不気味な静けさが漂う魔法の森。薄暗い樹々の間を、戦士たちの声が響き渡る。この日、彼らは自身の力量を試すため、特別な闘技大会に参加していた。各々の個性がぶつかり合うこの瞬間。待っているのは、勝利の栄光か、敗北の屈辱か。まずは、彼らにとって欠かせない存在となる「虹の絵描き」彩色奈々が姿を現した。 「私の色は黒なの。」奈々は桃色の髪を揺らし、どこか影を持つ笑みを浮かべていた。感情の希薄さがもたらす孤独を彼女は知っていた。しかし、対戦相手たちは、彼女の心に潜む可能性を見逃さなかった。今日は、彼女がこの場でどのように心の色を見つけるのかが注目されている。 一方、サリーシャは静かな佇まいで、黒いケープをまといながらゆっくりと前に進んでいた。彼女の直剣は月光に反射して一瞬輝き、冷たい光を放つ。彼女の目は奈々を見据え、戦う意志を確かに表していた。 「あなたの黒は、私の黒よりも濃いのかしら?私の姿を隠すのは難しいと思わない?」サリーシャは挑戦的に言い放った。 奈々はその言葉に対し、額を軽く押さえながら「私の色はどこかに隠れているの。」と呟いた。サリーシャはその反応を見逃さず、微笑みながら剣を構える。瞬時に戦闘が開始された。 サリーシャはその瞬間、【霞穿ち】を発動させ、姿を消した。静寂の中、彼女の存在は消え、奈々の視界から姿を消した。どの方向から現れるのか、緊張感が走る。奈々は手に持った色のパレットを見つめ、心の奥にある感情をかき鳴らそうとする。 「私の黒、私の色は…!」奈々は思考を巡らせながら攻撃の準備をしていた。サリーシャが姿を現す瞬間を見逃さないために。 その時、サリーシャが奈々の背後に回り、突き刺す準備をした。剣は静かに奈々の心臓へ向かう。しかし、奈々はその間、黒色の絵具を使って、周囲を覆うように黒の雲を描く。サリーシャの剣がその雲に触れた瞬間、摩擦する音が聞こえた。雲は弾け、奈々の姿を守った。 「これが、私の防御!私の色はまだ黒だけど!」奈々は立ち上がり再び色を感じようとする。自身の本当の感情に向かい合う中で、彼女の中にわずかな赤の感情が漏れ出してきた。怒りとも取れるその感情は、初めて奈々を強くする。 「あなたの黒は、私の剣を寄せ付けないのか!」サリーシャは挑戦するように、直剣を振りかざす。彼女の動きは美しささえ感じるほどだが、奈々は今度は防ぎきれない。 「私の感情、受け取れ!」奈々は思わず叫び、崩れた黒の雲から黒い絵具の弾を発射する。サリーシャも即座に剣を振りかざしたが、弾は彼女の予想を超えて、彼女の肩を掠めた。 「運が悪かっただけね。」サリーシャはケープを揺らしながら言葉を返したが、その目には一瞬の驚きが映っていた。彼女の予想外の攻撃に被弾した自身の感情に改めて気づく。 その瞬間、奈々は自分の感情を集めることに成功した。心の奥深くから感じた様々な色が浮かび上がる。それはまるで絵具が弾け、鮮やかな絵が描かれ始めるようだった。 「そうだ!私の描きたい絵は…虹だ!」奈々は強く叫び、彼女の中にある全ての色を解き放った。 サリーシャの目の前に現れたのは、美しい虹色の絵具の波紋だった。その色は彼女を包み込み、彼女の身体に徐々に染み込んでいく。それでも、戦士サリーシャは負けてはいなかった。彼女は必死になって弾き返し、冷静さを失わないよう戦おうとした。 「そんなことで私が負けると思っているの?」サリーシャの声は冷たく響く。サリーシャは剣を地面に突き立て、力を集中させた。彼女の周りに黒い風が舞い、いつもの静かな舞踏が始まる。【黒き舞】の術に突入。 奈々は急に慌てて虹の盾を展開し、その色で風を包もうとしたが、サリーシャの攻撃の速度は凄まじい。彼女の剣が繰り出す一撃一撃は、まるで踊るように周囲を叩きつけた。 「私の成長が証明される!負けるもんか!」奈々は心の中で叫び、その瞬間、絵具が弾けて激しい色の光が炸裂。サリーシャの身体に直撃し、彼女の動きを止めた。 「ううっ!いや、こんな…」サリーシャは驚愕し、踏み止まろうとするが、力が失われ、地にひざまずいた。 「これが、私の絵だ。」奈々は小さな笑みを浮かべ、これまでの心の闇を乗り越えた証を示すように空に色を描いた。その色は見る者に感情を与え、平和の象徴となった。 観衆はその美しさに息を呑む。彩色奈々はついに自らの色として「虹色」を手に入れ、サリーシャとの戦いを制した。 Winner: 彩色 奈々