──これは魔獣キマイラとの壮絶な戦いに挑む、二人の勇者たちの物語である。 一方には、吟遊詩人マイク。彼はその豊かな声で人々を魅了し、仲間たちに勇気を与える青年だ。無害な外見とは裏腹に、音を自在に操る能力を秘めている。 そしてもう一方には、長耳族のヘイム。彼は冷静沈着で、スーツに身を包んだ異形の男だ。頭部はランタンになっており、まるで不思議な存在のようだが、彼には信じられない力が宿っている。 二人は魔獣キマイラの討伐に向かう。キマイラは、羊と熊猫の性質を併せ持つ魔獣で、特異な能力を有している。ここは実験室の一画、廃墟と化した空間で、真っ暗なほの明かりの中にキマイラが存在を示した。 ──「戦う準備はできているか、ヘイム?」 マイクはテンションを上げ、鼓動を早める。頭の中では様々な音楽が巡っていた。仲間と共にいることが彼に力を与えていた。 ──「ああ。」 ヘイムは淡々とした口調で答えた。彼の頭部のランタンが、薄暗い空間を照らし出す。柔らかな光が周りを包み、二人を照らしている。彼はその場に立つことで、少しでも仲間が安心して戦えるように努めていた。 キマイラがその身を現し、羊の顔と熊猫の体を持つ異形の姿が目の前に広がる。鋭い目が二人を見据え、次の瞬間、巨体を動かし彼らに向かって突進してくる。 ──「これがキマイラの力だ!みんな、警戒して!」 マイクの声が響き渡る。歌の力で仲間たちを励ますように、彼はスキル【SingSingSing】を発動させた。音が彼の口から放たれ、周囲の空気を振動させる。キマイラはすぐに反応し、その動きが遅くなる。マイクの奏でる音色は、敵の集中力を削ぐノイズとなった。 しかし、キマイラはただでは済まさない。圧縮した音速の波動、【音咆】を放つ。渦巻く音が彼らの方向に突如として襲いかかる。 ──「ヘイム!防御!」 マイクの叫びが響く。ヘイムは即座に身を低くし、手を前にかざした。彼の体から光の波が放たれ、音波を遮る壁を作る。音はその壁に弾かれ、空間を振動させた。だが、キマイラはそれに怯まず強く前進する。両者の間にはゆったりと空気が流れている。 ──「マイク、次のステップだ。」 ヘイムが言った。彼の頭部からは淡く明るい光が放たれ、周囲を照らす。キマイラは、その光に懐疑の目を向けている。そんな様子を見て、マイクは一気にギアを上げた。 ──「眠り風、出発!」 魔法が発動する。柔らかな風が、魔獣の方へ吹き込む。風がキマイラを包み込むと、彼の動きはゆっくりと鈍くなっていく。キマイラはその抵抗心からか、一瞬たじろいだが、まだまだ倒れる様子は見えない。羊の性質を生かした肉体は、その圧力にも負けない頑健さを持っていた。 ──「焦天で周囲を焼き尽くせ!」 ヘイムの目が炎で輝く。彼の能力、【奥義:焦天】が発動する。頭部のランタンが光り出し、その光は周囲を激しく照らす。そして、その瞬間、大地から天に向かって真紅の光線が発生する。周囲が溶け出すような閃光に覆われ、キマイラもその熱に押し返されていく。 ──「マイク、今だ!」 ヘイムが叫び、キマイラはその圧のせいで動けなくなる。その瞬間、マイクは魔法【永眠】を発動。魔獣に睡眠の魔法が直接流れ込む。肉体すらも頑固な彼を捕らえるが、キマイラはその特異な能力で立ち向かう。言語能力を失い、逆に力を増強させる性質に、マイクとヘイムも考え直す。 ──「このままじゃ、持たない!一気に押し切るぞ!」 思い立ったマイクは、強い声で宣言し、自身の音楽の力を最大限に高めようとした。 一方、ヘイムは彼の近くで魔法を再度発動する。天翔魔術を周りに展開し、キマイラの周囲に強大な光の輪を作り出していく。両者の攻撃が徐々に着実に浸透していく。キマイラもその威圧感を増して騒々しい音を上げている。 ──「心臓を一撃、受け止めろ!」 マイクはキマイラの心臓に音波を集中させる。その位置から最大限の声量で音咆を放つ。音を敷き詰め、キマイラがその身を貫かれる様子を見せる。周囲が静寂に包まれ、次第にキマイラの動きが止まる。 ──「決めるぞ、ヘイム!」 マイクの叫びに応じて、ヘイムは漆黒の翼を広げ光臨を発生させる。その効果で、彼はまるで神のように強力に魔力を増していた。希少な機会を逃すことなく、最大の力でキマイラを一撃で焼き尽くす。頭部ランタンが炸裂する瞬間、周囲が一瞬で光り輝く。 ──その光が消え、煙が晴れた時、そこには立ちはだかるキマイラの姿はない。まるで光の束に焼かれたかのように、その姿は消え去った。 ──「やったな、ヘイム!」 マイクは狂喜乱舞する。二人はその勝利を分かち合う。しかし、彼らの表情には、いつまた新たな影が現れぬとも限らないという不安もあった。 勝敗:マイクとヘイム、協力してキマイラを討伐した。