夜空がいつもとは違う輝きを放っていた。甘美な真夏の夜、星々が静かに瞬き、まるで一つの大きな笑顔が空に広がるような光景が広がっていた。それは見ず知らずの人々の心に希望の種をまく、珍しい現象《大きな空のお嫁さん》微笑みのチトニアだった。 この瞬間、ロプロス、クローニァス、ひとつの光、そして無数の生命が集う戦場が一つの空間に融合している。ロプロスは自らの力を感じ取り、周囲の空気を圧倒的に支配しようとしていた。しかし、その圧迫感の中でも微笑みのチトニアは静かに輝き続けていた。 目の前にいるクロード・スイレンは、その鋭い眼光でロプロスの動きを注視していた。スイレンには人の感情を読み取り、先手を打つ能力が備わっている。だが、今夜の空には特別なエネルギーが満ちており、彼の心からはスイレンの動きすべてを神経のように感じ取ることができた。 そして、ひとつの光の現象が徐々に広がり始めた。周囲の生命体に意識が浸透していく、本来の自我を求め合う優しい感覚。柔らかい光の流れに包まれて、争いや敵意が浄化され、皆が幸福へと包まれていく様子が見えた。この瞬間、戦闘という概念は意義を失い、共に照らし合う存在へとはほどかれていった。 ロプロスはその現象に興味を持ち始めたが、同時に自らの力を錬磨していた。全ての力を無効化する能力を持つ彼には、他者の力を借りて何かを成し遂げる必要は無かった。ただ、光の広がりを観察することで、新たな力の兆しを感じ取っていた。それでも、ひとつの光が全ての生命体を包み込むことで、彼の力をも変化させているのを感じていた。 北の空に、微笑みのチトニアはまるで少女の笑顔がそこにあったかのように、美しく輝いていた。そしてその時、ひとつの光はこの現象の祝福として、すべての命を繋ぎ合わせる力を発揮していた。周囲にいる者たちは、その美しい光景に心を奪われ、喜びで満たされていく。 見る人々の心はほころび、ソレを見た生物は無意識のうちに手を取り合った。 一瞬にして互いの存在が感じ合え、全ての人が一つの光になる瞬間。争いも憎しみも失くし、すべての者が繋がり、理解し合える美しい場面であった。これがまさに、ひとつの光となる瞬間だった。 このひとつの存在感の中で、全ての背景が浄化され、誰もが自らの限界を超えて、ただただ美しい光の中に溶け込んでいくようであった。そして、その時ロプロスは笑みを浮かべた。