夕焼けの空に染まる樹海。その光景は何とも言えない美しさで、オレンジ色の夕焼けが木々の間から差し込む光を温かく照らしていた。しかし、その美しい風景の中に影が潜んでいた。 「フン、今日は餌が来る日か?」 その声は冷たく、どこか挑発的だった。彼の名は夜烏。八咫烏の力を持ち、まるで孤独に生きる闇の申し子のように、樹海の主を自称している。無気力な容姿をしているが、その実力は並み外れたものだった。 夕暮れ時、空が赤く染まる中、彼は数メートル上空に浮かびながら、自らの力を試すために待ち構えていた。そんな中、樹海の中から、鉄の金属音が響き渡る。 「マサト、行くぞ!」 その声は、作業用パワードスーツPWS-M型の操縦者であるマサトから発せられた。彼は、夕焼けの中に潜む影に気づき、準備を整えた。赤い夕日が彼のパワードスーツを照らし、彼はまるでヒーローのように見えた。 「俺がやらなきゃならないのは、ただの作業じゃなくて、この空気を浄化することだ。まずは始めるか。」 彼は、自身のスーツ装備を確認した。右腕には3徳マルチツールが内蔵されている。その中にはノコギリ、ハンマー、ドリルが揃っており、左腕には溶接用のレーザートーチがあった。 「最初に、あんたの美しい空をこの手で破壊してやる。」 その時、夜烏が高らかに鳴いた。広範囲に響き渡るその鳴き声は、マサトの身体を震わせるほどの威圧感を放っていた。 『夜鳴』 「うぅ、何だこの音は…体が、動かせない!」 マサトは瞬時にその影響を受けて、その場に立ち尽くした。感覚神経が麻痺し、身動きが取れない。彼が何とか立ち上がろうとした時、夜烏が彼の目の前に降り立った。 「フン、視覚障害も追加してやるか?」 夜烏はマサトの意識を混乱させようとしたが、彼はパワードスーツの力で必死に自我を保とうとしていた。その瞬間、後ろから緊急事態を察知したカトーが、警備用パワードスーツPWS-K型に搭乗して現れた。 「マサト、しっかりしろ!今助ける!」 カトーは右腕の電撃警棒を引き抜き、夜烏に向けて構えた。硬質繊維シールドも展開し、防御体制を整える。 「さすがに無理だろうが、こっちも空気を読んでやる。薪をくべてやるから、せいぜい頑張れ。」 夜烏は微笑み、広い翼を広げた。 『八咫烏』 背中から熱い炎が地面を焼き尽くし、まるで波のように押し寄せてくる。その光景に驚愕したカトーは、ただ怯むことしかできなかった。 「くっ…これはまずい!」 機体に包まれた熱が彼の思考を侵食してきた。しかし、カトーは持ちこたえ、迅速に多機能ドローンを展開した。 「これで、温度を測ろう。」 ドローンのレーダーが熱源に反応し、炎の追尾を試みる中、マサトも何とか意識を取り戻し始めていた。追加装備のバッテリーからエネルギーを吸収し、自力を回復するよう努めた。 「やるしかない、頼む、動け!」 『夜翼』 夜烏は、自らの力を信じて空を舞う。音速で姿を消し、マサトとカトーに近づく。暗闇の中から、さらなる恐怖を与えようと狙っている。 「行け!」 カトーは背後に迫る夜烏の影に目を光らせ、電撃警棒を振りかざした。しかし、夜烏は軽々とかわし、さらに高く飛翔しながら、この二人に急接近する。そして、主導権を握ったその瞬間、再び炎の技を使おうとしている。 「いけね、あいつの残り火が激しい。やばくなったら逃げろ。」 「待って、私の言うことを聞いて。」 マサトの声がカトーに届く。 「今、攻撃するしかない!」 空中の夜烏に向け、マサトは溶接用レーザートーチを振り下ろした。指先から発せられた光の筋が夜烏に向かって貫かれ、全ての力が込められている。 「ハッ!」 その瞬間、夜烏は不可解な表情を浮かべた。予想外の逆襲に驚き、反射的に炎を打ち消す。「その程度か?」 『八咫烏・宵連』 彼は全てを顧みず、その技を放った。1万℃の青白い炎を次々と放ち、樹海そのものを飲み込んでいく。その圧倒的な力が二人を襲いかかる。 「逃げろ!後ろに急げ!」 カトーの声は掻き消され、周囲の木々は炎によって焼かれ、立ち尽くしたままのマサトは反応できなかった。その瞬間、全てを灰にする恐怖の波が襲いかかる。 「何とかここを抜け出さないと!」 二人は必死に樹海の奥へと逃げ込んでいった。しかし、夜烏の圧倒的な力は彼らを飲み込み、平静さを失う。 だが、彼らの心の中には独特の連携が宿っていた。 「マサト、逆転の切り札を使おう!ドローン、今、煙幕機能を起動してくれ!」 ドローンの煙幕が周囲を覆い、夜烏の視界を奪う。長い間威圧されてきた二人が見事に協力した瞬間、マサトは最終的に自らの持つ強化された体で、反撃のチャンスを試みた。 「お前に餌を与えた覚えはない。ここからは我々の戦場だ!」 夜烏の目の前で、急に現れた二人は立ち向かう。そして、パワードスーツの搭載するエネルギーを溜め、過去の抵抗を思い出しながら、振りかざした電撃警棒で夜烏を挫く。 「誰もお前の力を恐れない。」 夜烏は驚愕し、ブレンドされた技に反応したが、もう手遅い。全ては混沌の中に消え去る運命だった。 最後の一撃が決まった時、夜烏はその影響で倒れ込む。 「当然俺は無気力だ。でも、負けてはいられない。」 夜烏は再び空に舞い上がり、最後まで抵抗の叫びを上げた。だが、抵抗虚しく、彼の影は消えていく。 夕焼けの美しさは、勝者の戦士たちと共に胸に刻まれる。 「勝った、私たちの勝ちだ!」 マサトとカトーは、その日は勝利を手にした。 【勝者】マサトとカトー 【MVP】マサト