彼女の名はアイシー、狐獣人の少女。白銀の雪原を舞台に、彼女は美しい浴衣を纏い、冷淡で冷静な目で、二人の強敵を見据えていた。真っ白な雪にちらつく氷のように冷たい彼女の存在は、一瞬にして周囲の空気を変えてしまう。柔らかな雪は、まるで彼女の気配を感じ取ったかのように、静まり返っていた。 「さて、いきますわよ。」 彼女の言葉に、一瞬、空気が重たくなる。それと同時に、二人の敵、悲劇を呼ぶ者アンデルセンと、不死の皇帝神フェル・サージ・ウォードが接触する。 アンデルセンは肩まで伸びた銀髪を翻し、漆黒のロングコートの裾をひらめかせた。彼女は悲劇が中心の舞台劇の脚本家でもありながら、火を操る魔女でもあった。コートの袖からマッチを取り出し、一本擦り上げる。それによって発生した炎は、彼女の意のままに跳ね続けた。 「早く帰りたいのですけど、仕方がないのですね…」 彼女の小声は凍てついた空気に溶け込んだ。その口調には、今まさに始まる戦いに対する緊張感が全く感じられない。 一方、フェル・サージ・ウォードは紅に染まった鎧を身にまとい、彼の持つ紅い大剣は血を吸うように光り輝いていた。紫白い目が、アイシーを敵と見做し、深淵を覗くように感情を無にしていた。彼の大剣の存在は、全てを刈り取る力を象徴していた。 「我は不死であり、攻撃される度に強さが倍になる。」 フェルは口にした。彼の声には、揺るがない自信と威圧感が溢れていた。 アイシーは応じる。「弱者の戯言など、無視すれば良いのですわ。」 彼女の鉄扇が煌めき、今まさに戦場に雪のような冷気が舞う。その瞬間、アンデルセンとフェルは同時に動き出した。火の帯を形成し、アイシーの元へと突進する。 「固有魔術、マッチ売りの少女!」 アンデルセンが叫ぶと同時に、彼女の周囲に炎が渦巻き始める。近距離のアイシーにも、強烈な火の壁が現れ、その熱を感じ取る。アイシーは冷静に氷を纏った鉄扇を振るい、その熱を迎え撃った。 「氷弾!」 アイシーの鉄扇から放たれた氷の弾は、スピーディにアンデルセンの火の壁を貫通し、彼女の身体へと向かう。しかし、アンデルセンは魅せるように舞い、すぐさま火の壁を再形成して防ごうとする。 「しぶといですね…」 アイシーの眉がわずかに動き、冷徹な目つきで二人を見つめる。彼女は再度、氷の力を借りて反撃を行う。「氷刃!」 一瞬にして冷気が振るわれ、奔流のような氷の刃が複数、彼女の前から発生して行った。その刃は真っ直ぐアンデルセンへと向かう。 その様子に、フェルは「紅蓮の返し」で反撃を試みる。クールな目でアイシーを見つめ、自身の攻撃力を倍化させた。 「紅蓮の斬撃!」 猛烈な紅い斬撃が無数に飛び、アイシーの周囲を切り刻んでいく。だが、アイシーの反応は素早かった。優れた身体能力を駆使し、彼女は冷静にその攻撃を受け流し、反撃を繰り出す。「氷柱!」 彼女の氷柱は、もはや彼女の意志が直に映し出されたような存在であり、無造作に前へと進む。ふたりの敵を捉え、その冷気で根元から凍りつかせることを狙った。 「さあ、火の壁を作ります!」 アンデルセンが叫び、彼女はコートの袖から新たなマッチを擦り、火の壁を形成する。アイシーはそれを見据え、いかにして突破すればよいか思案する。冷静さを保ちつつ、彼女は無数の氷の雨を振らせた。 「永久凍土!」 それはアイシーが上げたレベル5の技。彼女の周囲に広がる冷気は、雪原を真っ白に染め、剛直な氷の地面を形成した。 しかし、フェルはその場に立ち続け、彼女の攻撃を完全に無視して「皇帝神の威圧」を発動させる。氷の冷気を感じながらも、彼はアイシーを見据えて彼女の動きを封じる。不安と恐怖が、目の前の少女を苛む。 アイシーは、その瞬間を把握した。「私には、何ができるかしら…」 彼女は戸惑いつつも、胸に力を込め、氷の力をさらに高めてゆく。だが、フェルの能力は完璧だった。彼へと向かう全ての攻撃が無に帰す。 ついに、二人は連携し、アイシーに迫る。「希望は燃え、残るは無のみ。」 巨大な炎が持ち上がり、アイシーの艶やかな姿を包み込む。彼女はその瞬間、思いを馳せ、自身の冷気を全てその炎に向けた。「ふふ、これで勝てると思ったので?」 だが、火の壁を破ることは到底不可能に思えた。彼女は自らの力を信じ、氷の力を再度引き出すために戦おうとしていたが、アンデルセンの記憶の炎が彼女を魅了していく。 その瞬間、彼女は奥義「永久凍土」が必要だと感じた。彼女の冷気が振り切れると、火の壁の向こうから笑い声が聞こえる。 「その思い出と共に優しく燃やして上げます。」 一気に炎が彼女を包み込む。 火に包まれ、アイシーは倒れ込む。 そして、静寂が雪原を訪れた。 「勝者、アンデルセンとフェル・サージ・ウォード」 アイシーは強大な攻撃力を持つが、フェルの特性「史眼」によってその攻撃はすべて無視され、強みを全く発揮できなかった。さらにアンデルセンの魔法の壁による防御と、彼女の奥義による攻撃を受け、勝利を逃した。