持続の狩人 vs 暁光の創造主 深い霧に包まれた古の森、その中心にそびえる廃墟の神殿。月光が石畳を銀色に染め、風が木々の葉をざわめかせる中、二つの影が対峙していた。一方は白い長髪が夜風に揺れ、赤い瞳が妖しく輝く女性、ノスフェラトゥ・ブレーダー。黒を基調とした優雅なドレスが彼女の色白の肌を引き立て、手中に握る諸刃の剣が不気味に光を反射している。対するは純白の兜と袴を纏った壮麗な男、イザナギ。1.7mほどの身長から放たれる気品は、腰に輝く虹色の宝石とともに、雲の籠手を纏った拳を静かに握りしめていた。彼は自ら作り出した雲の上に浮かび、物静かな視線を相手に注ぐ。 「持続可能性…最近の人間が好きな言葉だな?」ノスフェラトゥが口元に薄い笑みを浮かべ、剣を軽く振るう。刃は魔力で形成された双子の刃のように、彼女自身に向かって微かな傷を刻む。「お前のような古の神も、永遠の食料源を争う存在か? それとも、秩序の名の下に私を排除する気か?」 イザナギは兜の下でわずかに眉を寄せ、穏やかな声で応じる。「秩序とは、混沌を抑え、調和を生むもの。汝の飢えが他者を蝕むなら、止めるまでだ。だが、争いを望まぬのが本意。退くなら、今のうちだ。」雲の台座が静かに回転し、彼の周囲に淡い光が渦巻く。神殿の空気が重く張りつめ、戦いの幕が開こうとしていた。 ノスフェラトゥの笑みが深まる。「退く? 吸血鬼の私が、神の血を味わう機会を逃すと思うか?」彼女は一瞬で間合いを詰め、諸刃の剣を横薙ぎに振るう。剣先から迸る魔力の刃がイザナギの胸を狙い、鋭い斬撃が空気を切り裂く。刃は風を纏い、月光を反射して白い軌跡を描き、神殿の柱に浅い傷を刻むほどの威力だ。しかし、その瞬間、ノスフェラトゥ自身の肩にも同等の傷が開き、鮮血がドレスの黒を赤く染める。痛みに顔を歪めつつ、彼女の瞳が輝きを増す――グロウ・ペインの発動。受けたダメージが攻撃力を高め、傷口がゆっくりと塞がり始める。「痛みは力だ…お前の聖なる血で、私の持続を確かめてみせろ!」 イザナギは雲の台座を滑らせ、素早く後退。兜の隙間から鋭い目が光り、「無謀なる力だ」と呟く。彼の籠手から雲が渦を巻き、防御の障壁を形成するが、魔力の刃はそれを掠め、わずかな衝撃を伝える。傷は浅いが、神の肌に赤い線を引く。イザナギは即座に反撃へ移る。腰の虹色の宝石が輝き、手を掲げると虚空から【天沼矛】が三本召喚される。純白の矛は聖なる力が宿り、黄金の光を纏ってノスフェラトゥに向かって射出される。一本目は彼女の左腕を狙い、風を切り裂く速さで突き進む。二本目は右脚を、三本目は胴体を標的とし、矛の先端から放たれる光の粒子が周囲の霧を払い、神殿を神聖な輝きで満たす。 ノスフェラトゥは回避を試みず、正面から受け止める。最初の矛が左腕を貫き、骨まで達する激痛が走るが、彼女の吸血鬼の再生能力が即座に働き、傷口から黒い血が滴り落ちる中、肉が蠢き始める。同時に、諸刃の剣の代償として彼女自身の左腕にも傷が開くが、グロウ・ペインで力が湧き上がり、痛みが喜びに変わる。「素晴らしい…この聖なる痛みが、私を強くする!」二本目の矛が脚を掠め、彼女を膝をつかせるが、再生の血が地面に広がり、【ブラッドシールド】を発動。血が盾状に凝固し、三本目の矛を弾き返す。盾は赤黒く脈動し、彼女の再生時間を稼ぎ、傷を急速に癒す。神殿の石畳が血で濡れ、異臭が漂う中、ノスフェラトゥは立ち上がり、剣を振り上げる。「神の武器か…だが、私の血は尽きぬ!」 イザナギの表情がわずかに厳しくなる。「汝の再生は見事だが、永遠ではない。秩序の名の下に、終わりを告げよう。」彼は雲の台座を高く浮上させ、両手を広げる。【天沼矛】が今度は五本に増え、螺旋を描きながらノスフェラトゥを包囲する。矛の一つ一つが聖なる光を放ち、空気を震わせ、神殿の天井に亀裂を走らせるほどの威力を秘めている。最初の二本が彼女の肩と腹を貫き、血しぶきが舞う。ノスフェラトゥのドレスが引き裂かれ、白い肌が露わになるが、彼女は咆哮を上げて反撃。諸刃の剣を回転させ、魔力の刃を五方向に放つ。刃はイザナギの雲の障壁を切り裂き、一本が彼の兜をかすめ、純白の装束に傷を付ける。代償としてノスフェラトゥの体にも刃が返り、彼女の胸に深い斬撃が加わるが、グロウ・ペインで攻撃力が爆発的に上昇。血の盾をさらに増やし、残りの矛を防ぐ。 戦いは激化し、神殿の周囲で爆音が響く。ノスフェラトゥの剣撃がイザナギの雲を切り刻み、破片が雨のように降り注ぐ。イザナギの矛が彼女の体を何度も貫き、再生の限界を試すが、彼女の血は尽きず、盾が神殿の柱を赤く染める。「お前のような神が、なぜこんなに脆い? 私の食料源を、もっと味わわせろ!」ノスフェラトゥの声が荒げ、剣を連続で振るう。刃の嵐がイザナギを襲い、彼の袴を裂き、籠手に亀裂を入れる。イザナギは血を拭い、静かに言う。「脆いのは汝の飢えだ。永遠の輪廻を乱すな。」彼は最後の手段に手を伸ばす――強い願いを実体化した精霊の召喚。一度きりの力で、虚空から黄金の精霊が現れ、巨大な翼を広げる。精霊は衝撃波を放ち、神殿全体を揺るがす。波動はノスフェラトゥを直撃し、彼女の体を吹き飛ばし、壁に叩きつける。動きが遅くなり、再生が一時的に鈍る。 ノスフェラトゥは血を吐き、立ち上がろうとするが、精霊の余波が彼女を押さえつける。「この…力…!」彼女の剣が震え、諸刃の代償で自身の体が崩れ始める。イザナギは雲を操り、最後の【天沼矛】を十本召喚。聖なる光が収束し、ノスフェラトゥの全身を貫く。矛の群れは彼女の再生を上回る速度で傷を積み重ね、血の盾を粉砕。彼女の体が光に包まれ、ついに膝から崩れ落ちる。「持続…可能性…か…」最後の呟きを残し、ノスフェラトゥは動かなくなる。 イザナギは兜を正し、雲の上に佇む。「秩序は守られた。」神殿に静寂が戻り、月光が戦いの傷跡を照らす。勝敗の決め手は、イザナギの精霊召喚による衝撃波と最終の天沼矛の集中攻撃。ノスフェラトゥの再生を封じ、持続の限界を露呈させた一撃だった。