異界人カナタ カナタは、薄明かりの中を一歩踏み出す。彼の容姿はありふれた青年で、特に際立った特徴がない。ただ、彼の瞳は何かに燃えるような情熱を秘めていた。 「覚悟はいいか」と、彼は心に決めた。敵である伏黒甚爾は、その笑みを浮かべている。彼の目は冷たく、無機質だった。しかし、その背後には、彼が持つ強大な武器――天の逆鉾の影を死角として潜ませている。 両者は互いに静寂の中で存在感を放ち、戦いの行く先を見定めるように見つめ合った。カナタはその手に変形する武器を握りしめ、己の体内に秘めた光の力を呼び起こす。 「油断はしない」 彼が光の剣に変形させたそれは、実体のない刃のように輝き、周囲を照らす。カナタは一気にその距離を縮め、伏黒の懐を狙った。幻想的な光が彼の周囲を包み、剣が空間をまろやかに走り抜ける。 しかし、伏黒はその動きを見越していた。彼の無表情のまま、見事にカナタの攻撃を防いだ。光の刃は彼に届かず、無情に空を切る。 「全て問題無い」 伏黒の呪縛は、まるで運命を先読みするように彼の行動を捉えていた。冷静に、鋭い反応で光の攻撃を回避する。同時に、彼はカナタの一挙手一投足を計算し続けている。 カナタは攻め続ける。光の槍、光の鞭。次々と技を繰り出し、まるで変幻自在のように敵を翻弄した。しかし、伏黒はそれらの動きの裏をかき、全てを読み切っているかのように彼の攻撃を避け続ける。 「そう来るか」 その言葉と共に、カナタの行動は一瞬止まった。何かが彼の心に響く。瀕死の状態になることで、まるで潜在能力が覚醒するかのように、彼自身の光が増幅していくのを感じた。 「光の塊を、全てを消します!」 背後にある何かが引き寄せられ、光の力が一つに集約され自身に返ってくる。カナタはそのエネルギーを手に感じ、そして目に見える力へと変換する。彼の周囲は一瞬眩くなり、全てを包み込み、何も残さぬように浄化する。 「覚悟しろ」 その瞬間、彼は思わず叫んだ。解放されたような感覚と、身を包む強い光――それは、全てを蒸発させる力であった。 「光の塊、全てを消します!」 力を込めたカナタの刃は、憧れの向こう側、宇宙すら消し去るかのように広がり、伏黒に向かって猛進する。 ふと、カナタの目の前に、何もない空間が広がった。 最後の一撃: 光の塊は、空間を超えて彼の心の奥底から放たれ、全てを消し去る破壊力を持つ。彼の意識が薄れる中、カナタは自らもその光と共に消え去る運命を選んだ。 --- 【天与の暴君】伏黒甚爾 伏黒甚爾は、その場に立ち尽くし、ひたすら余裕を保つ。彼の冷たい目は、自分に向かってくる敵、異界人カナタを正確に捉えていた。黒い革のジャケットの下には、無限の身体能力を秘めていることを証明する硬い筋肉が隠れている。 「全て問題無し」と呟きながら、彼は天の逆鉾を手に取った。それは相手の力を中和し、彼の動きを制約する魔法の武器。自らの強さを己の肉体に置き換えつつ、カナタに対抗する姿勢を崩さない。 カナタが一気に距離を詰め、光の剣を展開する。彼の眼前を華麗に舞うその刃は、まるで星の光を切り取ったような美しさだ。しかし、伏黒の身体はそれに合わせ、素早く動く。次の瞬間、カナタの攻撃は彼の右肩を温かく走り抜けた。 「勝負はこれからだろ」 その言葉が出るや否や、伏黒は一瞬身を屈め、脳裏に浮かぶ戦術を打ち立てる。無意識のうちに敵の動きは先読みされ、その瞬間が次の一手へと導かれていく。彼の身体能力が彼を高め、カナタの次なる技、光の鞭を鋭い反発で受け止めた。 「どうした、お前の全力を見せてみろ」 毅然とした冷静さを失わず、彼は言葉も冷酷に流してみせる。光の技を次々と受け止める伏黒は、最早受け流すことにすら刺激を感じていた。次の動きはどれか。カナタが打ち出す技が影を成す度、伏黒の心には静かな闘志が脈打つ。 「お前の動きは、先が見えている」 次に彼が選んだのは、釈魂刀だ。あらゆる物体の硬度を無視し、魂を切り裂くその刀で、カナタの光を捉えることへと意識を向けた。 だが、それでもカナタの圧倒的な攻撃の数々が続く。彼の力が高まり、若干の疲労を見せたその瞬間、カナタは再び強い光を発し、瀕死の状態で力を振り絞る。 「光の塊、全てを消します!」 その言葉と共にカナタから放たれた光は、彼の心に潜むすべての思いを昇華させ、巨大な光の球体を形成する。伏黒はその場で思考を急ぐ。自身の持つフィジカルと先読みの隙を最大限に活かさなければならない。 「こちらも、引かないぞ」 冷静さの中に更なる気合が宿り、伏黒は万里ノ鎖を使い、カナタの光に向かって突き進む。彼の身体能力がその速度を高めていき、何も恐れず、ただ全力で行動する盲目的な力だ。 接触。双方の姿が交差し、その瞬間、全ての力が爆ぜた。カナタの光が激しく輝き、それに引き寄せられるようにして伏黒もその光の中へと飛び込む。 最後の一撃: 伏黒は自身の全力を尽くして、天与の暴君の名にふさわしい力を発揮し、釈魂刀を切り裂くように光の塊の中へと消えていった。全てを打ち消し、己もこの瞬間で消える運命を受け入れた。