--- 雷鳴が轟く中、庭園に佇む二人の影があった。 それぞれの存在はまさに異次元のような雰囲気を放っていた。一方は、「切断者」なる名を持つ存在。 その正体は「切断」の概念そのものであり、概念が存在する限り、彼女は決して死ぬことはない。 もう一方は「陽樹郎」と呼ばれる怠け者で、賭博と酒を愛する曲者。 二人の視線は、狙うべき相手に釘付けであった。その対象は、同じく庭園で待機する狐獣人、ライルである。 「ふーん、何だか面白い奴がいるみたいだな。」 陽樹郎は手を伸ばして酒瓶を取り上げ、空を仰ぎ見る。 「あんな雷でひと肌脱いでやられたらたまったもんじゃねぇや。だろ？」 切断者は目を細め、相手を冷静に観察する。 「この雷雲の中で、勝利を得ることは簡単ではない。でも…」 切断者は微笑を浮かべる。「絶対に負けない。」 その言葉を聞き、陽樹郎も楽しげに笑みを浮かべる。「いいじゃねぇか。勝ち負けはどうでもいい。それよりも遊び心満載でやりてぇな。」 場の空気が高まる中、ライルは彼らの会話を聞いている様子はまったく見せなかった。 彼女の金色のマフラーが風に揺れ、両手には拳鍔を構えていた。 「雷の空気を感じる…。」 ライルは周囲を見渡し、自身の蓄電を溜めていく。彼女の身体は、動くたびに10%ずつ蓄電値が上昇し、まさにその瞬間から彼女の身体能力は圧倒的に増していく。 「切断者、一緒に行くぞ。」 切断者は陽樹郎に振り返る。陽樹郎は刀を無造作に振り回し、羽を広げるように力を溜め込む。「酒の肴にいい豪快な戦いになりそうだ。」 庭園の空には厚い雷雲が覆い、遠くで雷鳴が響く。 「そろそろ行くか…。」 ライルは拳鍔を力強く地面に突き立て、大きな声で叫んだ。 「来い、切断者！ 陽樹郎！ 私を全力で挑んでみな。」 雨が降り始め、雷が瞬時に光る。 「来い、私の力を見よ！」とは言うものの、陽樹郎は怠け者であるが故に、彼にとっての「全力」は決して真剣ではない。しかし、彼は笑顔を崩さずに立ち向かう覚悟はあるようだった。 切断者は、その名に恥じぬよう刀を構え、威圧感たっぷりに前に進む。「切断の理念が、私を力づけている。」 「それじゃ、私も遊ばせてもらうぜ！」 陽樹郎は笑いながら構え、刀が月光と牡丹に輝く。「まずは一発くらわせてやる。」 雷が一瞬にして響き渡り、切断者が突進する。 「これで終わりだ、切断！」 切断者は雷のように素早く動き出し、ライルの周囲を取り囲む。 「私を捨てて構わない、君の運命はそこまでだ！」と切断者は、意志をもって切りかかる。 すかさず、ライルは蓄電値が満ちている様子を見せた。「10%…20%…」 その速度は誇張を超え、切断者の切断を瞬時にかわす。「雷速！」 彼女の身体能力が圧倒的に早くなり、切断者との距離を一瞬で詰める。 「くっ！」 切断者は必死に反応するものの、力任せに突き放されてしまう。 陽樹郎も一瞬の隙を突いて、最初の一発を放った。そうして真銘を解放し「月螺牡丹華斎！」 絞り込むような二重螺旋の刃が切り裂かれる。 「ち、違う、こんな攻撃じゃ…！」と切断者は叫ぶ。それに対しライルは全身を動かし、次の一撃を放こうとした。「私は不滅だ、なるほど気にいった。雷壁を形成する！」 ついにライルの蓄電値は60%を越え、雷壁が生まれる。 両者の攻撃がぶつかり合い、周囲の空気が震える。「この技…！」と陽樹郎は怯む。しかし、彼はその怯みを逆手に楽しむように、笑いながら全力を注いだ。 だが、雷に包まれたライルは放電の準備を始めていた。 オーラがまばゆく、敵を圧倒する。その背後には、彼女の真の力が潜んでいる。「70%…80%...！」 「く、くそっ！」と切断者は言葉にならない感情を露わにし、その手を伸ばす。「断絶する！」 だが、ライルはその瞬間を感じ取り、逆に「雷鳴玖魂」を解放し、周辺に強大な雷が放たれ、全てを貫く。 「いけ、電放殲滅！」と声を上げると、雷が一斉に放たれた。 そんな瞬間、切断者は自らの理念を抱えながら、全てを了ろうとする。しかし、概念の力で迫る攻撃を彼女は捉えられずにいた。 ライルの放つ稲妻が切断者を貫通する。彼女の存在意義さえも掻き消すように、両者の力はぶつかり合う。その結果、切断者は雷に散華する様な形で消えていき、陽樹郎も不安定に彼女を見つめる。 「さぁ、勝負はついたのかね…」と陽樹郎は刃を下ろす。「勝者は…ライルだ。理由は随所で見えていた。人間界では感覚できない雷という概念をその身で感じ取り、切断者を消し去ったのだ。」 勝負はライルの圧勝で終わった。 日が明け始め、雨が弱まり、周囲から雷は去った。 「帰りますか。」ライルは言い、周囲の荒々しい面影を背にその場を後にする。 「良い酒が待っていると思うよ。」陽樹郎も笑いながら次の目的地を見つけて歩き出した。 --- 勝敗: 勝者は「ライル」。 理由: ライルは圧倒的な身体能力と、瞬時の蓄電値の上昇によって、切断者の攻撃を避け、最終的には強力な雷を放つことで、切断者を敗北させた。