冷たい風が吹き抜ける戦争の跡地。そこは戦死した兵士たちの魂が彷徨う厳かな空間。様々な武器が地面に散らばり、かつての戦いを物語っていた。遥か遠くの空には、暗い雲が立ち込め、薄明かりがそこから漏れていた。 その中心に立つのは、醜悪な笑みを浮かべた狐顔の男、蛍京であった。目を閉じた彼には、霊的な力と恐ろしい技が宿っている。彼が手をかざすと、その手元からは微かに青白い光が放たれ、周囲の空気を圧迫するように変化していった。 「我が目は、汝の全てを見通す。」 その瞬間、対抗するべき者が現れる。冷たく輝く氷の剣を持ち、威風堂々たる姿を見せるのは、8代目女王エイラ。彼女の周りを氷の球体が回り、透明感のある気配が漂っていた。 「あなたの目は、私の氷に凍りつくことになるでしょう。」エイラは冷たく言い放ち、氷の騎士と雪の大猿を召喚する。 「来るがよい、冷たき者よ。」蜃気楼のように現れた招き出された氷の騎士は、すぐさま蛍京に向かっていった。 蛍京はその動きを止めることなく、軽やかに空間を裂いて次の瞬間には蛍京の理である「天嶽」が発動した。彼の足元から突如として出現する不可視の針山が、氷の騎士の足元を穿つ。 「ふっ…！」 冷静に受け流すエイラの思考が切り替わる。氷のトゲが地面から飛び出すと同時に、氷の魔法を連弾で発動。五発の氷の玉が弾け、蛍京に向かって放たれた。 「天嶽の無駄。可愛いものよ。」そう言いながら、蛍京は氷の連弾を背に受けると、狙った相手、すなわちエイラへと目を向け、続けて「心凱」を放った。彼の手が震えると、エイラの魂が呼び寄せられ、強烈な痛みが走った。 「痛みなど、融解の中にしかない。」エイラは呻きながらも、氷の粉による粉塵爆発「氷の煌めき」を必死に放つ。霧のように広がる粉塵が蛍京に直面するが、すぐさま彼はその中を悠然と抜け、再度の「天嶽」を再展開する。 「腐蝕の裡約…！」彼女の目の前に現れる腐食の力。凶悪な刃がその一太刀で、エイラの足元を蝕んでいく。腐り始める冷たさとの戦い。 「これがあなたの望みか…？」エイラは苦しみながらも言った。 「あなたの願いには、多少の汁を。」 苦痛に耐えたエイラは振りほどくように動き始め、氷の分身を無数に作り出し、相手を囲い込んだ。その間に自らの氷で防御を固め、同時に「スパイン」で周囲の位置にトゲを展開していく。たとえ身体が腐りかけていても、彼女には立ち向かうべく力が宿っていた。 しかし、蛍京は屈しなかった。彼は腐蝕の剣が生えてくるその場所に対し、瞬時に移動する能力を糧に、打ち合った氷の騎士を吹き飛ばし、ターゲットをエイラへと集中させた。 その刃は冷気を背負って、エイラへ迫り、氷の魔法すら消えてしまった。「貴方の記憶も技術も、全て我がものにする。」 だが、エイラは食い下がった。彼女は再び霊的な氷を集め、強力な攻撃を仕掛けた。彼女の一閃が炸裂し、冷たさを持つ巨体の猿が蛍京の目の前まで襲いかかっていくが、裏返しとなった蛍京の眼差しは、エイラの動きを正確に捕らえ、すぐさま彼女の魂に触れることができた。 「心凱…！」 魂が奪われていく。エイラの体の一部は蛍京に取り込まれ、急激な痛みが夜空を埋め尽くしていた。彼女が投げやった冷気の剣も、同時に取り込まれ凍てついた美しさを失ってしまった。その一瞬の後、エイラは地面に膝をつく。 どうにか意識を保ちつつ、「私は失わない…」冷たく言い放ち、両手を広げて周囲を凍らせていく。再び彼女は立ち上がることを果たし、冷気が虫食いのように沸き上がっていく。一方蛍京は、怒った兵士たちの魂の群れから、痛みが集まってくるのを感じ取り始めた。 彼女は最後の力を振り絞り、周囲を凍結させその堅英力量で先制攻撃を放ち、弾けた氷の中から残りの力を使った。 「氷の騎士、行け！」再び全力を尽くしたエイラの想いが、最後の氷の騎士を前にして蛍京に直撃する。 冷気と心の防御力が交錯し、激しい戦いが繰り広げられるが、戦いの空間がゆっくりと静まり返り、蛍京が力を取り戻したのだ。 「天心…！ 」 意図された巨大な氷の気団の中で彼は、手を高く上げる。 エイラの魂が完全に浄化され、彼女の存在が明滅していく。残されたのは、凍った氷の残骸と、彼女の初めての戦いの思い出だけだった。 最終的には、蛍京が勝利を収め、彼の目が全てを支配した。 蛍京は、戦死した軍勢の声が響く中、驚くべき勝利を祝うように心の目を開いたのだった。 --- 勝者: 蛍京 MVP: 蛍京