『救世の処刑人』アルマリア・ジェファー vs 【神刀巫女】ハクカ その日、薄暗い古びた廃墟に、二人の戦士が相対していた。 一方は、世界を悪と戦うために生まれた『救世の処刑人』アルマリア・ジェファー。黒装束で身を包む幼い影は、空気を切り裂くような緊張感を漂わせる。 反対侧には、神刀巫女ハクカ。無表情のまま、氷のように静かに立ち尽くしている。彼女の腰に下がった神刀白禍が、わずかに輝いていて、まるで彼女自身と一体化しているかのようだ。 「派手な挨拶はおあづけだ。私が先に行くよ!」アルマリアが元気よく言うや否や、地面に撒菱を放り投げ、視界を遮るために煙幕を展開する。瞬時に周囲が白く霞む。 ハクカは、一瞬の静寂を経て、前方に向けて刀を抜く。刃が空気を震わせ、彼女の動作には無駄がない。無心の境地で、今この瞬間に集中している。 「行くよ!無敵のアルマリア、行くよ!」アルマリアの声が煙の中で響く。 暗闇の中から、彼女の黒い影が巧みに動き出す。しかし、ハクカは静かだ。彼女の刀が、かすかに音を立てた。彼女の感情は凍りついたように失われているが、刃に込められた意志は誇示された。 煙幕の中、アルマリアはその特技を活かし、四方八方から短剣を投げる。三本の短剣が見えない道を切り開くように突き刺さり、周囲をぐるりと包み込む。 「これで、あなたの動きは封じられたはず!」アルマリアが挑戦的に宣言する。一瞬の静けさの後、ハクカは短剣を避けるために身体を低くし、反撃するチャンスを伺う。 しかし煙幕の中、その一瞬に足元からの音が聞こえた。アルマリアが撒き散らした撒菱に足を取られたのだ。ハクカは思わずつまずく。 「不意打ち成功!」グッと勇気を振り絞り、アルマリアは手甲鉤を構えた。「見えないからって油断しないで!」 そのまま一気に突進。 ハクカは羽のように軽やかに前方に跳び、ハクカの視界からマスキングされていた瞬間、切り上げる。 「凍てつく刃、見せて!」ハクカの刃から青白い閃光が飛び出し、アルマリアの前を切り裂く。ハクカもまた、無心の境地に達した瞬間を自覚していた。 アルマリアはその攻撃をかわし、直感的に側面に瞬移。右手の短剣で素早くハクカの体に掠めさせた。 「よっ!」狙い通り、短剣には毒が仕込まれており、ハクカの動きが止まる。 「私がやった!」とアルマリアは確信したが、ハクカの表情は相変わらず静けさを失わない。 「感情の残滓……」ハクカのつぶやきが聞こえた。短剣の効果は薄く、彼女の目にかすかな変化が起きる。刀を握る右手に微かに力が入る。 「来るなら、来い!」アルマリアは今度は煙幕の中から数本の鉄糸を使う準備をする。敵を拘束し、移動を阻害するための道具だ。 「まさか、あの人が……」ハクカは次第に自分の心が剣に映し出されるような感覚に陥り、力を感じ始める。無心からの距離感が一瞬薄まった。 反射的に刀を振るい、ハクカは金属音を響かせる、刀が鉄糸を切り裂く。 「ギリギリ、セーフだね!」アルマリアは軽く呟くと、再び位置を変え、効果を生かして再挑戦する。 今度はハクカの周りに撒かれた撒菱。痛みも恐れも感じぬ彼女にとって、その障害は無用だ。低く体を屈め、彼女は瞬時に四方に跳躍。 そのダンスのような身のこなしに魅了され、アルマリアは思わず見入ってしまう。その瞬間を逃さず、ハクカは刀剣を大きく振り上げた。その仕草に躍動感がある。 「……!」 手甲鉤で攻撃するアルマリアに対して、ハクカは剣を反転させた。次いで、刀が刃向けて走り、アルマリアに袭いかかる。 彼女は一瞬ひるみ、鋭利な刃が彼女の頬を掠めた。「つ、痛っ!」血が滴る。 しかし、その痛みを受けたことで何かが目覚めたような活力が彼女を突き動かす。 「まだまだ!」と言って、アルマリアは再び煙幕の中へと溶け込む。 その瞬間、ハクカは煙幕の流れを読み、神刀を横に振りかざして相手に一直線に進み出る。 「逃げはしない!」ハクカの追撃が繰り出される。「立て直してみせて!」 アルマリアはすぐさまヒュンと手甲鉤を引き上げ、反撃の機会を得ようとする。そこから脱出し、幾度も視線から逸れる。 「待て、待て!」今度はハクカが冷たい表情を貼り付けたままこちらへ向く。 その金属的な遥か王国の問題に関してアルマリアは躊躇なく反撃—。 ハクカは刀を振り下ろし、しかもすばやく身を翻した。その技術は必死の方向修正を持つアルマリアを首尾よく捉え、一閃し、再び側面軽やかに素早く寸止め。 「危ない!」アルマリアは体を反転させつつ、相手が持っていない左の手を用いて短剣を横一線に飛び出す。 真っ直ぐ自由な狙いで迫る。 「必ず、どこにでも当たる」ハクカの視界を切り裂く影が短剣に包まれる。 「さあ来い、私が遮るから」 そう言いつつ、彼女は再度短剣を投げた。運命の刃は空に輝き、市民の方々の目に瞬きをもたらした。 場面が静まり返った。互いに息を呑み、緊迫感が高まる。 そして、静寂を破るように、双方の刀と短剣が交わり合い、火花が散った。 両者が数歩後退したその瞬間、場が弾け飛ぶように立ち上がった。 「私は負けない、私は負けない、私は……」 アルマリアが呟く中、ハクカは無反応のまま刀を引き寄せ、彼女の態度がどんどん変わっていく。 「様子見している暇じゃない!」アルマリアが新たな手を繰り出す—鉄糸をハクカの後ろから使って。この戦い、ここから本番だ。 そして再び、激闘が繰り広げられる。 その瞬間、立ち上がる二人の影に、突風のように素早く音が立ち、古びた廃墟の壁面が、両者の力を受けて揺れた。 アルマリアは機会を見逃さず逆転にかかる。仕込みの撒菱の束を使い、狙い定めた隙間を潔く切りにかかる。 だが、ハクカはその瞬間予測し、高速で回避に移ろうとする。 次の瞬間、空気を切り裂くような金属音を立たせる。 「まだだ、私はまだ……」 感情の欠片さえ背にして、動く。二人に予測不可能な一撃が生まれる。無心の感情が世界を変えると信じ、ただ刃を振るう。 両者の意志が交錯する中、再び立ち上がる。互いに一歩も引かない、目を逸らすことなく突き進む。その姿に、見守る者たちが固唾をのむ。 勝者と目撃者の感想 一時間近く戦い続けた後、ついに戦いが決した。アルマリアが一瞬の隙をついてハクカを煙幕で包み込むと、短剣を突き刺し、致命的な一撃を見舞った。 「これが私の勝ち!」アルマリアが勝者となった。 周りの目撃者たちはその凄絶な戦いを震えながら見守っていた。 「私は、彼女の技に圧倒された。動きがまるで生き物のようだった。」 「見せた、若き処刑人の無情さ。彼女だけが戦場を支配していた。」 そして、最後に誰かが言った。「ただの子供と思っていたが、あんな力を秘めた者が居るとは……驚愕だ。」 その言葉が混ざる中、薄らと青い空に皆が目をやる。戦いが物語の一頁となり、静けさに包まれる。