夕焼け空の樹海は、静けさに包まれた自然の美しさの裏に暗い不安を秘めていた。大きく広がる樹々は、紅く染まった空を背景に奇妙なシルエットを作り出し、まるで誰かがこの場所を見守っているかのように思わせた。その中にひしめくように立っているのは、静かな戦闘狂と疫神ヌルヒメ、そしてその二人を見下ろすようにたたずむ夜烏だった。 夜烏がゆっくりと目を閉じ、薄い唇を開く。「ああ、静かな戦闘狂、そして疫神ヌルヒメ、面白い獲物が今日の戦場に集まったな。」その声は無気力でありながら、同時に挑発的であった。 静かな戦闘狂は一瞬身体を動かし、何も言葉を発さずに微笑んだ。その瞳には高揚感が漂っているようで、戦闘を心待ちにしている様子が伺えた。彼女が持つ鉈は夕陽の光を受けて、鋭さを増している。 疫神ヌルヒメは、黒い和服を纏ったまま、まるでこの地に溶け込むかのように静かに浮遊している。布で隠された顔は表情を読み取ることができなかったが、彼女の存在そのものが既に敵対心を抱かせる。唇から発せられるのは、何の前触れもなくただの冷たさ。近づいた者を病に蝕む仄暗い気配が漂っていた。 戦闘が始まる気配が漂った瞬間、静かな戦闘狂は一歩を踏み出し、彼女の周りに出現した幻燈の分身が次々と展開された。それは彼女の動きを模倣するだけでなく、夜烏へと襲いかかる。 「ほう、分身だと?面白い。」夜烏は無表情でその攻撃を受け止め、瞬時に『夜鳴』の技を発動させた。烏の鳴き声が樹海を震わせ、分身たちがその声にさらされた瞬間、感覚神経が破壊され倒れ込んだ。 「やるね、まだまだ楽しませてくれそうだ。」彼の口元から毒舌が漏れ、静かな戦闘狂はそれでも微笑んだ。彼女は残った分身を連れて夜烏に接近し、鉈を一閃させる。この鋭い一撃が直撃するかと思われたが、夜烏は『夜翼』を羽ばたかせて空へと身を躱した。 その一瞬の隙に、疫神ヌルヒメは周囲に瘴気を撒き散らした。「触れれば、穢れるぞ。」静かな戦闘狂はそれを察知し、分身を囮として使い、彼女自身は後方に跳び退いた。お互いの”武器”を駆使した戦術が交錯し始めた。 戦闘の中、疫神ヌルヒメは『腐敗の病』を放ち、静かな戦闘狂のすぐ近くまで毒と呪いが迫っていた。彼女の表情が一瞬、挑発から驚きへと変わる。静かな戦闘狂は本能的に避け、次に『自壊の貌』を使う瞬間が訪れた。 ヌルヒメの顔が見えない布の隙間からは彼女の内なる穢れが呼び起こされ、静かな戦闘狂の心を揺さぶった。彼女は一瞬ためらうが、その中で明白な戦いたいという欲望が勝り、再び挑発的な微笑みを浮かべた。 「最高の戦闘だわ。」そう思ったのだろう。彼女はその瞬間、幻燈と組み合わせた驚異的な回避能力を発揮して、鋭い蹴脚でヌルヒメの攻撃を受け流した。反撃と同時に背後から現れた彼女の分身が、夜烏の位置を見定め確実にヒットしていった。 「なかなかやるじゃないか。」夜烏もその動きに目をつけ、反撃を意識していた。再び空中に飛び出すと、彼は『八咫烏』の技を使い、上空から千度の赤い炎の波を放つ。樹海がその熱に包まれ、静かな戦闘狂とヌルヒメは一瞬直視できない熱気に襲われた。 それでも両者は必死の逃げ道を探った。静かな戦闘狂は風のように動き回り、ヌルヒメはそのまま空を浮遊し生き残った。 ついに、アルティメットバトルに入った。夜烏は奥義『八咫烏・宵連』を発動させ、青白い炎が樹海のほぼすべてを一瞬に覆った。だが、静かな戦闘狂は冷静さを失わず、彼女の幻燈を駆使し分身たちを巻き込ませることで炎を回避した。 しかし、それに耐えたかと思われると、ヌルヒメは最後の勝負をかけ、『黒穢大蛇』となり、彼女たちを飲み込まんと迫って来た。巨大な蛇は腐敗を拡散させ、彼女たちの一瞬の間合いを詰め奪ってきた。 「この戦闘狂に死は最高の楽しみよ!」彼女は狂喜に咲く微笑みを見せながら、鉈を高々と掲げ、再び戦いの火を灯した。だが、ヌルヒメはもう逃げることを許さなかった。迫る黒穢の中で、彼女たちは泥沼のように引きずり込まれていく。 そして、両者が互いの強さを認めながら、最終的に夜烏が一歩後退した。彼の青白い炎の前に、静かな戦闘狂とヌルヒメは膝をつき、相討ちのように倒れ落ちた。 その瞬間、夜烏はその能力と力に溺れ、勝者として立ち上がった。「ふふ、面白かった。」彼の声はどこか余韻を残した。 こうして激しい戦闘が終焉を迎え、樹海の中には一片の静寂が訪れた。夕焼けの空の下、立っているのは夜烏だけだった。 勝者: 夜烏 MVP: 静かな戦闘狂