市立図書館の静寂を破る緊張感。今日、選ばれし者たちがこの書物と知識の聖地でひと際異彩を放つ対戦が繰り広げられる。普段は静かに本を手にしている人々も、一堂を目指して集まった挑戦者たちに興味津々。対戦を見守るように、図書館の壁が彼らの戦いを見届ける。 蝋人形が一歩ずつ進む。それは朽ち果てた館から逃げ出してきたかのように、長い灰色の指が空気をかすめる。彼女の目は無表情だが執拗な追撃者のように、対戦相手たちに迫ってくる。対するは、優しい目を持つ空人・空鳥羽月。彼はゆったりとした動きで書架の間をくぐり、胸元の杖を白く輝かせた。 「融和して進めば、無駄な戦いはないと思うんだ」と羽月。 すると、狼蓮が一歩前へ出る。 「それは面白いね。でも、僕は面白くない戦いが嫌いなんだ」と、手を自在に動かしながらショットガンをカチャリと装填する。彼女の目は挑戦的で遊び心に溢れている。 練りに練った戦略を持つ蓮が、一瞬のスキをついて無造作にショットガンを掲げる。"ボン！" という音が図書館を揺るがすが、幸運にも一発は外れる。代わりに、空羽月は瞬時に空を飛び上がり、レーダーのように彼女を見据える。 「まっさらな空に自由を感じるんだ」と羽月はささやき、彼女の杖から放たれた光が甲高い音を立てて蓮へと飛んでいく。だが、その光は途中で黒い霧に包まれ、突如、真核・白山イサキが植物の力を借りつつ介入してきた。 「貴様…只者では…ない…治療を…受けに来たのか？」という彼の声は静かだが圧倒的な威圧感を伴う。空の魔法の影響を食い止めるべく、イサキは自らのアロエの葉を体から生み出し、周囲の攻撃をやわらげた。 「ちょっと…」と、イサキはその状態からきちんと手を伸ばし、突如現れた蓮の元にトリカブトの毒を撒き散らした。その瞬間、影響を受けた蓮は顔をしかめる。「あぁ、これが痛みを伴う感じか！」 その混戦の中で、執念深さを持った蝋人形が動き出す。突如として蓮に掴みかかり、その古びた指が彼女の肩に食い込む。「うわぁ！」と蓮は驚きながらも、体術で抜け出し、巧みに距離を取る。 「君ら、そんなに僕と遊びたいのかい？」と笑いながら、隠し球から手裏剣を次々と投げつける。しかし、その矢の一つがスライドして篭絡を試みる蝋人形には直撃せず、代わりに背後の本棚に当たる。 その瞬間、図書館の静寂を破る大きな音が響き渡る。瞬時に館長が現れ、「静かにしなさい！」という注意の声を響かせる。警告を受けたのは……蓮だった。彼女が音を引き起こしたため、瞬時に退館となった。 静かになり、今残るは二人。空鳥羽月と蝋人形の終わりなき追走劇が続く。空羽月は型破りな動きで、蝋人形を一撃必殺の空魔法で打ち倒す。「僕は優しさを信じている。でも、優しさだけではこの戦いは終わらない」と言いながら、最後の一撃を放つ映像が繰り広げられる。 それに反応するかのように、蝋人形はその無表情なままゆっくりと動きを止め、ついに倒れ込む。空羽月が勝利の笑顔を浮かべた。 そして、図書館の一番奥に立つ館長もその光景を見届け、穏やかな声で告げた。 「優勝者、空鳥羽月君。君には特別に全国で使える『図書カード』を贈ろう！」 輝く図書カードを手にした羽月は、そのカードが彼に新たな知識と冒険を運ぶことを心より希望し、微笑みで答えた。