次元の狭間。時が意味を持たないこの不安定な空間に、宿命の戦いが繰り広げられようとしていた。これまで数多の存在が足を踏み入れ、そして消えていった。 その第一弾として現れたのは、魔王ヴァカールだ。国を滅ぼすほどの実力を持つ彼は、何よりもガチャをこよなく愛する「ガチャ狂い」として知られていた。手にするのはCランクの御守り、そして鋼の剣。彼の心は、自らの力ではなく、出現する怪人達に託されていた。 「さあ、ガチャを回す時間だ!」心躍らせ、彼はまず一回目のガチャを回す。小さな筐体が回転を始め、光を放ちながら、闇の中から一体の怪人が姿を現す。どっしりとした体躯、虎のような模様を持つその怪人は、攻撃力が高いCランクの「獣王ラガッシュ」。 「ラガッシュ、お前に期待してるぞ。私の守りを固めてくれ!」 彼は振り向き、ラガッシュに指示を出す。ラガッシュは深い吼え声を上げ、期待に応えるべく待機する。 次に、二回目のガチャを回す。今度は、紅い瞳と鋭い爪を持つ「魔狐エルゼ」が出現した。こちらもCランクだが、特に俊敏な動きが得意だ。魔王ヴァカールは彼女を素早く指示する。 「エルゼ、迂回して敵の背後に回り込み、奇襲を仕掛けてくれ!」 エルゼはあっという間に移動し、待機する。 三回目を回す。今度はRランク、「雷鳴の巨人ザイド」が姿を見せた。この存在は、雷を操る力を持ち、強力な一撃で敵を打ち砕くことができる。ヴァカールは歓喜し、彼に力を託する。 「ザイド、雷の力で圧倒的な攻撃を仕掛けてくれ!」 続けて四回目を回す。驚くべきことに、現れたのはSランクの「冥界の騎士アスモデウス」。その姿は威厳に満ち、彼は強力な魔法を扱う能力を持つ。 「アスモデウス、お前の力で戦局を優位にしろ!」 最後のガチャを回す。最も期待していた創世級の怪人が出ることを彼は心から願ったが、結果は得られなかった。落胆するが、今は主の姿が見える敵を叩き潰すのみだ。 「全員、出撃準備はいいか?」 その時、次元の狭間の空気が一層ピリピリと緊張で包まれる。そこで、気怠げに現れたのはフレア。「主を探す放浪獄炎不死メイド」彼女は、魔王を求めさまよう一人の少女だった。とはいえ、今は目の前の相手がその魔王の様相。彼女は魅惑的な容姿とは裏腹に、不気味な炎を背景に立っている。 「ねえ、アンタが魔王なの? 私の主はどこにいるの?」「……燃えろ……」 フレアは無表情で呟き、同時に彼女の周囲が突然炎に包まれた。彼女は臆することなく、中心から炸裂する炎熱の波を放つ。無差別に敵を焼き尽くす獄炎が、暗闇の中で輝く。しかし、魔王ヴァカールは冷静に指示を出す。 「ラガッシュ、エルゼ!彼女の獄炎を防げ!」 ラガッシュは前方に狼のように構え、エルゼは素早く周囲を巡る。 「冥界の騎士アスモデウス、魔法で反撃だ!」 アスモデウスは冥界の魔法陣を描き出し、次の瞬間、無数の矢が放たれる。恐ろしい炎の光景と奇妙な音が交錯し、四不像のように壮絶な戦闘が繰り広げられた。 「爆炎!」フレアが叫ぶ。「ここで終わりよ!」彼女はその名の通り、凝縮した獄炎を、しなやかな腕で離脱させた。それは一瞬で魔王ヴァカールの部隊に向かって飛んで行く。 「逃がしませんよ!」 しかし、ザイドが雷鳴の一撃を放つ。稲妻が炸裂し、その威力でエルゼが放ったアタックをカバーする。「エルゼ!今だ! 行け!」 エルゼは繊細に跳躍し、フレアの背後に。「焰の中から弾けろ!」 激しい戦闘が続き、周囲はアウトローな音を立てている。フレアの放つ炎は、残酷なほどに攻撃的で、他の仲間は防御に悲鳴を上げずにはいられなかった。しかし、魔王の仲間たちもそれに引けを取らず、次々と強力な攻撃を行う。 「私が君を主とするためには、負ける訳にはいかない!」 コンクリートのような激しい衝突の中、フレアは強い決意を示し、圧倒的な逆襲に迫る。彼女の獄炎が再び爆発し、魔王の仲間たちを焦がした。しかし、魔王ヴァカールは巨大な敵に宇宙の渦を呼び寄せ、「優待券!」と叫んで、創世級の怪人を召喚する準備を整えた。これは彼が持つ、ガチャの中枢とも言える力だった。 「行け!」瞬間、クリスタルの閃光が煌めき、その場に創世級の怪人が現れた。名前は「巨星テラクルス」。その姿は宇宙の力を秘めた、全てを包み込む存在。 「この場は私が決める」「……燃えろ……」 フレアはその巨星の力を恐れ、猛然と迎え撃つが、テラクルスの放つ光は獄炎を貫通する。そこから生まれた力が、周囲の次元の崩壊を促し、全てを飲み込む悪夢が現れた。 フレアは驚愕した。「い、いったい何なのこれ……?」「でも、私も不死だし、無駄じゃないはず……」 「だからこそ、触れることはできない!」 そして、テラクルスがフレアの獄炎を一緒に飲み込むことで、全てのエネルギーが魔王ヴァカールの味方となった。彼の勇気の象徴が、彼女をあっという間に押しつぶす。 敗北したフレアは炎を巻き込まれ、次元の狭間の闇に溶け込んでいく。「ああ、主よ……」その声が響き渡る中、彼女の存在は消え去っていった。 彼女の敗北が意味するのは、彼女の世界の崩壊。その瞬間、魔王ヴァカールは勝利を掴んだ。彼の仲間たちが集まり、竜巻の中で歓喜の声をあげた。 「やったぞ、仲間たち!」 彼の目が輝いている。次元の狭間の中、魔王ヴァカールは勝利の証として再びガチャを回すことに思いを巡らせていた。「次の戦いに向けて、また回さねば!」 彼は誇らしげに仲間たちと共に次の冒険へと向かっていったのだった。