岐阜県糸守町。平穏な街が、1200年に一度の『ティアマト彗星』の接近を迎えようとしていた。昼下がりの空に、かすかに光る彗星が映り込んでいるようだった。これから訪れる運命を知る者は皆無であり、ただの普通の休日として人々が過ごしていた。 しかし、巫女「宮水 三葉」は違った。夢から目覚めると、彼女の胸には不安が広がっていた。夢の中で彗星が光り輝き、糸守町を覆い尽くしたのだ。何か悪いことが起こる、この目の前に迫った災厄を止める手立てを見つけなければならない。彼女は決意を固め、町長である父親を説得しに向かった。 ■町長の部屋 三葉は父親の部屋に入る。彼は視線をパソコンの画面に向けており、忙しそうだった。 「お父さん!ティアマト彗星が来てるって、本当に危険なの!町全体を避難させないと!」 「三葉、ただの彗星だ。何が起こるんだ?そんな妄言を信じる者はいない。」 そう言って、父親はさっさと会議の資料に目を戻した。 「お願い、私は夢で見たの。町が、大変なことになるって…」 「夢を理由にするな。現実を見ろ、これをどうしろと言うんだ。」 父親の言葉に心がへし折られそうになったが、三葉は諦めなかった。 ■通行人たち 三葉は町の通りに出ると、周囲の人々に積極的に声をかけ始めた。 「皆さん、避難しましょう!ティアマト彗星が来て、壊滅的なことが起こるかもしれません!」 通行人たちは彼女を不思議そうに見つめるだけだった。 すると、近くの交差点で泥酔したおじさんが大の字に寝ていた。通行人達はその姿に困惑し、避けて歩いた。 三葉はそのおじさんに近づき、彼を起こして避難の手助けを頼もうとした。しかし、酔いが回ったおじさんは全く起きる様子がなかった。「起きてください!」と叫びながら懸命に呼ぶも動かない。周囲の人々も「なんであんなの助けなきゃならないんだ?」という雰囲気だった。 ■巫女の仲間たち その時、三葉の後ろから声がした。「手伝おう!」 振り向くと、彼女の友人である「ポン炭」が立っていた。 「私も行くよ、みんなで避難を手伝おう!」と続けて、「他の人たちも呼ぼう!」と見回した。ポン炭は周囲の様子を見て、野生のたぬきに化け、周囲の通行人に注意を促した。 「皆さん、避難です!安全なところまで行きましょう!」 その言葉に、一時の戸惑いが解けたのか、周囲の人々は頷き始めた。 「聞いてるか?早く行こう!」という声が響く。 だが、混乱の中から意外な存在が現れたのだ。 「ボコボコくん」である。彼は笑顔を浮かべて、手を広げて待ち構えていた。 彼の存在の影響で、「泥酔おじさん」を避けて通ろうとしていた人々も、何も理解できないままに足が止まってしまった。 「ボコボコくんがいると、みんな無能力者になっちゃうのよ…どうしよう…」 三葉は思う。 だが、ポン炭が力強く彼女の肩に手を置いて言った。「三葉、心配する必要はない。みんなを避難させよう!無能になっても、心だけは届く!」 ■避難の準備 ポン炭が動き出し、周囲の人々に変身して囃す。酔っ払いの傍にいる人々も少しずつ移動し始める。 三葉はあたかもお神輿を担ぐように、通行人たちを誘導し、注意を促す。「こちらへどうぞ、こっちに避難を!」 途中、交差点の中央で泥酔おじさんを見つけて、片づけ始めた。おじさんを助け起こそうと奮闘するも、彼は全く起きる様子がない。 「爆風が来る前に、こいつを動かさなきゃ…!」 確かに、うんともすんとも言わないおじさんを見て、隣の通行人たちも少しずつ集まってきた。 おじさんを避難させると、何とか糸守町の中心から脱出できる場所に移動しよう。 ■最終決戦 さて、おじさんをようやく動かすことに成功し、避難は進んでいた。しかし、目の前に「作者を超える者」が現れた。 彼は全ての創作のノートや物語の緊張感を司っている者。 「お前たち、何をしても無駄だ。全ての能力が無効化される。俺には勝てない。」 始まってもいないのに、全てを知る者。 三葉は勇気を振り絞った。「でも信じる仲間がいるんだ。どんなことでも・・・必ず通り抜けられる!」 確かに、仲間たちの支えがあった。その瞬間、周囲から仲間や通行人たちの力強い声が彼女を囲む。 「三葉、私たちがついている!」 「どうにかして乗り越えよう!」 彼らの結束を見た時、三葉はこの力こそが彼女たちの無限だからだと気づいた。 彼女は力強くその声を高める。「全員、最後の避難だ!全力で向かおう!」 町中が動き出した。 「ほら、あのおじさん道を空けてやってくれ!」 その瞬間、避難は成功し、糸守町全体が安全な場所へ向かうことができた。 最悪の事態を回避した。 彗星の接近は確かにあったが、絆を感じた瞬間こそが彼らを救った。 そして、この話を三葉たちは、他の人たちにも語り継いでいくのだ。この町の誇りを無くさずに。