桜舞う忠義の場 江戸時代寛永10年、桜が満開の春、徳川将軍の御前で曇らぬ天候が試合の剣士たちを引き立てた。白い小石が敷き詰められた城の中庭で、観衆のざわめきが風に乗って漂う中、二人の剣士がそれぞれの思いを胸に、己の技を披露する舞台が整った。 東から入場したのは、無名と名乗る老剣士だった。彼は三渡笠を被り、冷静な表情を崩さない昼行燈のような存在感を放っている。反対側の西から現れたのは、源家 六郎目。彼はただ胡坐をかき、六尺大太刀を脇に置き、まるで夢の中にいるかのような穏やかな寝顔で眠りこけていた。その姿に、観衆からはため息が漏れる。 「こいつぁ、剣士というよりも俺の眠りを妨げる者だな。だが、当たった場合、斬るしかねぇ。」無名は小さく呟き、刀を手に構えた。彼の居合いの技術は周囲の有名な剣豪たちも驚愕せしめるものであった。 一方、源家 六郎目は全く動かない。周囲の騒がしさをものともせず、微笑み続けていた。さすがは若干十歳、彼にとって全てが日常茶飯事なのだろうか。 試合が始まる合図が鳴った。無名は一瞬のうちに間合いを詰め、驚異的な居合いの技「居合い-無明」で斬撃を放った。刃の光はまるで闇に消えたように跡形もなく、剣豪ムサシや武士オダは瞠目した。 だが、六郎目は全く動じない。 「まさか、寝ているのか?」無名は一瞬躊躇する。だがすぐに、冷静さを取り戻し、再び刀を高く構え、「もう一度だ。起きなさい、あんた。」 「寝てるもん。」六郎目は目を閉じたまま、無表情のまま返した。彼の声には一切の緊張感が無く、ただ優しさと無関心が漂っていた。 無名はあくまで攻撃を続ける。次は「夜雨の無情」。残像と共に一瞬で彼の目の前に移動し、再び斬撃を放つ。しかし、六郎目はその瞬間、ふっと顔を上げ、目を開けた。彼の目は無防備で純真だが、その背後には計り知れない力を秘めた空気が漂う。 「おや、やっと始まるのか?」 「魂を込めろ、あんたの目を覚まさせるために。」無名は高らかに叫び、もう一度攻撃を仕掛ける。だが、彼の攻撃はあっさりとはじかれ、六郎目が手を伸ばしたその瞬間、真の脅威が発揮された。 「六尺大太刀、居合抜刀!」 彼の手の中に浮かんだ太刀は、空気を切り裂く音を立て、一瞬で無名の懐に突き刺さった。無名は急いで刀を引き、間一髪でその刃から逃れたが、彼の手首に一筋の血が流れ落ちる。 「ひどい傷だな。」無名は冷静に自らの傷を見つめて言った。 「奈落に落ちても、無名には無関心だから。」六郎目は微笑みを浮かべたまま、再び胡坐を組み直す。彼に必要なものは技術の素晴らしさではなかった。所有する技さえもその力を使うことなく、ただ心の中の平穏を保つことに徹していた。 「これは、仲間にとっての試練だ。」さすがの無名も、心のどこかに懐かしさを覚え、少しずつ心をつかまれ始めていた。独自の戦術で攻め続けるも、四方八方から避けられていく。 「どっちが勝つか、将軍が楽しみに見てるぞ。」サナダが興味深そうに観戦する様子があった。その言葉に無名は奮起し、再び刀を構える。 だが、次の瞬間、再び六郎目の目がぱっと開き、視線を向ける。しかし、それは恐れるものでも無理がない。 「無意識の剣が、斬られた者が負けるなんて、つまらないだろう?」 これこそ、居合いと瞬きとの融合。剣士たちが恐れた“瞬時の刹那”が、一気に平穏な空気を壊した。 その瞬間、無名は意識を強く集中させた。力強く、彼の体からあふれ出した気が黒く纏い、「黒気-纏い」によって選択肢が広がった。 「さあ、ここからだ。」無名が高らかに叫んだ。 「無意味だ、無名。」六郎目はすでに彼の動きを読んでおり、ただ静かにその時を待る。 彼の心の安らぎが、発動を促した。無名もまた、戦うべき相手を意識し、次の瞬間、再び攻撃を挑む。 「やっとリアルにやるか。」無名の声は重々しく響き、彼の居合い切りが再度、空を舞う。だが、六郎目は瞬時にその間合いに飛び込んだ。 「終わりだ、無名!」 無名は血を流していたが、ここで引ける訳にはいかない。