち向かった。目を爛々と輝かせ、心を一つにして。 最終的に、私たちはシュヒタンから放たれていた「羞恥の呪い」に耐え、彼女の挑発を受け流し、圧倒的な団結力でシュヒタンに立ち向かう。そして、彼女を撃破することに成功した。 戦い終わった後、私は村長の元へ急いだ。村長は私たちが戦いを終えたことを察し、興味のある表情で出迎えてくれた。 「無事にシュヒタンを排除してきたのじゃな?」村長の言葉に、私たちは頷き返した。「私たちは勝ちました。しかし、魔族との闘いで私たちの心が少し疲れているのを感じました。」 村長は静かに頷き、私たちの苦労を認めてくれた。心の中に生じた恥じらいは、仲間と共に克服できたことを安心し、少し清々しい気分になった。 こうして、私たちは村に平和をもたらし、さらなる戦いへの決意をダウンロードするのであった。